• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

海の生態系破壊を防ぐ「地味」ながら大事な技術

バラスト水管理条約の発効を控え処理技術の開発が加速する

2017年6月8日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

船舶のバランスを保つため、船底のタンクに搭載する「バラスト水」。貨物船には不可欠だが、海水と一緒に生物が移動すると生態系破壊につながる。バラスト水管理条約の発効を2017年9月に控え、処理技術の開発が加速する。

船舶移動に伴う生態系の乱れが深刻化
●バラスト水とともに生物類が遠隔地へ運ばれる
(写真=アフロ)

 瀬戸内海に面したジャパンマリンユナイテッドの造船所(広島県呉市)で2017年2月、6万トン級の最新鋭ばら積み船が竣工した。一見、普通の船だが、内部には従来見られなかった「バラスト水処理装置」が搭載されている。装置を作ったのはJFEエンジニアリングだ。

 貨物船やタンカーなどは荷物を積んでいないとき、船底のタンクに海水を注入している。航行時にバランスを保つための重りとして利用する「バラスト水」だ。船が軽くなり重心が高くなると、転覆の恐れがあるからだ。多くの船では載貨重量の3分の1程度までバラスト水を入れる。一方で、港で荷物を積み込む際にはバラスト水が不要となるため船外に排水する。

 このバラスト水が世界中で悪さをする。世界では年に数十億トンのバラスト水が別の海域へ運ばれているとされるが、水中にはエビなどの魚介類、プランクトンや細菌などが混入している。船舶と一緒に様々な海洋生物が世界中を行き交うことで、各地の生態系を乱し、自然環境や漁業などに打撃を与えているとの指摘が高まっている。

 この問題を解消しようと取り組んでいるのが、国際海事機関(IMO)だ。今年9月に「バラスト水管理条約」を発効させ、締結国に寄港する外航船に処理装置の設置を義務付ける。バラスト水に含まれる生物を沿岸の100~1万分の1、細菌は海水浴場並みにまで殺滅し、越境移動を防ぐのが目標だ。条約発効後に建造が始まる新造船はもちろん、既存船舶も5年に1度の定期検査の際に対応する必要がある。コストは1隻数千万円から1億円前後となる見通しだ。

17年は5000億円市場に

 三井住友銀行企業調査部の澤口昭太郎氏は「向こう5年間は処理装置の需要が急増し、その後も新造船向けなど安定需要が期待できる」と指摘する。調査会社の富士経済の予測では、バラスト水処理装置の市場が2017年には約5000億円と、3年前の約9倍に拡大する。

 新たに生まれるマーケットを巡り、様々なメーカーがバラスト水処理装置の開発競争を繰り広げている。

 冒頭のJFEエンジは、浄水場向けに培ってきたフィルターと薬剤を組み合わせて生物を除去する方式だ。フィルターを併用することで、コストのかかる薬剤の投入量を抑える。

 処理工程は主に3段階ある。ポンプで船内に取り込んだ海水をフィルターユニットでろ過。大きさ0.05mm以上の生物などを阻止し、海中に戻すのが第1段階だ。大きなゴミなどは、バラスト水の取り入れ口に設置した格子によって混入を防ぐ。

 フィルターを通過した海水には依然として、0.05mm未満の生物類が含まれる。そこで第2段階では、殺菌剤として次亜塩素酸ナトリウムを投入する。水道水やプールの水の消毒などにも用いられている一般的な薬剤だ。

オススメ情報

「トレンド・ボックス」のバックナンバー

一覧

「海の生態系破壊を防ぐ「地味」ながら大事な技術」の著者

寺井 伸太郎

寺井 伸太郎(てらい・しんたろう)

日経ビジネス記者

2002年、慶応義塾大学を卒業し、日本経済新聞社に入社。東京や名古屋での企業担当などを経て、直近は決算を取材する証券部。15年から現職

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

旅行業だけを追いかけて大きな成長が 見込める時代ではなくなりました。

高橋 広行 JTB社長