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「すべてがクラウドに行くわけではない」

レッドハットの技術トップが見据える未来

2018年3月6日(火)

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 製品の原材料は誰でも手に入れることのできる無料の素材。開発は自社の社員だけでなく他社のリソースを徹底的に活用している。業績は15年連続の増収増益だ。

 そんな都合のいい会社なんてあるはずはない──。そう思う向きもあるかもしれないが、この会社は実在する。無料の基本ソフト(OS)、リナックスの関連サービスを提供している米レッドハットである。

 主力製品はRHEL(Red Hat Enterprise Linux)という企業向けリナックス。同社の製品は通信会社や金融機関だけでなく、証券取引所などミッションクリティカルな(障害や誤作動などが許されない)環境でも採用されている。収益源の多くはRHELのサポートをベースにした年間契約料。最近はRed Hat OpenShift(注*1)やRed Hat OpenStack(注*2)などオープンソースソフトウェアをベースにした製品を市場に投入している。製品開発ではオープンソースソフトウェアのコミュニティを最大限に活用するのが同社の流儀だ。

 社内組織も変わっている。CEO(最高経営責任者)が部下に仕事を依頼しても無駄だと思えば動かない。手洗い後に使うトイレのペーパータオルをハンドドライヤーに替えた際には、ペーパータオル派の社員から批判の声が沸き起こった。実力主義も徹底しており、たいしたアイデアもないのに声ばかり大きい人間はすぐに居場所がなくなる。社員一人ひとりが意見を言う、ある意味で面倒くさい組織だが、透明性の高い意思決定プロセスと実力主義の徹底がイノベーションと競争力の源泉だ。

 前回のジム・ホワイトハーストCEOのインタビューに引き続き、今回は技術部門を率いるポールコーミア製品・テクノロジー部門社長にテクノロジーの方向性について聞く。

(ニューヨーク支局 篠原 匡)

注*1:クラウドやオンプレミス(自社運用)などIT環境を問わず素早いアプリの開発・運用を可能にする製品

注*2:自社の環境にクラウド基盤を構築できる製品

前回から読む)

「あらゆるイノベーションがリナックスの上で実現している」

2020年までに売上高を50億ドル(約5300億円)に倍増させると明言している。本当に可能なのか?

レッドハット ポール・コーミア 製品・テクノロジー部門社長
2001年5月にエンジニアリング部門のエグゼクティブバイスプレジデントとしてレッドハットに参画、企業向けリナックス製品の事業拡大に大きく寄与した。(写真:間野萌 以下同)

ポール・コーミア 製品・テクノロジー部門社長(以下、コーミア):レッドハットがアクセス可能な市場はとてつもなく大きい。当社がリナックス関連のビジネスを始めた時はリナックスが普通の企業に広く普及していく段階だった。ところが、過去10年で起きているのはイノベーション・エンジンへのシフトだ。今ではあらゆるイノベーションがリナックスの上で実現している。

 例えば、(DevOpsで鍵を握る)コンテナ(注*3)はリナックスの上で動く。実行可能なコンテナ関連製品を提供しようと思えば、前提として商用ベースのリナックスを提供していなければならない。レッドハットは企業向けリナックス製品の提供で唯一成功している企業で、15年の実績がある。また、企業はクラウドやオンプレミス(自社運用)を問わず、アプリ開発やシステム管理を進めたいと思っている。こういったハイブリッドクラウド関連も大きなオポチュニティだ。

注*3:仮想化の一種で、一つのOS上に複数の独立したアプリケーションの実行環境を作る技術。従来の仮想マシンとは異なり、それぞれの実行環境でOSを動かす必要がないので起動時間は短く、サイズもコンパクトという特徴がある。仮想マシンは一つのサーバの中で複数のサーバを動かす技術のこと

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「「すべてがクラウドに行くわけではない」」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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