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ダイソンは「課題発見力」を徹底的に鍛える

英ダイソンの頭脳拠点に潜入(前半)

2016年12月14日(水)

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英ダイソン本社の社員集会の様子

 英国の家電メーカー、ダイソン。独特の色使いとユニークな形状、高いデザイン性を評価するファンを世界中に持つ。日本での人気も高い。掃除機から始まった取り扱い製品は、空調機や照明など5種類に広がった。今年、その最新製品となるヘアドライヤーを発表した。

 業績も好調だ。2015年12月期の売上高は前期比26%増の17億ポンド(約2380億円)と過去最高を記録。営業利益に償却費を加えたEBITDAは同19%増の4億4800万ポンド(約627億円)となった。世界72カ国の市場で事業を展開しており、顧客数は6700万人を超える。

 独創的な製品は、いかにして生まれるのか。その秘密を探るため、ダイソンが開発拠点を置く英国本社を訪れた。そこで見たのは、エンジニアの創発を促す様々なシカケ。同社のユニークな職場を歩きながら、「革新を生む組織」の条件を探った。

 英ダイソンの本社があるのは、ロンドンの西に位置するブリストル市郊外のマルムズベリー。丘陵地帯にのどかな緑地が広がる、英国の伝統的な自然景観が残る町だ。ロンドン中心部からは、電車とタクシーを乗り継ぎ、2時間ほどの道程。決して立地の良い場所ではないが、受け付けロビーは早朝から取引先やダイソンの他の拠点からの訪問者でにぎわっていた。

英マルムズベリーにあるダイソン本社の建物。朝から来客が相次ぐ(写真:川上真)

 本社に到着し、敷地内にある駐車場から受け付けのあるビルに向かう。その途中で、ダイソンらしい光景を早速目にした。駐車場の一角に、無数の巨大な展示物が設置されているのだ。

ダイソン本社に設置されている戦闘機「ハリアー」(写真:川上真)

 展示しているというよりも、無造作に置かれているという方が正しい表現かもしれない。戦闘機の「ハリアー」、民間ヘリコプターの「ベル47」、自動車の「ミニ・クーパー」…。すべて模造品ではなく、実物。創業者のジェームズ・ダイソン氏の所有物だ。

 いずれも、貴重なコレクション。だが、単なる趣味で置いているわけではない。それぞれの展示物には、エンジニアが守るべき「心得」のようなものが込められている。

展示物にはすべて意味がある

 例えば、上の写真にあるハリアー。同機は「実用垂直離着陸」を、世界で初めて実現した戦闘機だ。英国で開発された。文字通り、ほぼ垂直に離着陸できるため、滑走路を必要としない。

 「ハリアーは、コンセプトの大切さを教えてくれる」

 ダイソンのエンジニア、クリス・ビンセント氏はこう言う。垂直離着陸の技術が着目されたのは1950年代。当時、欧州各国で開発競争が活発化した。機体を垂直に浮き上がらせる技術として、当時、複数のアイデアがあったという。中でも、主流だったのは、垂直に浮上するための専用エンジンを搭載する案だった。しかし、専用の浮上エンジンを搭載すると機体重量が大幅に増える。これは、戦闘機の飛行速度を低下させるデメリットをもたらす。

 速度を落とすことなく、垂直離着陸をいかに実現するか。この課題に対して、ハリアーは、飛行に使うエンジンノズルを回転させるアイデアを採用した。浮上する際に、エンジンノズルの向きを90度傾け、下に向けるのだ。

 この仕組みなら、浮上専用エンジンが不要となり、その分、機体の重さを維持できる。しかし、アイデアは机上の空論の域を出なかった。そこで、開発陣はエンジンノズルの回転に焦点を絞り、何度もプロトタイプ(試作機)を作っては検証を繰り返した。結果的に、コンセプトは証明され、最終的に実機の開発につながった。

 「革新的な製品には、必ず画期的なコンセプトがある。そこには、興味深いストーリーがあり、人に話さずにはいられない」とビンセント氏は言う。ハリアーは、その貴重な教材というわけだ。

コメント9件コメント/レビュー

単純に組織や発想はなどは日本の今の会社にはないところ
日本も組織のあり方として見習う点はあるでしょうね

若手をどんどん活躍させていくのはいいことです

若い人のが勢いがありますからね(2016/12/15 22:56)

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「ダイソンは「課題発見力」を徹底的に鍛える」の著者

蛯谷敏

蛯谷敏(えびたに・さとし)

日経ビジネス記者

日経コミュニケーション編集を経て、2006年から日経ビジネス記者。2012年9月から2014年3月まで日経ビジネスDigital編集長。2014年4月よりロンドン支局長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

単純に組織や発想はなどは日本の今の会社にはないところ
日本も組織のあり方として見習う点はあるでしょうね

若手をどんどん活躍させていくのはいいことです

若い人のが勢いがありますからね(2016/12/15 22:56)

羽の無い扇風機、というコンセプトは、だいぶ昔に日本のどこかのメーカーが特許を出していたのだけど、結局商品化できなかったと記憶しています。例え白物家電であっても、商品化するための技術力、デザイン力、ブランド力などが重要なのですね、と思いました。
いわゆる黒物家電の多くはスマホに乗っ取られて久しいですが、生活に欠かせない白物家電にこそチャンスが隠されているのかも知れませんね。(2016/12/15 17:59)

デザインに魅かれて扇風機「Air Multiplier」に飛びつきましたが、以下の理由によりお蔵入りしたままです。
・もの凄い轟音。店頭では周囲がうるさくて気にならなかったのですが、「就寝時に使用したい」という当初の思惑どころかTV視聴の邪魔になる程の騒音は想定外でした。
・均一な風。全く揺らぎの無い風圧はドライヤーそのもので浴び続けると非常に不快に感じます。羽根の回転による揺らぎが(1/fゆらぎ機能が無くとも)自然に近い心地良さを生んでいることに気付かされました。
自分の需要・コンセプトに全く合わない買い物をしてしまったのは偏に私個人の責任ですが、扇風機としての「効能」を見誤ったかのようなAir Multiplierを経験したことで他のダイソン商品についても懐疑的な目で検討するようになりました。(2016/12/14 14:14)

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