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大学発ベンチャーを成功させるカギは経営者

  • 丸山 正明=技術ジャーナリスト

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2017年1月5日(木)

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 新産業起こしで低迷を続ける日本において、イノベーションを起こす担い手として期待が高まっているのが大学発ベンチャー企業だ。その大学発ベンチャー企業を成功させるカギは、「経営者人材の確保にある」との意見が相次いだ。これは、2016年12月4日に開催された日本ベンチャー学会第19回全国大会で企画されたパネルディスカッション「大学発ベンチャー企業の機能と支援」に登壇した国立大学系ベンチャーキャピタル(VC)で投資活動を担当する実務者4人の率直かつ切実な意見である。

東北大学ベンチャーパートナーズの樋口哲郎取締役管理部長

 このパネルディスカッションには、今年から投資活動を始めた東京大学など4国立大学の100%子会社であるVCの実務者4人が登壇した。その一人である東北大学系の東北大学ベンチャーパートナーズ(THVP、仙台市)の樋口哲郎取締役管理部長は「当社が2016年3月15日に第二番目の投資先として選んだHGプレシジョン(山梨県中央市)の城坂欣幸代表取締役は、弊社が大変苦労して探し出して社長をお願いした人物」と説明した。

 HGプレシジョンの事業内容は、現時点では「高精度かつ低コストの精密金属部品を提供する」と公表されているだけだ。同社は、東北大大学院工学研究科の金属フロンティア工学専攻の安斎浩一教授の研究成果を事業化するベンチャー企業として設立された。安斎教授は鋳造工学の権威であることから、精密鋳造系の研究成果を事業化・製品化していると推定されている。

 ここで肝心なことは、実はHGプレシジョンで製品開発を担当しているX氏の存在である(氏名は非公開)。このX氏は、安斉教授の研究成果を基に「高精度かつ低コストの精密金属部品」の実用化を担っている人物だ。このX氏が率いる開発チームが製品開発に専念できるように、ベンチャー企業の創業期の経営を任せられる人物として、城坂氏が代表取締役に就任したのである。

 「シード期の経営者人材として城坂氏を探し出すまでは、さまざまな人材ネットワークを活用して探し回った」と、樋口取締役はいう。日本にはまだ、ベンチャー企業を経営できる人材が少ないからだ。THVPは、2016年8月29日に同社に追加投資を実行し、事業化をさらに支援している。

 THVPが投資先第一弾として選んだ東北マグネットインスティテュート(TMI、仙台市)に対しても、2016年10月3日に追加投資を実行し、事業化支援を強化している。この投資ファンド(THVP-1号投資事業有限責任組合)は2015年8月31日に設定されたものだ。

 実は、このパネルディスカッションが開催される直前の2016年11月に、TMIでは早くも社長が二代目に代わっている。同社が創業した2015年11月5日時点ではアルプス電気出身の阿部宗光氏が代表取締役社長を務めていた。2016年11月に野村剛氏が二代目社長に就任している。この交代があったことは、11月25日付けの同社Webサイトの会社概要の中で公表されているだけだ。

 TMIは取締役会長を務める金属材料研究所の牧野彰宏教授の研究開発成果である超低損失磁性合金「NANOMET」を実用化・事業化する目的で創業された。同社は、材料メーカーのNECトーキンとJFEスチール、部品メーカーのアルプス電気、パナソニック、村田製作所の企業5社とTHVPの合計6社からの出資によって創業された。最近では「パナソニックのある電気製品のモーターを低損失化させる切り札として、超低損失磁性合金を採用する予定」と、牧野教授は講演などで公表している。今回、パナソニック出身で、東北大未来科学技術共同研究センター(NICHe)の特任教授だった野村氏が社長に就任した背景には、開発中の超低損失磁性合金がいよいよ、パナソニックの電気製品のモーターに適用される布石ではないかとうわさされている。この同社の社長交代については、THVPの樋口取締役は、今回のパネルディスカッションでは触れることはなかった。

 日本ベンチャー学会の会員には、ベンチャー企業の成長・成功の仕組みなどを研究する大学教員に加えて、VCの現役の実務者なども多い。ベンチャー企業の事業化の進め方を分析する議論は盛んだが、ベンチャー企業の具体的な実情になると慎重な発言が当然、多い。VC同士は、ある時は味方であり、ある時は敵になることがあるからだろう。

コメント1件コメント/レビュー

日本ではまだ創業者の数が少なく経営者人材の層がまだ薄いというのは、その通りだと思います。失敗しても良いのでベンチャー企業の創業に乗り出す多くの若手人材が必要です。起業人材を育成する3年間の文部科学省のEdgeプログラムは今年度で終了しますが、次のプログラムEdge・nextへの期待も大きいものがあります。(2017/01/05 11:55)

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日本ではまだ創業者の数が少なく経営者人材の層がまだ薄いというのは、その通りだと思います。失敗しても良いのでベンチャー企業の創業に乗り出す多くの若手人材が必要です。起業人材を育成する3年間の文部科学省のEdgeプログラムは今年度で終了しますが、次のプログラムEdge・nextへの期待も大きいものがあります。(2017/01/05 11:55)

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