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中国との冷戦を宣言したペンス副大統領

米国世論も操る「悪の帝国」と戦え

2018年10月11日(木)

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好意を裏切った中国共産党

「中国には恩恵を施してきた。それなのに……」というのですね。

鈴置:その通りです。ペンス演説は「だが、我々の中国への好意は共産党政権によって裏切られた」と続きます。

  • 冷戦が終わった後、米国のこれまでの政権は中国が政治面でも自由化すると期待した。個人の財産の尊重、宗教の自由、人権の尊重などだ。だが、そんな希望は満たされなかった。
  • 過去17年間で中国経済は9倍に拡大し世界第2位の規模となった。自由や公正とはとても言えない為替操作、技術移転の強要、知的財産の盗みなどを駆使してのものだった。

 以下、演説では「中国の罪状」が延々と続くのですが、あまりに長いので一覧表にします。要は、中国は米国の好意を利用して経済成長に成功したが、今度はその力を悪用して米国の覇権を揺らしている、と非難したのです。ペンス副大統領が示した例をまとめたのが「罪状①米国の覇権への挑戦」です。

★中国の「罪状」①米国の覇権への挑戦★

  • 米国の2017年の対中貿易赤字は3750億ドルで、全赤字の半分近くを占める。
  • 「メード・イン・チャイナ2025」計画により、官民あげて米国の知的財産を獲得しロボットやバイオテクノロジー、AIなど世界の先端産業の90%の支配を目論む。
  • 米国企業を買収することで、先端的な武器の設計図などの技術を盗む。
  • 陸海空、宇宙における米国の軍事的な優位を脅かす。西太平洋から米国を追い出そうとする。
  • 日本の施政権下にある尖閣諸島の周辺を恒常的に哨戒する。中国の指導者は2015年にホワイトハウスで「南シナ海を軍事基地化しない」と述べたが、人工島に対艦・対空ミサイル基地を建設した。
  • 南シナ海で「航行の自由作戦」を展開中の米イージス艦の45ヤード以内に中国の軍艦が接近し、衝突しかけた。しかし米国は今後も国益を守る。
  • 米国は中国との良好な関係を望むが、中国は経済的な攻勢を緩めず、軍事力の強化につなげてきた。

聖書を燃やされ、信者は投獄

中国人が聞いたら「なぜ、米国に挑戦してはいけないのか」と思うでしょうね。

鈴置:「米国は倫理性が高く、世界を指導すべき国である」と考える米国人が多い。こんな人は「米国に挑戦することこそが悪だ」と考えるでしょう。

 もちろんそんな理屈は世界では通用しないと考える米国人もいます。そこでペンス演説は「クリスチャンが投獄され、聖書が燃やされている」などと数々の実例を挙げて中国の宗教弾圧を非難しました。

 「罪状②中国での人権侵害」をご覧下さい。宗教弾圧に加え「オーウェル的世界」に突き進む中国の危さを指摘。そのうえでこんな国に覇権を握らせてはいけない、と訴えたのです。

★中国の「罪状」②中国での人権侵害★

  • 自由と人権の尊重に向け歩み始めたこともあった。しかし近年、国民を支配・圧迫する方向に明らかに逆戻りした。
  • ネットによる中国の国民の自由な情報への接近への規制を強化している。
  • 2020年までに人間のあらゆる側面を管理するジョージ・オーウェル的な世界の構築を狙う。
  • 中国のクリスチャン、仏教徒、イスラム教徒が新たな迫害を受けている。
  • 先月、中国最大の地下教会が閉鎖された。全国的にも当局は十字架を壊し聖書を燃やし、信者を投獄している。今や無神論者の共産党がカトリックの神父を任命できるよう、バチカンと交渉中だ。
  • チベットでは過去10年間で150人の僧侶が中国に抗議して焼身自殺した。新疆で共産党は100万人ものイスラム教徒のウイグル人を投獄している。

米国の裏庭にも魔の手

でも、それは中国の中でのこと。宗教弾圧はともかく「オーウェル的世界」にまで介入する必要はないと思う米国人もいるのでは?

