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金正恩の耳元でつぶやくトランプ

「イランとつるむな」「イスラエルに刃を向けるな」

2017年9月30日(土)

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香港の地下鉄での広告でスマホをいじる偽委員長と、覗き込む偽大統領(写真:ロイター/アフロ)

前回から読む)

 トランプ(Donald Trump)大統領の激しい表現のツイッター。金正恩(キム・ジョンウン)委員長に直接、語りかける狙いもありそうだ。下からの情報に惑わされず、自分の目で世の中を見ろ、と。

ロケットマンへの直言

トランプ大統領の「過激なツイート」が話題になりました。

鈴置: 9月23日につぶやいた「小さなロケットマンの先は長くない」が「金正恩氏を刺激する」と批判されました。

 ロケットマンとはトランプ大統領が金正恩委員長に付けたあだ名です。そんな物言いは軍事的な衝突を起こしかねないから削除すべきだ、との声も起きました。原文は以下です。

  • Just heard Foreign Minister of North Korea speak at U.N. If he echoes thoughts of Little Rocket Man, they won't be around much longer!

 9月21日、金正恩委員長が声明を通じ「超強硬対応措置の断行」を宣言しました(日経・電子版「金正恩氏の21日の声明」参照)。

 同日、それについてニューヨークに滞在中の李容浩(リ・ヨンホ)外相が「過去最大の水爆実験を太平洋上ですることではないか」と解説したのです(日経・電子版「太平洋で水爆実験なら国際法に違反」参照)。

 さらに9月23日、李容浩外相は国連総会で「最終的な目標は米国と(核戦)力で均衡を作ること」などとも演説しました。

 演説内容は聯合ニュースの「北の李容浩『斬首・攻撃の気配あれば、先制行動で予防措置』(総合2報)」(9月24日、韓国語版)で読めます。

 この演説を受けて「小さなロケットマンの先は長くない」はつぶやかれたのです。

報告はちゃんと上がるか

トランプ大統領はなぜ、北朝鮮に対し物議を醸すようなツイートをするのでしょうか。

鈴置:金正恩委員長に直接、語りかける目的もあると思います。大統領は9月19日の国連演説で「このまま行けば、ロケットマンもその政権も自殺行為になるぞ」と、核を放棄するよう警告しました(「北朝鮮に『最後通牒』を発したトランプ」参照)。

  • Rocket Man is on a suicide mission for himself and for his regime.

 でも、その演説がきちんと金正恩委員長に報告されたかは疑問です。部下が「国連で米国の老いた狂人が妄言を吐きました。核を持った我が国が恐ろしくて、口先で意気がっているのです。絶対に攻撃されません。予告通り、次は太平洋上で水爆を実験しましょう」などと具申した可能性が大きい。

 もし「トランプが戦争のハラを固めたようです。ここは少し大人しくしましょう」とでも言おうものなら「腰抜け。お前は米国のスパイか」と、粛清されかねないからです。

 ツイッターを使えば改竄されず、警告はそのまま金正恩氏に届きます。41分間もの長いトランプ演説を視聴しなくても、ツイッターくらいは覗くと思われます。金正恩氏は西側で教育を受けましたから。なお、普通の北朝鮮国民はツイッターにアクセスできません。

 仮に本人がツイッターを見なくとも、部下は「ひょっとして親分がツイッターを見て『なぜ、報告しなかったのか』と怒り出すかもしれない」と恐れ、渋々「トランプが『先は長くない』とつぶやいています」と報告せざるを得ない。

 「小さなロケットマンの先は長くない」の中に「北朝鮮外相のスピーチが小さなロケットマンの意向を反映しているのなら」とあるのも、ツイッターによる「直接対話作戦」を思わせます。

 北朝鮮のような国で、外相が最高指導者の意向と異なる発言はできません。なのに、最高指導者と周辺の間に外交方針に差があるかもしれないことを念頭にツイートする。少し変なのです。

コメント41件コメント/レビュー

イランと北の繋がりは何十年も前からの事ですよ。北のミサイル技術のベースになったソビエトのスカッドは、イランから入手したものですし、北の改良型ミサイルの試射にイラン技術者が立ち会ってもいますし。イランやパキスタンから核技術も渡っていますよね。(2017/10/13 22:32)

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「金正恩の耳元でつぶやくトランプ」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

韓国観察者

元日本経済新聞記者。1995~96年ハーバード大学日米関係プログラム研究員、2006年イースト・ウエスト・センター(ハワイ)ジェファーソン・プログラム・フェロー。02年度ボーン・上田記念国際記者賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

イランと北の繋がりは何十年も前からの事ですよ。北のミサイル技術のベースになったソビエトのスカッドは、イランから入手したものですし、北の改良型ミサイルの試射にイラン技術者が立ち会ってもいますし。イランやパキスタンから核技術も渡っていますよね。(2017/10/13 22:32)

「リベラル称するサヨクふくめ「工作員」は排除してもらったので」と工作員が言い。

余りに稚拙で分かり易いので、真正日本人による釣りではないかと疑っているぐらいです。
工作員の投稿でも排除は良くないですね。多様な意見はあったほうが参考になります。
ただし、詭弁や嘘はよくないですけどね。根拠を示して意見を出してもらえると有難いです。

今回の鈴置氏の記事は、面白い視点でした。仮説としても斬新で、このような切り口も歓迎します。
読む前から批判するつもりの人もいるみたいですが、どちらが評価されるかは自明です。(2017/10/04 23:08)

コメントがはじかれちゃったようなので、肝をもう一度。北はトランプ氏のツイートをしっかりフォローしているようですよ。

9月26日付のワシントン・ポスト紙によると「北朝鮮の政府関係者は、ジュネーブ安全保障政策センター(GCSP)が9月にスイスで設けた会合の席で、トランプのツイートに関して「百科事典並みの精通ぶり」を披露し、アメリカ側の出席者にツイートを諳んじてみせたという。」とのこと。

鈴置さんもこのあたりの情報をしっかり握っている筈です。けっして想像を膨らましているわけではないと思います。(2017/10/04 14:43)

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