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米国抜きTPP11に隠された日本のしたたか戦略

いずれ、米国が復帰する可能性は十分にある

2017年5月26日(金)

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米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)、いわゆる「TPP11」の閣僚会合が5月21日にベトナム・ハノイで開かれた。早期発効に向けた検討を11月までに終えることなどが確認されたが、発表された声明の取りまとめを主導したのは日本政府だ。声明から読み取れる日本政府の狙いを、元経産省米州課長の細川昌彦氏(中部大学特任教授)を解説する。 (「トランプウオッチ」でトランプ政権関連の情報を随時更新中)

5月21日にベトナム・ハワイで開催された、米国を除く環太平洋経済連携協定(TPP)の参加11カ国による閣僚会合(代表撮影/ロイター/アフロ)

 先般、米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)の閣僚会議で、閣僚声明がまとめられた。内容を見ると、取りまとめはどうやら日本が豪州と協力して主導したようだ。

 前回3月に開催されたチリでの閣僚会合では、米国の離脱を受けて、TPPが方向性を見失って漂流しかねない危機的状況であった。日本も国内では「米国抜きTPP=TPP11」への慎重論もあって、スタンスを決めかねて様子見だった。

 ところが4月になって官邸主導で米国抜きTPPに決断してから、大きく潮目が変わった。豪州など積極派と連携を取りながら、失いかけたTPPの求心力回復に奔走した。もちろん参加国の意見には依然として隔たりがあるものの、今後の方向性を示す第一関門としては及第点だろう。

日本が主導した閣僚会合声明に隠された3つの狙い

 今回の声明には随所に日本主導の戦略が盛り込まれている。

 第一に、「早期発効」という目標を参加国間で共有して結束を維持したことだ。プライオリティーを「早期」というタイミングに置くことによって、今後の選択肢は自ずから絞られてくる。結果的に、協定の大幅見直しや、中国などを参加させての再交渉といったかく乱要因は封じることができる。

 今後のロードマップとして、「11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議までに検討作業を完了する」と、設定できたことも大きい。ポイントは来年秋の米国の中間選挙だ。それまでに受け皿を作って、米国にとっての選択肢に仕立てておくことが何としても必要となるからだ。それまでの間、参加国の閣僚がそろう機会もそう多くない。そういう意味でいいタイミング設定だろう。

 第二に、「将来はTPPの高い水準のルールを受け入れることを条件に、TPPを拡大する」ことを盛り込んだことも重要だ。中国が参加するならば、この条件をクリアすることが必要となるが、当面無理だろう。むしろタイ、インドネシアなど参加を希望している国々を取り込むことが大事だ。

 TPPの目的は、アジアの成長市場の活力を取り込むためにルールを整備することにある。タイ、インドネシアなどは市場規模も大きく、日本企業をはじめサプライチェーンが展開しており、参加していけば将来における経済的実利は大きい。米国企業にとっても同様で、米国復帰の誘因にもなる。

 第三に、「米国の復帰を促す方策を検討」することを確認したことも重要だ。米国市場へのアクセスと引き換えに国内規制の改革を譲歩した、というベトナムなどの参加国は米国抜きのTPPに慎重という。しかしながら、米国抜きのTPPといっても、それは単にプロセスに過ぎない。あくまでも目的は「米国が参加したTPP」である。

 ならばその可能性をどう見るか。

コメント4件コメント/レビュー

『TPPとRCEPは「統合」より「使い分け」をすべき』は分かり易いが、前の日経の記事では逆に「統合すべき」と言う内容が書かれていた。どちらにもそれぞれの言い分はあるが、最終的な理想実現のためにはどちらが優れているかだろう。そう言う意味で、私は「使い分け」の方が「ベター」だと思う。オバマは軍事に於いて大きな失敗を見過ごしてしまったが、TPPは中国に「国際ルールを守らせる」道具として期待していたのだと思うし、その考え方には共鳴出来る。日本政府が「粘り腰」で頑張り過ぎた為に米国を含めたTPP締結は4年以上遅れる事になってしまった。今更「したたか戦略」もないものだが、日本政府は物事をタイムリーに実現していく能力に欠けている。同じ事を実現するのでも、その時期によって持つ意味が大きく変わる事を理解出来ていないのではないかと思ってしまう。アメリカ抜きの締結に消極的な国の説得には「えさ」を与えるしかない事は分かりきっている。こう言う場面でケチったら実現は遠のくばかりだが、日本政府に「大胆」さは期待出来ない。(2017/05/26 10:37)

