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日産ゴーン氏解任とEU離脱に揺れる英最大工場

年間50万台を生産する英サンダーランド工場の従業員を直撃

2018年11月29日(木)

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 11月23日、日産自動車にとって欧州最大の生産拠点であるサンダーランド工場に向かった。英国東北部にあるニューカッスル空港からクルマを40分ほど走らせると、巨大な工場が見えてくる。

 同工場は約7000人の従業員が、多目的スポーツ車(SUV)「キャシュカイ」などを年間約50万台生産し、うち8割を欧州諸国などに輸出している。昼間は人の出入りが少なかったが、午後3時くらいになると勤務を終えた従業員たちが足早に駐車場に向かい、家路につこうとする。

 サンダーランド工場は今、2つのショックに揺れている。一つは日産会長だったカルロス・ゴーン氏の逮捕と解任だ。ゴーン氏は金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の疑いで、東京・小菅の東京拘置所に勾留されている。もう一つは英国のEU離脱(ブレグジット)だ。この2つはサンダーランド工場にとって、決して無関係ではない。

日産自動車のサンダーランド工場。約7000人を雇用し、英国最大の生産台数を誇る工場だ。

 ゴーン氏に近い関係者は証言する。「ゴシップ誌などの情報まで耳に入れるように指示するなど、以前からゴーンさんは世間からの見られ方を非常に気にしていた。報酬額を減額して記載していたとしたら、その点は一貫しているようだ」。英国工場の従業員は、ゴーン氏の逮捕と会長解任をどのように見ているのか。

 「ゴーンにはいい印象があったので驚いた。ただ、報道を見ているとひどいよね」(40代男性)。答えたくないのか、ゴーン氏のことをよく知らないと言う従業員もいた。

 英国のEU離脱については11月25日、緊急のEU首脳会議で離脱協定案と政治宣言案が承認された。しかし、英国にとって不利な協定案だとして、英国議会が否決する可能性が高まっている。その場合は、離脱条件などで合意することなく無秩序に英国がEUから離脱し、今は不要な通関手続きや関税が生じる事態になりかねない。

 これはサンダーランド工場にとって最悪のシナリオだ。同工場は多くの部品を欧州各国から調達している。通関手続きや関税の導入は物流を遅延させ、生産コストの上昇を招いてしまうからだ。

 「ブレグジットの動向を気にしている。この工場でもリストラされた人がいる。生産縮小にでもなったら本当に困る」(50代男性)

2016年10月、メイ英首相と会談した後に首相官邸から出てくるゴーン氏。歴代の英首相ともつながりが深い(写真:Shutterstock/アフロ)

 日産だけでなく、英国にとってもサンダーランド工場の重要度は高い。トヨタ自動車やホンダ、独BMW、英ジャガー・ランドローバーなどが英国内に製造拠点を構えている。2008年のリーマン・ショック後は年間の生産台数が100万台程度に落ち込んだが、2017年には170万台ほどに回復している。その中でも日産のサンダーランド工場が最大で、英国の自動車工場の象徴と言っていい。

 11月19日に、英主要経済団体の英産業連盟(CBI)が開催した年次総会に登壇したメイ英首相は、自動車の生産台数を増やしている具体例として、真っ先にサンダーランド工場の名前を挙げた。そして「直接的、間接的に多くの雇用を生み出し、地元経済の中心だ」と述べた。

 その英政府とゴーン氏のつながりは深い。20年近く日産を率いてきた間に、時の英首相とは軒並み面会している。2006年には当時のブレア首相がサンダーランド工場を訪問し、ゴーン氏と共に英国日産の輸出300万台の達成を祝っている。

 ゴーン氏は英国がEU離脱を決めた後、16年10月にメイ英首相と会い、EU離脱が英国での生産に影響が及ばないような配慮を求めた。英政府からEU離脱後にもサンダーランド工場の競争力を維持することを取り付け、同工場で主力のSUVの次期モデルの生産を継続することを発表した経緯がある。そのため、離脱後も工場の位置付けは変えないとの見通しがあった。

コメント7件コメント/レビュー

 後の祭りですね。英国人は、もっと慎重な人達と思っていたが、世界的に激情的な傾向が強くなっているようだ。日本も当然影響を受けるが、その中で、身軽に動ける態勢を整えるしかない。(2018/12/03 13:36)

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「日産ゴーン氏解任とEU離脱に揺れる英最大工場」の著者

大西 孝弘

大西 孝弘(おおにし・たかひろ)

日経ビジネス記者

1976年横浜市生まれ。「日経エコロジー」「日経ビジネス」で自動車など製造業、ゴミ、資源、エネルギー関連を取材。2011年から日本経済新聞証券部で化学と通信業界を担当。2016年10月から現職。2018年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

 後の祭りですね。英国人は、もっと慎重な人達と思っていたが、世界的に激情的な傾向が強くなっているようだ。日本も当然影響を受けるが、その中で、身軽に動ける態勢を整えるしかない。(2018/12/03 13:36)

何をお気楽なお話を・・・
ルノー(仏政府、マクロン)が議決権を行使し、日産を合併したらどうなります?
英国離脱がどんな形であろうとも、英国工場の縮小閉鎖が待っていますよ!
EUの仏としては、英国製の輸入の代替えとして、仏工場の活用になるに決まっています。
日産のインド工場で生産するはずの車を仏のルノー工場に移管した例が決め手です。
 英国日産工場の行方は、まさに日本政府の対応次第です。仏は社会民主の国家資本主義なのですから、一私企業では対応不能になりますよ!
 国家資本主義が世界で暴れています(成功したように見えている)から、仏政府も昔のように国有化で牛耳りたいのでしょう。(2018/11/30 10:58)

民主主義は「説明・説得/決定/実行」のサイクルで動く。
決定して実行せず、再検討や決定事項の否定を行うのは反民主主義であり、物事を停滞させ、混乱と対立を産む。
その最も身近な例が『普天間基地廃止/辺野古代替飛行場新設移転問題』だ。

従って、ブレグジットの再投票はあり得ない。
これはメイ首相が何度も表明していることだが、民主主義国の首相なら当然である。

「悪法でも法は法である」というソクラテスの言葉は最近好んで否定されているようだが、「悪法は法では無い」とするならば、その法が善か悪かは誰がどの基準で決めるのか。

もし「悪法は法では無い」を認めるなら、韓国の日韓基本条約否定も、日本の韓国併合は不法という論理も認めなければならなくなる。
つまり法治主義、現代文明は足下から崩壊するのである。(2018/11/30 01:44)

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