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覚悟はしていたが…英国がEU単一市場離脱へ

2017年1月19日(木)

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 1月17日、英国のテリーザ・メイ首相はEU(欧州連合)離脱に向けた交渉方針の詳細を明らかにした。演説の中でメイ首相は、英国に拠点を持つ企業がEU域内で自由にビジネスを展開できる「シングルマーケット(単一市場)」から完全に離脱すると断言。EUとは新たなFTA(自由貿易協定)を結ぶ考えを示した。

 この結果、英国を中核拠点に欧州でビジネスを展開してきた企業は、今後ルールの変更を余儀なくされる可能性が高い。日本企業を含むこれらの企業が拠点戦略の再考を迫られるのは必至だ。

1月17日、テリーザ・メイ首相は、英国がEU単一市場から完全離脱する方針であることを明言した(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 ロンドンのバッキンガム宮殿近くにある外務省の公館、ランカスターハウス。故マーガレット・サッチャー首相(当時)は1988年、ここで、英国企業にEU(欧州連合)の単一市場参加を呼びかけるキャンペーンを展開した。

 それから29年後。史上2人目の女性首相となったメイ首相は1月17日、奇しくも同じ場所で、今度はサッチャー氏と正反対の主張を訴えることになった。

 この日の午後0時45分過ぎ、メイ首相の表情は、どこか吹っ切れた様子だった。

 「約6カ月前、英国民は変化することを選択しました。我々の国の未来を輝かしいものにするために投票しました」

 テンポ良く切り出すと、EU離脱後の英国が目指す理想の国家像を語り始めた。

 英国は、世界から尊敬されるグローバルな貿易国となるべきであり、同時に、国内で結束し、強く、自信に満ちた国となるべきである。その意味で、国民が決断したEU離脱という選択は、英国を理想の国にしていくための良い機会である。我々は決して、EUの理念を否定するものではない。一方で、離脱を決めた以上、EUに半分入り、半分出るといったことはあり得ない――

 そして、離脱後は、対等な交渉を通じて、EUとより発展的な関係を構築したいと続けた。

EUとはFTAを結ぶ

 誰もが注目していた発言が飛び出したのは、開始から20分が経過した頃だった。

 「ここではっきりさせたい。英国はEU単一市場のメンバーに残ることはない」

 英国は、EUとの交渉に当たって、(1)Certainty and Clarity(=確実性)、(2)Stronger Britain(=競争力の維持)、(3)Fairer Britain(公平性の維持)、(4)Truly Global Britain(=真のグローバル化)――の4つの規律に沿って交渉する方針を示した。この4つ目の「真のグローバル化」の中で、EUとの貿易協定について言及した。

 EUの単一市場に加盟し続けるためには、「ヒト」「モノ」「カネ」「サービス」に関する移動の自由を受け入れる必要がある。しかし、これらを引き受けることは、EUが運営する司法の下に今後も置かれることを意味する。それでは、EUを離脱したことにならない――単一市場から離脱する理由を、メイ首相はこう説明した。

 その一方で、EUとは対等な関係で、新たなFTAを結んでいく方針を掲げた。「貿易の障壁となるものは、可能な限り取り除く」(メイ首相)。約45分にわたった演説の最後は、「子供、孫の世代のために明るい未来を構築しよう」と締めくくった。

コメント2件コメント/レビュー

行き過ぎたグローバリズムが齎した英国のEU離脱は、今後、英国が正しい選択をしたことを意味すると期待しています。また、今回の単一市場からの離脱は、今後数年は幾ばくかの影響は生じるでしょうがEUが解体することも視野に入れると、誤った選択ではないと捉えています。

ちなみに、英国のようにEUから離脱して成功を収められる国は、正直、ドイツ以外はないと思っています。ただドイツは最後までEUにこだわり続けると想定されるため、第四の帝国(アメリカ、ロシア、中国と欧州の第四勢力になる可能性)として存在することも否めません。

EUに関してこの両極端な状況が想定されることから、自尊心の強い英国が英国として残る道は「独立維持」しかなかったとみるべきではないでしょうか。

>「ある程度覚悟はしていたが、やはり企業には厳しい展開だ」。メイ首相の演説を聞いた後、
>英国に拠点を置く日本企業の担当者は肩を落とした。

ある程度覚悟しているならその段階で次の打ち手を検討すべきではないでしょうかね。(2017/01/19 23:44)

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「覚悟はしていたが…英国がEU単一市場離脱へ」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

行き過ぎたグローバリズムが齎した英国のEU離脱は、今後、英国が正しい選択をしたことを意味すると期待しています。また、今回の単一市場からの離脱は、今後数年は幾ばくかの影響は生じるでしょうがEUが解体することも視野に入れると、誤った選択ではないと捉えています。

ちなみに、英国のようにEUから離脱して成功を収められる国は、正直、ドイツ以外はないと思っています。ただドイツは最後までEUにこだわり続けると想定されるため、第四の帝国(アメリカ、ロシア、中国と欧州の第四勢力になる可能性)として存在することも否めません。

EUに関してこの両極端な状況が想定されることから、自尊心の強い英国が英国として残る道は「独立維持」しかなかったとみるべきではないでしょうか。

>「ある程度覚悟はしていたが、やはり企業には厳しい展開だ」。メイ首相の演説を聞いた後、
>英国に拠点を置く日本企業の担当者は肩を落とした。

ある程度覚悟しているならその段階で次の打ち手を検討すべきではないでしょうかね。(2017/01/19 23:44)

さすが英国正しい決断をしました。
英国に向かえない移民はEU内に溢れかえり、どうようの対応をとる政権を
EU内に誕生させるでしょう
机上の理念だけが先走る政策はいずれ限界を迎えるという当然の結果です。(2017/01/19 07:51)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官