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キュウリ、カメムシを食べて食中毒~米中の騒動を読む

<「食中毒」の処方箋>

2015年10月1日(木)

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写真:Joanne Rathe/The Boston Globe via Getty Images

 7月末からアメリカでサルモネラ菌の食中毒が流行しています。

 通常、家庭や学校・飲食店など特定の場所で収まるはずの食中毒が、今年の夏はなぜか全米へと拡大していきました。CDC(米疾病対策センター)とFDA(米食品医薬品局)が調査をしたところ、原因として疑わしいとされたのは、ありふれた野菜の「キュウリ」。

 サルモネラ菌には2000種類ほどがあります。その中には腸チフスなど重篤な症状を示すものもありますが、サルモネラ菌は一般に激しい下痢や嘔吐を引き起こしても治る「感染性胃腸炎」の、これまたありふれた病原体。小児や高齢者で重症化することはあっても、サルモネラ菌の食中毒自体は特に珍しいものではありません。

 9月22日現在の感染者数は、全米で558人(うち112人が入院)。感染は33州にまで拡大し、アリゾナ、カリフォルニア、テキサスで計3人の死者も出ており、9月上旬にはキュウリの供給メーカー2社が自主回収を開始しました。

 自主回収の対象となっているのは、皮が濃い緑で固く、日本で見られるものより大ぶりのアメリカのスーパーでよく売られている「スライサー」もしくは「アメリカン」と呼ばれるキュウリです。個別包装して売られるような高級品ではなく、山から必要な本数だけ取って買うようなごくごくありふれたキュウリ。隣国メキシコから輸入されたものだといいます。

 サルモネラ菌の治療には、輸液などの対処療法のほかに、おなじみの「抗生物質」が有効です。抗生物質では使い過ぎによって効かなくなる「薬剤耐性」がしばしば問題になりますが、件のキュウリから検出されたサルモネラ菌の抗生物質に対する感受性は現在のところ100%。すなわち、いま流行しているこのサルモネラ菌には「抗生物質が100%有効である」という極めて心強いデータが出ているのです。治療には必ず抗生物質を用いるわけではありませんが、仮にアメリカでキュウリを食べ、食中毒がこじれたとしても過度の心配は不要です。

 とはいえ、今回のアウトブレイクについて、私には気になる点が2つあります。

 1つは、原因となっているSalmonella Poonaというサルモネラ菌についてです。Salmonella Poonaは、カメやイグアナなどの爬虫類から高率に検出されるサルモネラ菌で、日本でもペット用のカメから幼児が感染し、重篤な症状を示した例が報告されています。

 これが「なぜ今キュウリから検出された」のか。

 国立感染症研究所のリポートによると 、日本では年間約40万頭のカメ類が輸入されており、そのほとんどが米国産。一方で、これらペット用爬虫類はサルモネラ属菌を高率に保菌していることが知られており、2006~08年度厚生労働科学研究事業で市販のミシシッピアカミミガメ(通称ミドリガメ)のサルモネラ保菌調査を実施した結果、全個体の83%からサルモネラ属菌が検出されたといいます。また、日本のカメ類の最大輸入国である米国では、1970年代の初めに小さなペット用カメが子供のサルモネラ感染症の主たる感染源となったことから、1975年には甲羅長4インチ(約10cm)未満のカメの米国内での販売を法律で禁止しているようです。

コメント1件コメント/レビュー

畜産糞尿を堆肥に使ったり鶏が畑で卵を産んだりすれば、畑にはサルモネラ菌がいると思わねばなりません。自然に土が付き易いキャベツや白菜はもちろん、鶏卵や土に触れた手で収穫すればキュウリでもトマトでもサルモネラ菌が付きます。僅かな菌数でも発症しますから怖いですね。日本に化学肥料が無く肉を食べなかった時代は、食中毒と言えば生野菜だったそうです。ただキュウリの中に菌があった訳では無いでしょうから、良く洗ってから食べるのが肝心だそうです。(2015/10/01 09:55)

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「キュウリ、カメムシを食べて食中毒~米中の騒動を読む」の著者

村中 璃子

村中 璃子(むらなか・りこ)

医師・医療ジャーナリスト

一橋大学出身、社会学修士。北海道大学医学部卒。都立高校中退。WHO(世界保健機関)西太平洋地域事務局の新興・再興感染症チーム等を経て、現在、医療問題を中心に執筆中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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畜産糞尿を堆肥に使ったり鶏が畑で卵を産んだりすれば、畑にはサルモネラ菌がいると思わねばなりません。自然に土が付き易いキャベツや白菜はもちろん、鶏卵や土に触れた手で収穫すればキュウリでもトマトでもサルモネラ菌が付きます。僅かな菌数でも発症しますから怖いですね。日本に化学肥料が無く肉を食べなかった時代は、食中毒と言えば生野菜だったそうです。ただキュウリの中に菌があった訳では無いでしょうから、良く洗ってから食べるのが肝心だそうです。(2015/10/01 09:55)

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