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「米国抜きTPP11に隠された日本のしたたか戦略」の著者

細川 昌彦

細川 昌彦(ほそかわ・まさひこ)

中部大学特任教授(元・経済産業省米州課長)

1955年1月生まれ。77年東京大学法学部卒業、通商産業省入省。「東京国際映画祭」の企画立案、山形県警出向、貿易局安全保障貿易管理課長などを経て98年通商政策局米州課長。日米の通商交渉を最前線で担当した。2002年ハーバード・ビジネス・スクールAMP修了。2003年中部経済産業局長として「グレーター・ナゴヤ」構想を提唱。2004年日本貿易振興機構ニューヨーク・センター所長。2006年経済産業省退職。現在は中部大学で教鞭をとる傍ら、自治体や企業のアドバイザーを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

『TPPとRCEPは「統合」より「使い分け」をすべき』は分かり易いが、前の日経の記事では逆に「統合すべき」と言う内容が書かれていた。どちらにもそれぞれの言い分はあるが、最終的な理想実現のためにはどちらが優れているかだろう。そう言う意味で、私は「使い分け」の方が「ベター」だと思う。オバマは軍事に於いて大きな失敗を見過ごしてしまったが、TPPは中国に「国際ルールを守らせる」道具として期待していたのだと思うし、その考え方には共鳴出来る。日本政府が「粘り腰」で頑張り過ぎた為に米国を含めたTPP締結は4年以上遅れる事になってしまった。今更「したたか戦略」もないものだが、日本政府は物事をタイムリーに実現していく能力に欠けている。同じ事を実現するのでも、その時期によって持つ意味が大きく変わる事を理解出来ていないのではないかと思ってしまう。アメリカ抜きの締結に消極的な国の説得には「えさ」を与えるしかない事は分かりきっている。こう言う場面でケチったら実現は遠のくばかりだが、日本政府に「大胆」さは期待出来ない。(2017/05/26 10:37)

先般、米国抜きの環太平洋経済連携協定(TPP)、いわゆる「TPP11」の閣僚会合で発表された声明の取りまとめを、
豪州と協力したとは言え主導したのが日本政府であったことは、外交音痴の日本としては上出来である。

このTPPと中国が主導する東アジア地域包括的経済連携(RCEP)と合体させようとする発言も国内に見られるが、
私は、絶対反対である。
RCEPとTPPでは、質の高いルール作りで主導する日本の戦略目標には明らかに合致しない。

途上国の中には、先進国の支援で国内体制を整備しなければルールを守れない国も多く、それらがRCEPに参加する。
しかし、TPP陣営は、中国の経済支援を受け入れた途上国(特にアフリカ諸国等)の後の悲惨な実態の
ネガティブキャンペーンをしっかりと行う必要がある。ネガティブキャンペーンは外交手段では当たり前のことである。

また、従来ではRCEPに参加するするしかなかった、途上国のTPPへの参加の道もTPP11発効後段階的に用意することも必要であろう。
もちろん、中国も参加させても良い。RCEPとしてではなくTPPへである。

そして、最大の目標は、米国の参加である。トランプ大統領とアメリカ合衆国通商代表部(USTR)に二国間協定が
労力の割にいかにザル協定で割の合わないものか理解してもらうよう、TPP11各国は働きかけるべきである。(2017/05/26 09:24)

記事は米国を見るばかりで中国の一帯一路に言及する記述がなかったが、中国が華々しくもその大セレモニーを演出した陰で、それへの対抗軸として着実に日本の主導権を維持する戦略と見るべきではないのか。(2017/05/26 08:14)

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