鈴置:いるでしょうね。そこでペンス副大統領は「野蛮な中国が米国の安全保障を脅かしている」と危機感をあおったのです。具体例が「罪状③世界への影響力拡大」です。

★中国の「罪状」③世界への影響力拡大★

  • アジアからアフリカと欧州、果ては中南米にまで不透明な融資条件の「債務外交」を展開し、影響力を拡大中だ。
  • 中国国営企業から多額の借金をしたスリランカは2年前に返済できなくなり、港を中国に引き渡すよう強要されている。いずれ中国の遠洋海軍の最前線の軍港となろう。
  • 腐敗し無能で、国民を弾圧するベネズエラのマドゥロ政権にも怪しげな50億ドルの借款を提供した。中国は今や最大の債権者だ。
  • 中南米の3カ国に対し台湾との関係を断ち、自らを認めるよう動いている。台湾海峡を不安定にするものであり、米国はこれを認めない。

 米国の裏庭たる中南米にまで中国は触手を伸ばしている――と言われれば、のんきな米国人も「中国は危険な存在だ」と考えるでしょう。「台湾が中国に取られそうだ」と言われても同じです。

コメント82件コメント/レビュー

ペンス副大統領の講演にも、対中冷戦にも直接関連しませんが。

従前ささやかれて来た、マティス国防長官の離任の可能性に、大統領が言及しましたね。(国防長官は民主党員のような物言いをすると)

大統領府内で、ポンペイオ氏とマティス氏らの路線対立があると聞きかじって居たのですが。(やはり、軍歴を背景とする国防長官は、旧来のエリート政治の延長である政策を維持しがちだと、大統領にとってはお気に召さない点が出てきたと言う事なのでしょうか。)

いずれにせよ、続報待ちなのでしょうが、半島情勢に動きが出る可能性が窺える事象なのかと。(中間選挙後の米朝協議で何が語られるのか。その準備に際して軍部・国務省などと、大統領の思惑の差が歴然としているのかも知れませんね)

ポンペイオ氏はと言うと、CIAよりの方ですので、本来なら、半島情勢に関しては、軍部以上に韓国重視の筈なのでしょうが。(それとも、南との関係を切って、北に傾注すると言う事なのでしょうか。)

だとすると、日本の政界などにも少なからず影響が出るようにも思えるのですが。(これまでのツケで文句も言えない・言わせない、日本政府相手に貿易交渉で最大限要求を呑ませて、中間選挙の呼び水にし、選挙後は北との交渉に集中すると。確かに貿易交渉で対日要求を呑ませれば、日韓の分割統治の足場が出来る訳で、これまでのように、日本・韓国のイザコザなど眼中に入れる必要も無くなりますからね。)

さてさてどーなる事やら。(対中冷戦シリーズが終わったら、本筋として、この辺り御教示頂けると幸いです。)(2018/10/15 15:35)

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「中国との冷戦を宣言したペンス副大統領」の著者

鈴置 高史

鈴置 高史(すずおき・たかぶみ)

韓国観察者

元日本経済新聞記者。1995~96年ハーバード大学日米関係プログラム研究員、2006年イースト・ウエスト・センター(ハワイ)ジェファーソン・プログラム・フェロー。02年度ボーン・上田記念国際記者賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

ペンス副大統領の講演にも、対中冷戦にも直接関連しませんが。

従前ささやかれて来た、マティス国防長官の離任の可能性に、大統領が言及しましたね。(国防長官は民主党員のような物言いをすると)

大統領府内で、ポンペイオ氏とマティス氏らの路線対立があると聞きかじって居たのですが。(やはり、軍歴を背景とする国防長官は、旧来のエリート政治の延長である政策を維持しがちだと、大統領にとってはお気に召さない点が出てきたと言う事なのでしょうか。)

いずれにせよ、続報待ちなのでしょうが、半島情勢に動きが出る可能性が窺える事象なのかと。(中間選挙後の米朝協議で何が語られるのか。その準備に際して軍部・国務省などと、大統領の思惑の差が歴然としているのかも知れませんね)

ポンペイオ氏はと言うと、CIAよりの方ですので、本来なら、半島情勢に関しては、軍部以上に韓国重視の筈なのでしょうが。(それとも、南との関係を切って、北に傾注すると言う事なのでしょうか。)

だとすると、日本の政界などにも少なからず影響が出るようにも思えるのですが。(これまでのツケで文句も言えない・言わせない、日本政府相手に貿易交渉で最大限要求を呑ませて、中間選挙の呼び水にし、選挙後は北との交渉に集中すると。確かに貿易交渉で対日要求を呑ませれば、日韓の分割統治の足場が出来る訳で、これまでのように、日本・韓国のイザコザなど眼中に入れる必要も無くなりますからね。)

さてさてどーなる事やら。(対中冷戦シリーズが終わったら、本筋として、この辺り御教示頂けると幸いです。)(2018/10/15 15:35)

ペンスが言ったのは全部事実だ。利だけで動く人間たちが中共を増長させてきたのだ。
日本の親中派は百年後中共の属国中華人民共和国日本自治区になる事を望んでいるのだろう。
もはやマゾヒズムの域である。本人がマゾなのはどうでもいいが
子孫はどうでもいいというのは退廃である。(2018/10/15 13:51)

中国は周期的に分裂・縮小・統合・拡大を繰り返すので、
また分裂が近づいているというだけではないでしょうか。(2018/10/15 09:38)

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