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英ダイソン、EVの電池革新でトヨタに挑戦

自動車産業の秩序を壊す新星の登場

2018年3月20日(火)

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 独創的な掃除機やドライヤーで知られる英ダイソンがEV(電気自動車)に参入することを表明した。切り札は現在のEVで主流のリチウムイオン電池の弱点を克服する画期的な「全固体電池」。同電池の開発ではトヨタ自動車が先行するが、ダークホースの登場が業界を揺るがしている。

(日経ビジネス2017年10月9日号より転載)

EVへの参入を決めたダイソン創業者兼チーフエンジニアのジェームズ・ダイソン氏(写真=東洋経済/アフロ)

 「家電ベンチャーのダイソンがEVへの参入を決めたのには驚いた。とりわけ(同社がEVに搭載する予定の)『全固体電池』に強い関心を持っており、実現できるなら本当にすごいことだ」。こう話すのは日本のある自動車メーカーの経営トップだ。

 2020年までにEVを発売する──。9月末、ユニークな技術を搭載した掃除機やドライヤーなどで知られる英ダイソンが大胆な計画を明らかにした。同社の16年12月期の売上高25億ポンド(約3750億円)に迫る20億ポンドを投資。自動車業界の出身者を含む400人以上の専門チームを結成して、すでに開発を進めている。

 異分野からEVに参入すること自体は珍しくない中、自動車業界の関係者がダイソンに注目するのは同社がEV向けに革新的な電池も開発しているからだ。

 それが全固体電池。現在、世界で販売されているEVの大半が搭載するリチウムイオン電池が抱える様々な課題を解決する「夢の電池」として期待されている。

 まず安全性が高い。現在のリチウムイオン電池は、正極から負極の間のイオンの通り道となる電解質に可燃性の液体を使う。このため液漏れが起きると発火しやすく、安全を確保するために厳重な対策を施す必要がある。

 これに対して、全固体電池は電解質に固体を使うため液漏れが起きない。揮発成分はほぼないため、発火しにくい。さらに固体電解質は硬いため、短絡(ショート)が起きる可能性も低い。

満充電まで数分程度

 充電にかかる時間は大幅に短縮できる。現状のEVは、日産自動車の「リーフ」を例に取ると、家庭用の200V電源で満充電まで8時間、急速充電器で約80%の充電までに30分程度かかる。これが全固体電池の場合は数分程度に短縮できるとされる。さらに固体であるために設計の自由度が高く、高温や低温で出力が低下しないという利点もある。

 だが、全固体電池には実用化に向けた課題があった。電池としての基本性能であるエネルギー密度や出力密度がリチウムイオン電池と比べて低いことだ。EVに搭載した場合に高い性能を発揮できないなら、リチウムイオン電池を置き換えるのは難しい。

 そんな全固体電池で先行し、画期的な成果を生み出しているのがトヨタ自動車と東京工業大学だ。共同研究において、一般的なリチウムイオン電池の2倍のエネルギー密度と3倍の出力密度を実現できる全固体電池を試作。試作品は安定性が高く、実用化されている電池並みの高い耐久性を備えているという。この電池をEVに搭載した場合、わずか3分程度で充電できる可能性がある。

 さらに東工大は液体の電解質に匹敵する高いイオン伝導率を持つ新たな固体電解質の材料も発見。固体電解質は、高価なゲルマニウムの代わりに、安価で汎用的なスズとケイ素を使って実現できるという。

脚光を浴びる全固体電池とは
●リチウムイオン電池と全固体電池の構造

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「英ダイソン、EVの電池革新でトヨタに挑戦」の著者

山崎 良兵

山崎 良兵(やまざき・りょうへい)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞証券部などを経て、2017年1月から日経ビジネス副編集長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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