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ハードウエア起業、シリコンバレーで増える理由

2018年2月3日(土)

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 シリコンバレーで近年、ハードウエアを開発するスタートアップが増えている。ハードと言ってもIT機器やデジタルガジェットではない。調理家電のような生活を便利にするハードを開発するスタートアップが注目を集めている。

 シリコンバレーはその名が半導体の材料であるシリコンに由来するように、元々は半導体やコンピュータを開発する会社が集まる場所だった。それが1990年代以降はソフトウエアを開発する会社が勢いを増すようになり、シリコンバレーでエンジニアと言えばソフトウエア開発者を指すようになった。

 そんなシリコンバレーで、ハードを開発するスタートアップが再び注目を集めている。その中でも勢いがあるのは調理家電だ。例えば2018年1月には、米Amazon.comのベンチャーキャピタル(VC)部門である「Alexa Fund」が、サンフランシスコを拠点とするスタートアップで画像認識AI搭載オーブン「June Intelligent Oven」(写真1)を販売する米June Lifeに出資したことが話題になった。

写真1●画像認識AI搭載オーブン「June Intelligent Oven」
[画像のクリックで拡大表示]

 June Intelligent Ovenは、庫内に取り付けたHD(高精細)カメラが食材を撮影し、ディープラーニング(深層学習)ベースの画像認識AIが食材の種類や状態を識別し、最適な温度で調理してくれる製品だ。共同創業者でCTO(最高技術責任者)を務めるNikhil Bhogal氏は米Appleで「iPhone」のカメラ開発を担当していたエンジニアで、同社の従業員の半数がApple出身者だという。

プロの技を家庭で実現するスタートアップ

 「Sous Vide Cooking」。日本語では「真空調理」や「低温調理」と呼ばれる調理法を実現する家電のスタートアップも元気だ。Sous Videは、ステーキ肉などの食材を真空パックした上で60度ほどの低温のお湯で湯せんすることで、食材中心部の温度(芯温)を正確にコントロールする調理法だ(写真2)。例えば湯せんによって肉の内部を「レア」や「ミディアム」の状態に仕上げてから外側をフライパンなどで焼くと、外側は香ばしく内部にも適切に火が通ったちょうど良い状態のステーキを失敗することなく調理できる。

写真2●米NomikuのSous Vide調理家電
[画像のクリックで拡大表示]

 元々はレストランなどプロの世界で普及していた調理法だが、2010年代になってSous Vide専用の安価な消費者向け製品が登場し、米国で人気を集めている。消費者向けの製品はスクリュー付きの電熱棒で、鍋に差し込んで使用する。Bluetoothなどを使ってスマートフォンと接続し、スマホの専用アプリでダウンロードしたレシピの情報に基づいて温度調節をするのが一般的だ。

 サンフランシスコに拠点を置くSous Vide調理家電スタートアップの米Anova Culinaryは、2017年2月に欧州の大手家電メーカーであるスウェーデンElectroluxに2億5000万ドルで買収された。Electroluxが発表したプレスリリースによれば、2013年に創業したAnovaの売上高は、2016年の時点で4000万ドルにまで達していたという。

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「ハードウエア起業、シリコンバレーで増える理由」の著者

中田 敦

中田 敦(なかだ・あつし)

シリコンバレー支局

1998年慶應義塾大学商学部卒業、同年日経BP社に入社。ITproや日経コンピュータを経て、2015年5月からパロアルトに開設したシリコンバレー支局を拠点に、シリコンバレーの最新事情を取材中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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