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ウォルマート、対アマゾンの秘策はアプリの充実

ネット対応に向けた巨人の改革と挫折を株主総会で振り返る

2018年7月11日(水)

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【2015年6月5日】:若き経営者の決意表明

 マライア・キャリーやリッキー・マーティン、ロッド・スチュアートなど、過去4年で最も豪華な顔ぶれが登場した2015年の株主総会。だが、会場の熱狂とは裏腹に、その後のアナリストミーティングや記者会見で、経営陣はどこか自信なさげな表情を浮かべていた。

 新規出店を続けていたため売上高こそ伸びていたが、利益成長は足踏み状態で、「店舗の稼ぐ力」と言える既存店売上高は5四半期連続で前年同期比を下回っていた。特に、売上高の60%を占める米国事業は2014年1月期の第1四半期(2013年2~4月期)以降、5四半期連続で既存店売上高が前年同期比を割り込んだ。既存店売上高のマイナスはリーマンショック後のリセッション以来だ。

 その状況は現場にも見て取れた。本社の目が届くベントンビル周辺のウォルマートは店内がきれいに整理整頓されており欠品も少ないが、場所によっては売れ筋商品がなく、棚も乱雑に放置されていた。レジの大渋滞もひどく、「ウォルマートに行くこと自体がストレス」という消費者の声まで上がっていたほどだ。

 eコマースで急成長を続けるアマゾン・ドット・コムの影響は当然大きいが、2015年当時で既に全米で4500の店舗があり、新規出店の余白は減少しつつあった。巨大化によって消費者の利便性や満足度も低下していた。低迷する株価が象徴するように、ウォルマートが踊り場に立っていたのは間違いない。

 その中で、マクミロンCEOは改革に本腰を入れる。キーワードは「シームレス・ショッピング」。アマゾンに比べて見劣りしていたオンラインの強化と店舗・ネットの融合。いわゆる「オムニチャネル戦略」を加速させようとしたのだ。

 具体的に言えば、レジでのアプリ決済やネットで注文した商品のピックアップ、自宅への配送など、店舗やネットに関係なく消費者が望むショッピング手段を幅広く提供することだ。ピックアップという発想に至った背景には、ウォルマートが中西部や南部など人口密度が低いエリアに多くの店舗を持っていたこともあった。

 効率的に配置された巨大な物流拠点をベースに“空中戦”を挑むアマゾンに対して、固定費のかかる4500店の実店舗はややもすると負の遺産である。だが、地図に人口密度をプロットすれば、ウォルマートの店舗から10マイル(16km)以内に人口の90%が住んでいる。この膨大な資産をeコマースでの強みとして再定義できれば、アマゾンとも戦えると考えたわけだ。

 「短期的には成長していないように見えるかもしれないが、現在、試みている改革は必ずウォルマートを変える」。2015年の株主総会で、マクミロンCEOは穏やかに語りかけた。その言葉通り、その後の1年間で買い物のシームレス化を実現するという戦略を着実に推し進めた。

ダグ・マクミロンCEO

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「ウォルマート、対アマゾンの秘策はアプリの充実」の著者

篠原 匡

篠原 匡(しのはら・ただし)

ニューヨーク支局長

日経ビジネス記者、日経ビジネスクロスメディア編集長を経て2015年1月からニューヨーク支局長。建設・不動産、地域モノ、人物ルポなどが得意分野。趣味は家庭菜園と競艇、出張。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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