• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「米韓同盟廃棄」カードを切ったトランプ

「完全非核化」と交換、メディア通じさりげなく伝達

2018年5月15日(火)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

平壌で5月9日、握手を交わすポンペオ米国務長官(左)と金正恩・朝鮮労働党委員長(写真:KCNA/新華社/アフロ)

前回から読む)

 北朝鮮の核問題を解決する過程で、米韓同盟が崩壊し始めた。

「半島全てを非核化」

鈴置:トランプ(Donald Trump)大統領が金正恩(キム・ジョンウン)委員長に「米韓同盟破棄」カードを切りました。北朝鮮の完全な非核化が条件です。

 5月10日、トランプ大統領はアンドリュース基地でポンペオ(Mike Pompeo)国務長官と、彼が取り戻した3人の韓国系米国人を出迎えました。

 トランプ大統領は米国東部時間の午前3時(日本時間同日午後4時)ごろ、北朝鮮から戻った政府専用機の横で会見しました。

 記者から「何が最も誇らしい成果か」と聞かれ「これ(3人奪還)もそうだが、非核化できればそれが最も誇るべき成果になる」と語ったのです。

・My proudest achievement will be - this is a part of it - but will be when we denuclearize that entire peninsula. This is what people have been waiting for for a long time. Nobody thought we could be on this track in terms of speed.

 注目すべきは「北朝鮮を非核化する」ではなく「半島全てを非核化する」(denuclearize that entire peninsula)と語ったことです。

 北朝鮮に加え韓国も含め非核化する――北朝鮮が非核化に応じれば、米国が韓国に差しかけてきた核の傘も撤去する、つまり米韓同盟を廃棄すると示唆したのです。

 これこそ北朝鮮が長らく米国に要求してきたことです。中国もこれを望んでおり、北朝鮮を後押ししています(「中朝首脳会談、『米韓同盟揺さぶり』で一致」参照)。

トランプの新たな対案

核の傘の提供をやめることが、同盟破棄につながるのですか?

鈴置:そうなります。仮に北朝鮮が完全に非核化されたとしても、韓国周辺には中国とロシアという核保有国が残ります。

 中ロは今後、韓国を核攻撃しても米国による核の反撃を受けないと確信できます。すると、核をチラつかせるだけで韓国を恫喝できるので、韓国は中ロの言うなりにならざるを得ません。

 そんな同盟に意味はないのです。中立化を宣言し、周辺大国の緩衝地帯として生き延びた方がまだましと考える韓国人が出るでしょう。

 話を戻します。要は、トランプ大統領は、韓国との同盟をやめる、と宣言したのです。北朝鮮が完全に非核化されれば、との条件付きですが。

 実はトランプ会見の直前、北朝鮮も興味深い発表をしています。訪朝したポンペオ長官から「新たな対案」を受け取った金正恩委員長が、それを評価し賛成した、というのです。

 5月10日午後3時10分(北朝鮮時間=日本時間)から朝鮮中央テレビが放送した番組「敬愛する最高領導者、金正恩同志におかれては米合衆国国務長官を接見された(主体107年5月9日)」を通じてです。なお、「主体」とは北朝鮮の年号です。

 聯合ニュースの「北、金正恩は『トランプの“新たな対案”で対話解決することに関心を持つ』を評価」(5月10日、韓国語版)から金正恩委員長の発言を引用します。

 この部分は約7分間。画面に2人の交歓風景が映る中、アナウンサーが以下を読みあげたそうです。

・席上、マイク・ポンペオ国務長官は金正恩同志に、ドナルド・トランプ米合衆国大統領の口頭メッセージを精忠にお伝え申し上げた。
・最高領導者同志におかれてはトランプ大統領の口頭メッセージをお聞きになられ、大統領の新たな対案により対話を通じ問題解決することに深い関心を持つことに対してと、朝米首脳対面(会談)に積極的な態度を採っていることに対し、高く評価され賛意を表された。

コメント86件コメント/レビュー

私が不思議に思うのは現在の朝鮮時局を語ってその後のことを語らぬ日本の報道機関の大局観のなさである。北朝鮮が中国の支配下に入れば日本は海峡ひとつ隔てて核保有国、軍事大国、さらに昔の中華帝国の再来をねらう中国という大国と向き合うのである。そのときに向けて日本政府ではどの様な準備を整えているのであろうか。日本国家の独立を保つにはお座なりな国際世論などというものがどれほど役に立たぬものであることは今から国民に教えこんでおく必要があるであろう。トランプの出現によって平和協定なぞいつでも一方的に破棄されるものであることを我我は知った。日本の知性はこれらを踏まえて五十年、百年後の日本国家の存続させうるべき教育を提起し、実施してゆかねばならぬとおもう。(2018/05/22 08:11)

オススメ情報

「早読み 深読み 朝鮮半島」のバックナンバー

一覧

「「米韓同盟廃棄」カードを切ったトランプ」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

韓国観察者

元日本経済新聞記者。1995~96年ハーバード大学日米関係プログラム研究員、2006年イースト・ウエスト・センター(ハワイ)ジェファーソン・プログラム・フェロー。02年度ボーン・上田記念国際記者賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私が不思議に思うのは現在の朝鮮時局を語ってその後のことを語らぬ日本の報道機関の大局観のなさである。北朝鮮が中国の支配下に入れば日本は海峡ひとつ隔てて核保有国、軍事大国、さらに昔の中華帝国の再来をねらう中国という大国と向き合うのである。そのときに向けて日本政府ではどの様な準備を整えているのであろうか。日本国家の独立を保つにはお座なりな国際世論などというものがどれほど役に立たぬものであることは今から国民に教えこんでおく必要があるであろう。トランプの出現によって平和協定なぞいつでも一方的に破棄されるものであることを我我は知った。日本の知性はこれらを踏まえて五十年、百年後の日本国家の存続させうるべき教育を提起し、実施してゆかねばならぬとおもう。(2018/05/22 08:11)

>日本と韓国は、冷戦時代の資本主義ショールームとして"おいしい思い"をしてきた国。

我が国はともかく、韓国が世界的に知られるようになったのは冷戦末期、ソウル五輪が開催された1980年代末以降だよ。
それ以前、1980年代であっても我が国の地理の教科書には重工業国である北朝鮮に対して韓国は後進的な軽工業国なんて記載がまかり通っていたぐらいでさ。
加えて、当時韓国からもたらされる報道のほとんどが軍事政権が学生運動(民主化運動)を弾圧する映像。
当時を知るものからすると、韓国が「資本主義のショールーム」とか何の冗談なのかなと思う。(2018/05/20 05:49)

金正恩の体型がスリムになるまで経済制裁を強化すればいいのではないか?まだまだ大丈夫そうなんだから。(2018/05/19 18:59)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

大切なのは、リーダーが「下から目線」を持つことです。

四方 修 元マイカル社長