• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

日本にも「移民局」が必要だ

『なぜ、世界は“右傾化”するのか?』対談(後編)

2017年6月26日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

(前編から読む

 英国のEU離脱、アメリカのトランプ大統領の誕生、フランスでの極右勢力、国民戦線の台頭、ポーランドなどの政治の保守化、そして欧米全体を覆う反イスラム主義。池上さんと増田さんの著書『なぜ、世界は“右傾化”するのか』とお二人の解説によれば、いま世界で起きているのは、言葉通りの「右翼化」ではなく、極端な一国主義の台頭である、と。そこで連想するのが、日本における移民問題です。少子高齢化の進む日本で、保守・革新どちらの側にも、積極的に移民策を進める話はなかなかでてきません。

増田:まず、日本人のマインドに、移民や難民の受け入れがなじまないという実態があります。

 地続きで隣国と接していて、たくさんの植民地をアジアやアフリカに有していたヨーロッパ各国や、そもそもが移民国家であるアメリカでは、絶えず移民がやってくるのは当たり前でした。一方、島国国家の日本の場合、文化や宗教の異なる外国人がどんどん押し寄せる、という経験をしていません。だから、「移民政策が必要かもしれない」と頭では理解していても、全く異なる文化や宗教を持っている人たちとお隣さんになる、ということに肌身では納得できない側面があるでしょう。結果、人手不足にもかかわらず、インドネシアやフィリピンなどからやってきた人たちに介護されるのに抵抗感を覚える、という人たちが少なくなかったりする。

 こうした日本人の意識を前提に、海外からの移民を受け入れるのなら、どういう形でなら受け入れやすいのかを考えていかないとならないと思います。日本の人口が減少し、高齢化が進むのは、逃れられない事実ですからね。

日本も移民局をつくるべき

池上 彰(いけがみ・あきら)/1950年、長野県生まれ。1973年から2005年までNHKに記者として勤務。2005年からフリーランスのジャーナリスト。2012年から東京工業大学教授に。2016年、東工大を定年退職し、名城大学教授に。東工大でも特命教授として引き続き講義を受け持つ。今年度は計7つの大学で教壇に立つ。(写真:陶山 勉、以下同)

池上:今、コンビニエンスストアに行くと、店員の多くが外国人です。物流センターなどで働く人も外国人が多いと聞きます。介護や福祉の専門学校や大学では、多数の留学生を受け入れており、彼ら彼女らがそのままこうしたアルバイトについているケースも見受けられます。また、農村や漁村には、技能研修生という名の、事実上の移民が入っています。

 前回、日本では公式には移民政策をとっていないと言いましたが、一方で、留学生や短期の労働者として日本で働いている外国人は数多くいるのです。でないと、日本の「現場」は人手不足で立ち行かなくなってしまう。つまり、建前と現実に大きな乖離が生まれているのです。ここで、日本のずるい建前と本音の使い分けが透けて見える。人手不足だから外国人に頼るしかない。でも、本当は入れたくない。だから、建前としては認めていないけど、移民という名目じゃないかたちで、入ってきてもらおう、と。

 個人的な意見を言えば、私は日本も移民局をつくるべきだと思います。今は、入国管理局が難民の審査をしていますが、彼らの仕事は「不正に入ってこようとする人を入れない」というのが基本スタンスです。つまり、入れることが前提ではなく、入れないことが前提となっている。当然、入国審査は厳しくなる。日本の現実と未来を見据えたら、海外からの移民を受け入れることを前提とした役所をつくるべきでしょう。

増田:ヨーロッパの中でも日本と同じ島国国家イギリスの例をとってみましょう。

 イギリスの国民が、なぜEUを離脱するBrexitの道を選んだのか。理由のひとつは、「移民に職を奪われた」という声が大きかったからです。90年代にEUができて、域内の移動が自由になると、かつての東欧各国から職を求めてヨーロッパの先進国に移民がやってきました。イギリスにもポーランドをはじめたくさんの東欧移民がやってきました。

