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プーチン圧勝の大統領選から何を読み取るべきか

ヒントは3月1日の年次演説に

2018年3月28日(水)

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プーチン氏の圧勝に終わったロシアの大統領選。今後の経済成長に自信を見せる(写真=AP/アフロ)

 3月18日に実施されたロシアの大統領選挙は、下馬評通り、プーチン氏の圧勝に終わった。高い支持を誇るプーチン氏と対等に戦える対抗馬がおらず、結果は予想通りではあるが、選挙の投票率は67.5%、プーチン氏の得票率は76.7%となり、ともに事前予想を大きく上回った。

 特に今回の選挙で注目が集まったのは投票率だった。なぜなら、選挙結果が事前にほぼ確定している状況において、「結果が決まっているのにわざわざ投票に行く必要があるのか」との心理が働く懸念があったからだ。仮に投票率が50%を割れるほど低迷した場合、「国民の意思がしっかり反映されている」という点に疑念が生じる。こうした状況に陥るのを避けるため、政府は投票率を押し上げる努力を惜しまなかったようだ。

 選挙まで、街中のポスターやSNSによるリマインダーをはじめ、さまざまな手法で国民にアピールした結果、投票率は67.5%まで上昇した。投票率が67.5%を上回ったのは、メドベージェフ元首相が大統領に選出された2008年の選挙のみで、当時の投票率は69%だった。

 今回の大統領選における特徴の一つは、野党に対する国民の支持が前回と比べて大幅に低下したことである。12年の大統領選ではリベラル派のプロホロフ候補が8%を得票したが、今回出馬したリベラル派候補者の得票率はヤブリンスキー氏が1.1%、ソブチャク氏1.7%で、合わせても3%未満に留まった。このことは、欧米・西側寄りのリベラル派が国民の信頼を失いつつあることを示唆している。

 国民の圧倒的な支持が確認できたプーチン大統領は、向こう6年間における新政権の主要課題として経済成長を定着させることや軍事力の強化に言及した。この方針は3月1日に行われた年次演説の内容に沿ったものであった。

景気後退から回復したロシア経済

 ロシアのプーチン大統領による年次演説は年末に行われるのがこれまでの慣習だったが、17年末には行われず、18年3月1日に実施された。この理由は、大統領選挙の立候補者8人の中にプーチン氏が入っており、選挙に近い時期に行う演説は現役としてばかりでなく次期大統領として国民にアピールする絶好の機会となるからである。

 プーチン大統領の年次演説と言えば、大部分が経済状況と福祉の現状についての報告である。今年の演説では、特にロシア経済が15年~16年の景気後退を克服し、17年に再びプラス成長に回帰したことを、大統領選の直前にアピールした。

 実際、17年にロシア経済は前年比1.5%拡大した一方、インフレ率はソ連崩壊以来の低水準となる同2.5%まで低下し、ロシア中銀のインフレターゲットである同4%を下回った。失業率も5%台で安定しており、実質賃金は右肩上がりで推移している。

 14年に原油価格下落と対ロシア制裁の影響によりルーブル相場が大きく下落したが、16年以降はコモディティー市場の回復や世界に広がる景気回復と力強い成長の恩恵を受けて為替相場も安定し、ロシアの外貨準備は増加した。国の危機対策の効果が徐々に表れる中で財政は改善し、17年の財政赤字は対GDP比で僅か1.5%に留まった。17年には投資も加速しており、ロシア統計局のデータによれば、前年比4.4%拡大した。

 欧米による対ロシア制裁のため、制裁対象となった企業には海外での資金調達に厳格な制約が課された一方、ロシア側の報復制裁により輸入が激減した結果、経常黒字が維持されたほか、国内の輸入代替産業に活気が出た。懸念されていた民間部門の対外債務残高が減少するなど、ロシア経済は外的ショックに対する耐性が向上したと言える。

 プーチン大統領は演説の中で次のように述べている。「近年、ロシア政府は国家経済の安定性を強化してきた。エネルギー価格に対する経済と財政の依存度を大幅に低下させ、金および外貨の準備高を増やした。インフレ率は記録的な水準まで低下し、現在は2%を僅かに超える程度となっている。こうした低水準のインフレは、経済発展のためのさらなる機会を提供している。最近では15年のインフレ率がほぼ13%であったことを思い出してもらいたい 」

 実際には、18年に入っても安定的なプラス成長(1月のGDP成長率は前年比2%)と低インフレ(2月のインフレ率は前年比2.2%)の状況が持続しており、先行きにも明るい見通しが示されている。経済発展省は、18年の経済成長率が同2%を超えると予想している。

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「プーチン圧勝の大統領選から何を読み取るべきか」の著者

菅野 沙織

菅野 沙織(すげの・さおり)

エコノミスト

モスクワ生まれ。中央大学の研究生として来日後、2002年日本に帰化。2006年大和総研入社、2014年から大和証券キャピタル・マーケッツヨーロッパのエコノミスト、2016年から現職と兼務。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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