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1時間「燃えない」木の柱

火に強い木造建築[鹿島、住友林業、清水建設、日本集成材工業協同組合]

2017年2月2日(木)

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火事でも構造部分が焼け落ちないよう、複数の層で熱を食い止める。鉄筋コンクリート造や鉄骨造の多かった商業地域でも、木のぬくもりを実現できる。木造建築市場が活性化すれば、余っている国産木材の有効活用にもつながる。

オトノハカフェ(東京・文京)は柱や梁にFRウッドを採用し、幹線道路沿いでも山小屋風の空間を実現(写真=藤村 広平)写真1

 10月下旬のある日曜日。東京・文京にある「野菜倶楽部オトノハカフェ」は、ランチを楽しむ人々でにぎわっていた。カフェの売りは直営農場で採れた新鮮野菜。そのおいしさを引き立てるのが、建物を支える国産スギの柱と梁だ。「ぜいたくな造りとほめられます」。小島学マネージャーは誇らしげだ。

 このカフェは、片側2車線ある目白通り(都道8号線)に面して建てられている。幹線道路沿いの土地は本来、火事の際に区画をまたいだ延焼を防ぐ目的で、火に弱い木造建築は規制されている。それでもカフェを訪れたお客が、森の山小屋にいるような気分で食事を楽しめるのはなぜか。理由は建物を支える柱や梁が耐火性能を持つからだ。

 性能の目安は、火事の際でも「最低1時間」燃え崩れずに建物を支え続けること。この条件をクリアすれば、幹線道路沿いのほかにも、建物が密集する駅前や商業地域などこれまで規制の厳しかった場所で、幅広い木造の建物を建てられる。国産木材の利用を推奨する政府の後押しもあって、各社が「燃えない柱」の開発に力を入れている。

 オトノハカフェの柱に使われているのは、鹿島が東京農工大学やティー・イー・コンサルティング(東京・荒川)などと開発した「FRウッド」。2012年に国土交通相の認定を取得した。

耐火シートの厚さが20倍に膨らむ
●スリム耐火ウッドの概要(縮尺はイメージ)

 FRウッドは乾燥させた木板を貼りあわせて作る集成材。写真1の右図のように、主に建物の重さを支える「構造部分」と「燃え止まり層」、外側の「化粧材」の3層で構成する。鹿島は燃え止まり層に特殊な薬剤を染みこませ、火事でも構造部分に熱が届きにくくした。

 木材は一般的に260度に達すると燃え始める。FRウッドを1000度弱の高熱にさらした場合、何も処理していない化粧材は燃え落ちるが、構造部分には着火しない。燃え止まり層が熱を遮断するためだ。最低1時間は構造部分が建物を支える。

 「スギは密度が低いため、薬剤を注入しやすい木材だ」。鹿島建築設計本部の比留間基晃チーフアーキテクトは説明する。ただ、同じスギでも芯の部分なのか端の部分なのかで性質が異なる。

 薬剤不足が1カ所でもあれば、そこから構造部分に熱が伝わり、耐火性能は失われる。そこで開発チームは燃え止まり層に直径1mmの微細な穴を開けた。ポイントは、導管(樹木が根から水分を吸い上げる管)と垂直に穴を開けること。縦方向に走る導管を、穴で横方向にもつなぐことで、薬剤を全体に均一に行き渡らせる。

 2016年には住友林業などと組んで改良版を開発。約4割のコストダウンに成功したほか、梁については構造部分にスギより強度のあるカラマツも使えるようにした。

「耐火木造」が普及すると…

 従来の木造建築は、モルタルなどで外壁を覆い、外部からの火に強くしたタイプが多かった。ただこれでは建物内部からの出火には弱い。柱や梁が燃えれば全体が崩れ落ちる危険もあるため、人の往来が多く建物の密集する商業地域などでは、鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨造を採用せざるを得なかった。耐火木材は、私たちが暮らす街の風景を一変させる可能性を秘めているのだ。

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「1時間「燃えない」木の柱」の著者

藤村 広平

藤村 広平(ふじむら・こうへい)

日経ビジネス記者

早稲田大学国際教養学部卒業、日本経済新聞社に入社。整理部勤務、総合商社インド拠点でのインターン研修などを経て、企業報道部で自動車業界を担当。2016年春から日経ビジネス編集部。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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