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縄文土器の美術センスを呼び起こせ

2018年8月18日(土)

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 考古学の資料として扱われていた縄文土器に美術品としての“美”を見出したのは、美術家の岡本太郎だった。1950年代に、美術雑誌「みづゑ」に寄稿したエッセイの中で、東京国立博物館で見た縄文土器の美を論じたのだ。そのことを考えるたびに、「美は“発見”するものである」との思いを強くする。

 それゆえ、東京国立博物館平成館で開かれている「縄文」展には、大きな期待を胸に秘めて出かけた。最初の展示室には大きな年表がしつらえられていて、草創期から晩期までのそれぞれの時期に、美術品というにふさわしい土器が作られていたことが写真でわかるようになっていた。

縄文土器がガラスなしで展示されているコーナー(展示されているのは、新潟県十日町市野首遺跡出土の火焔型土器、王冠型土器=縄文時代中期=の数々、新潟・十日町市博物館蔵)

 紀元前1万1000年頃から紀元前1000年頃まで、縄文時代の長さは実に1万年にも及ぶ。古ければ偉いというものではないけれど、日本人の祖先と目される人々が美を愛していたと想像することが楽しい。さらに、その造形美が北海道から九州まで日本列島の広い地域で継承・展開したことに驚くのである。

 激しい炎のような造形から、火焔型土器と呼ばれる“作品”が盛んに作られたのは縄文中期である。この展覧会では、ガラス越しではなくむきだしのまま展示されたしつらえが一部にあり、火焔型土器のアグレッシブな造形美に、当時の人々が接していたのと同じ気持ちで向き合うことができた。ショーケースなどのガラスがないと、たとえ触れなくても「触感」を味わうことができる。「美術品」と呼ぶこととは若干矛盾するが、作品としてまつり上げられることによる心理的な距離感がなくなり、生活の中に美があったことが体感できるのである。

焼町土器(縄文時代中期、長野県御代田町川原田遺跡出土、長野・浅間縄文ミュージアム蔵)の数々が展示されているコーナー

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「縄文土器の美術センスを呼び起こせ」の著者

小川 敦生

小川 敦生(おがわ・あつお)

多摩美術大学美術学部芸術学科教授

日経マグロウヒル社(現・日経BP社)入社後、日経アート編集長や同社編集委員を経て、日本経済新聞社文化部へ。美術担当記者として多くの記事を執筆。2012年4月から現職。専門は美術ジャーナリズム論。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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