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禅寺が育んだ雪村の「奇想」とは

2017年5月2日(火)

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 「雪村(せっそん)がなぜこんな絵を描いたのか、(描かれた仙人は)なぜこういうポーズをしているのか。何から何まで説明が困難、明確な答えがありません」

 東京藝術大学大学美術館で開催中の「雪村─奇想の誕生─」展(MIHO MUSEUMに巡回予定)でのこと。この展覧会に出品されていた代表作の《呂洞賓図(りょどうひんず)》(大和文華館蔵)を前に、企画を担当している同館の古田亮准教授はこう話す。桃山時代の画家、雪村の表現を一言で表そうとすれば、展覧会の副題でも使われている「奇想」の語を当てはめるのが妥当である。

 この《呂洞賓図》は、これまで雪村を知らなかった人でも、まずは少々変わった絵だなと思うのではないか。人が空を飛ぶ、あるいは竜の頭に乗っている構図は、いわゆる空想のワンシーンとしてはそれほど意外ではないかもしれない。

雪村《呂洞賓図》(奈良・大和文華館蔵、重要文化財 東京藝術大学大学美術館での展示は終了、MIHO MUSEUMでの展示期間:8月1~20日[予定]

 しかし、画面中央に描かれた中国の仙人、呂洞賓の衣服と長いひげは、なびき方が尋常ではない。呂洞賓は竜というよりもまるで風が吹き上げる竜巻の上に乗っているかのよう。それでいて身のこなしは軽やかだ。そもそも、「竜に乗る呂洞賓を描いた絵も、雪村以前には見られない」(古田氏)という。この絵はまさに「奇想」である。

 雪村は、知っている人にはとても人気があるのだが、一般的にはどのくらいの知名度があるのだろうか。少なくとも日本美術史を学んだ者の間では、雪村はかなり有名だ。しかし、そうでない知人に聞いて回ると、実はそれほど知られていない感触だった。

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「禅寺が育んだ雪村の「奇想」とは」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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小田嶋 隆 コラムニスト