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「メガFTA」が対米、対中戦略を左右する

2018年7月25日(水)

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 先週は日欧EPA(経済連携協定)の署名、TPP11(環太平洋経済連携協定)の首席交渉官会合があった。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)の交渉会議は今週も行われている。一連の「メガFTA(自由貿易協定)」を巡る動きは、これからの国際秩序を大きく左右する。

 大事なのは、これらを個々に論ずるだけでなく、相互の関連性、そして全体としての大きな潮流を見る視点だ。木を見て森を見ずにならないようにしなければならない。

日欧EPAが7月17日に調印された。左からトゥスクEU大統領、安倍首相、ユンケル欧州員会委員長(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 日欧EPAとTPP11。これらを「米国の保護主義への牽制」とメディアは報道する。確かにその通りだが、そういう一般論だけでは表面的すぎる。米国との関係ではもっと突っ込んでみるべきだろう。つまり日本と欧州が進める今後の対米交渉戦略にどう具体的に影響するかを見るべきだ。また中国に対する意味合いも忘れてはならない。

日欧EPAから「自動車関税ゼロの有志国協定」へ

 日欧EPAのポイントの一つは、欧州が日本車に課す10%関税の撤廃だ。EUは韓国車に対する関税をすでに2016年から撤廃している。それを背景に韓国は猛烈な販売攻勢を欧州で繰り広げており、シェアを2009年の4.1%から2016年の6.3%へと着実に増やしている。それに日本メーカーが危機感を抱いていることから、日欧EPA交渉における焦点の一つになっていた。結果は段階的に引き下げて8年目で撤廃することになった。

 すると今度は、日韓に比べて相対的に不利になる米国も黙ってはいない。EUにしてみれば、米国よりも競争力がある、怖い日韓に対して既に切ったカードである。米国に対して切っても痛くも痒くもない。米国が検討する自動車関税引き上げの脅しに対して、EUが「米国が課す自動車関税2.5%との相互撤廃」というカードを切るのも当然だろう。

 更に一歩進めて、自動車の関税撤廃を定める“有志国協定”を日本、韓国、カナダ、メキシコとともに模索する動きもあるようだ。EUらしい、巧みな戦略である。自動車は利害が錯綜する分野だけに簡単ではないが、こうした保護主義に対抗する構想力は重要だ。

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「「メガFTA」が対米、対中戦略を左右する」の著者

細川 昌彦

細川 昌彦(ほそかわ・まさひこ)

中部大学特任教授(元・経済産業省米州課長)

1955年1月生まれ。77年東京大学法学部卒業、通商産業省入省。「東京国際映画祭」の企画立案、山形県警出向、貿易局安全保障貿易管理課長などを経て98年通商政策局米州課長。日米の通商交渉を最前線で担当した。2002年ハーバード・ビジネス・スクールAMP修了。2003年中部経済産業局長として「グレーター・ナゴヤ」構想を提唱。2004年日本貿易振興機構ニューヨーク・センター所長。2006年経済産業省退職。現在は中部大学で教鞭をとる傍ら、自治体や企業のアドバイザーを務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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