コメント40件コメント/レビュー

移民局は必要と言う意味では同意する。
悪意を持って日本に入り込むような人間を入れない為にも。
難民と言えども審査をしっかりする為にも。
入っても言葉も文化も受け入れる気の無いのは駄目です。
日本に来てハラール対応されている事を当然の用に求めるとか只のモンスターです。
日本語以外で応対できないからJapaneseOnlyで差別と言うのもおかしい。(2017/07/01 00:21)

オススメ情報

「池上彰の「学問のススメ」」のバックナンバー

一覧

「日本にも「移民局」が必要だ」の著者

池上 彰

池上 彰(いけがみ・あきら)

ジャーナリスト

1950年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。報道局主幹を経て、2005年3月よりフリージャーナリストとして活躍中。2012年4月から東京工業大学で東工大生に「教養」を教えている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

移民局は必要と言う意味では同意する。
悪意を持って日本に入り込むような人間を入れない為にも。
難民と言えども審査をしっかりする為にも。
入っても言葉も文化も受け入れる気の無いのは駄目です。
日本に来てハラール対応されている事を当然の用に求めるとか只のモンスターです。
日本語以外で応対できないからJapaneseOnlyで差別と言うのもおかしい。(2017/07/01 00:21)

―――つづき
>失礼ながら、企業経営や人事関係の仕事をしているからこそ②

 2015年の1年間で15歳から65歳の生産年齢人口は80.0万人減少です(社会保障・人口問題研究所、出生・死亡中位推計)。一方2015年の完全失業者数は2,220万人です(総務省労働力調査報告推計)。2015年時点、単純計算で4年分の充当労働力しか残っていません。一方、高齢者は71.7万人も増加しています。
その結果が労働政策研究・研修機構の分析に現れています。2017年時点で「需要不足失業率(需要が回復すれば解消される失業分)」はマイナス0.29%となっています。つまり完全雇用状態に至ってしまったのです。残るは働く意志があり求職活動を行っていない潜在的失業が頼みの綱ですが、約150万人と推計(日本総研)されており、生産年齢人口減少分を2年分補う程度しか残っていません。
巷でよく叫ばれるのがロボットの導入ですが、2014年日本の産業用ロボット導入台数は29,300台(国際ロボット連盟)で、稼働数は28万6千台(2015年国際ロボット連盟)、稼働数はこの20年間減少傾向にあります。現状の導入台数は廃棄分すら補えていませんが、仮に現状維持状態だとして、導入を思い切って2割増やして6千台増。人間3人分の能力があるとして1万8千人、多く見積もって10人分としても6万人の労働力を補うに過ぎず、今後50年間毎年50万~100万人程度の労働力が減少していく状況に対し、焼け石に水であるのが実態なのです。

つまり、賃金上昇で余剰労働力を釣り出す、ロボットに任せるなどという策では、あまりにも微力であるほど、我が国の労働力の減少はすさまじく、外国人労働者の活用を含めありとあらゆる策を発動しなければならないのが近未来の現実なのです。(2017/06/30 17:28)

>失礼ながら、企業経営や人事関係の仕事をしているからこそ①

 貴殿は外国人排斥主義者ではなさそうで統計も理解できそうなので、コメントします。

 結論から申しますと、論点が異なっています。一企業の経営者として企業が存続するための行動としては貴殿のおっしゃるとおり賃金の引き上げ等の労働条件の改善です。この点については何も異論はありません。

 小生が問題視しているのは、日本全体の話です。労働力の絶対数を充当しない限り、どこかの企業・業界が人を奪い、他の企業・業界が人手不足に陥っていく。その連鎖を繰り返すだけで、労働力の絶対数が現在すさまじい勢いで減り、人手を必要とする老齢人口が増加していくなか、いつかは特定の業界全体が崩壊する時がくるだろうと予想しているのです(おそらく介護業界)。
―――つづく(2017/06/30 17:27)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

不満や不安を明確にすると、 解決案を見つけやすくなる。

ジェレミー・ハンター 米国クレアモント大学経営大学院准教授