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高くても顧客が納得する価格を弾き出す

「ダイナミックプライシング」がもたらすインパクトを解説

  • 日経ビッグデータ 市嶋 洋平

  • シリコンバレー支局 中田 敦

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2017年5月31日(水)

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 需給によって変わるモノやサービスの価格決定に、ビッグデータが使われ始めた。客観的なデータを正しく分析すれば、高くても顧客が納得する価格がはじき出せる。IT専門誌「日経ビッグデータ」から、国内外の最新事例を紹介する。

「福岡ヤフオク!ドーム」では2016年シーズンから、需要に応じて観戦チケットの値段が動的に変わる仕組みを導入している(写真=©SoftBank HAWKS)

 「あ、高い(温かい)鍋」──。野菜の値段が軒並み高くなった昨秋、こんなダジャレが流行した。夏場に複数上陸した台風と日照不足の影響が重なり、農作物の収穫量が大幅に減った。供給より需要が多ければ、モノの値段が上がることを消費者は改めて実感した。

 ただ、世の中には価格が変わりにくい商品もある。例えば、プロ野球の観戦チケットはシーズン開始前に価格を決めてしまうのが一般的だ。スタンド席や外野席など、座席の場所(席種)に応じて価格帯を変えて値付けする。この価格が、シーズンを通じて全試合に適用される。

 コンサートなどのチケットも価格が固定されている。S席やA席など大まかに分類されてはいるものの、S席の中で前方と後方では価値が異なる。

チケット価格が毎日、変わる

チケットの転売問題に揺れる音楽業界でもダイナミックプライシングに注目が集まっている

 価格の硬直性は経営の重しとなる。イベントの日程が迫ってチケットが売れ残っていたとしても、価格を下げて販売するのが難しいからだ。チケットの価格は印刷したり、情報誌に掲載したりするので、その時点で価格が決まってしまう。買ったタイミングで価格が異なれば、「損をした」と文句を言う客も出てくるかもしれない。

 この状況に一石を投じたのが、ヤフーと福岡ソフトバンクホークスだ。2016年シーズンに「福岡ヤフオク!ドーム」で開催される試合の観戦チケットの一部を対象に、AI(人工知能)を活用した価格の最適化に取り組んだ。

 「同じクラスの席でもそれぞれの価値は異なるはず。いい席を評価して購入していただけないかと考えた」(ヤフーチケット本部チケット推進部の稲葉健二部長)。

 2016年シーズンは列ごとに評定して、異なる価格を付けることにした。その判断の根拠となるのは、(1)過去にその席がヤフオクドームの5万2000席の中で何番目に買われたかの実績値(2)現在の対象チケットの売れ行き(3)天候やホークスの順位、相手チーム、開始時刻や曜日──。これらのビッグデータを活用した(図1)。

需給に応じて価格を柔軟に変える
●図1:観戦チケットの価格を決める要素(左図)
●列ごとに異なる価格(右図)
(画像提供=ヤフー)

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