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トランプ大統領が仕掛けた「互恵的」という爆弾

G7共同宣言に織り込まれた「危険な言葉」を緊急分析

2017年5月31日(水)

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先進7カ国首脳会議(G7サミット)が、トランプ米大統領の登場で大もめになった。焦点となった「保護主義と闘う」という文言を何とか維持したものの、逆に爆弾とも呼べる危険な言葉を仕掛けられた。その言葉とは「互恵的」だ。元経産省米州課長の細川昌彦氏(中部大学特任教授)が読み解く。(「トランプウオッチ」でトランプ政権関連の情報を随時更新中)
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 1人の人間の登場で、会議の様相がこれほどまでに変わるものだろうか。

 トランプ大統領の登場によって、最後までもめた今回の主要7カ国首脳会議(G7サミット)。結束を誇示するはずのサミットが、かえって溝の深さを露呈して終了した。最後の最後まで宣言文が出せるかどうか、悲観的な見方さえあった。私もかつてG7サミットを担当していたが、これほどまでに宣言文の書き方でもめたサミットも珍しい。

危険な「相互主義」の再来か

 経済分野で最大の問題は「保護主義と闘う」という文言を入れるかどうかで大もめにもめたことだ。過去10年、毎年G7サミットで確認し続けてきた文言である。今回、米国は削除を主張したが、これまであった文言の削除は今後、米国の保護主義的な措置を認めることにもつながりかねない。激しい応酬の結果、最後は土俵際で踏みとどまって、なんとかこの表現を維持した。

 しかし、そのための大きな代償も別途支払っている。「互恵的」という危険な言葉がそれだ。貿易に関して、「自由、公正」に加えて「互恵的」が付け加えられている。「相互主義」とも呼ばれているものだ。

 トランプ大統領は会議の場でこう主張した。

 「米国が低関税ならあなた方も引き下げるべきだ。あなた方が30%を課すならば、米国も30%に引き上げる」

 私は本コラムで、2月の日米首脳会談において、トランプ大統領が共同記者会見でこの言葉を発した際にも、その危険性を指摘した(トランプ氏が発した「互恵的」の真意 )。80年代の貿易摩擦が激しかった頃、この言葉を使って貿易不均衡の是正や市場開放を迫られた苦い経験があったからだ。

 幸い日米首脳会談での共同声明の作成では、この言葉が盛り込まずに「自由、公正」でとどめるよう日本政府も頑張った。しかし今回は、全体が決裂しかねないギリギリの状況の中で、最後は抗しきれなかったようだ。それが欧州も絡んだ多国間交渉の難しさだ。

コメント6件コメント/レビュー

「中国が接着剤」と言う言い方に違和感があります。
今の地球上で中国は唯一17世紀頃の帝国主義を主張している独裁国家です。
それをG7の接着剤と言い募るのは適正とは言えません。
「共通の敵」と言うべきです。
筆者は知らないようですが、南シナ海が中国の内海化してもEUは困りません。
(日本とアメリカは物凄く困る。)
逆にドイツにとって中国は重要な貿易国で経済的にドイツは中国を支えています。
(中国に資本を入れているのは何処のドイツだ!と言う笑えないジョークがある。)
一方で今回はロシアへの非難が無かった事を注目すべきです。
EUにとってロシアは目の前の敵国です。
この様にEUと日本・アメリカにとっての仮想敵国(潰したいと思う国)が異なります。
それを中国へのけん制で一本化出来たのは大成功と言えます。

又、トランプの主張を良く聞けば彼は政治家らしく「自国の国営が最重要」と言っているに過ぎません。
地球統一主義や完全自由貿易主義は現状に合わなくなって来ています。(2017/05/31 20:02)

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「トランプ大統領が仕掛けた「互恵的」という爆弾」の著者

細川 昌彦

細川 昌彦(ほそかわ・まさひこ)

中部大学特任教授(元・経済産業省米州課長)

1955年1月生まれ。77年東京大学法学部卒業、通商産業省入省。「東京国際映画祭」の企画立案、山形県警出向、貿易局安全保障貿易管理課長などを経て98年通商政策局米州課長。日米の通商交渉を最前線で担当した。2002年ハーバード・ビジネス・スクールAMP修了。2003年中部経済産業局長として「グレーター・ナゴヤ」構想を提唱。2004年日本貿易振興機構ニューヨーク・センター所長。2006年経済産業省退職。現在は中部大学で教鞭をとる傍ら、自治体や企業のアドバイザーを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「中国が接着剤」と言う言い方に違和感があります。
今の地球上で中国は唯一17世紀頃の帝国主義を主張している独裁国家です。
それをG7の接着剤と言い募るのは適正とは言えません。
「共通の敵」と言うべきです。
筆者は知らないようですが、南シナ海が中国の内海化してもEUは困りません。
(日本とアメリカは物凄く困る。)
逆にドイツにとって中国は重要な貿易国で経済的にドイツは中国を支えています。
(中国に資本を入れているのは何処のドイツだ!と言う笑えないジョークがある。)
一方で今回はロシアへの非難が無かった事を注目すべきです。
EUにとってロシアは目の前の敵国です。
この様にEUと日本・アメリカにとっての仮想敵国(潰したいと思う国)が異なります。
それを中国へのけん制で一本化出来たのは大成功と言えます。

又、トランプの主張を良く聞けば彼は政治家らしく「自国の国営が最重要」と言っているに過ぎません。
地球統一主義や完全自由貿易主義は現状に合わなくなって来ています。(2017/05/31 20:02)

トランプの言う「互恵的」と「相互の利益を創出する」は
互恵的でもなければ相互の利益を創出するものでもなく
単に自分さえ良ければいい、という一方的なものだというのは明白ですが
それはさておき
自由貿易で「互恵的」や「相互の利益を創出する」は危険、そんなものはない。
というのはつまり自由貿易は勝ち負けがあるゼロサムゲームだという事でいいんでしょうか。
もしそうならしない方がマシですね。
保護貿易の方がよっぽどいいでしょう。
少なくとも非関税障壁とかはややこしくなるのでさけますが
相手が関税をかけるのにこちらは非関税で対抗して関税かけるのを
非難されるいわれはないでしょう(2017/05/31 16:30)

孤立するアメリカと、軍事面な協力と引き換えの「互恵的」な貿易をさせられる。

中国とは、目先の北朝鮮の問題解決のためにも今は手を組む必要があるにも関わらず、貿易問題以外に東南アジア・南シナ海の安全についてわざわざ取り上げて、話を更にまとまらなくする。

関係者相互の利害関係への理解力、多角的な情報の分析力や優先順位の判断力、長期的展望の構想力、調整能力をもった人材がいないのではないか。(2017/05/31 12:57)

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