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私たちは今どのように嘘と付き合えばいいのか

文京学院大学 嘘の心理学 村井潤一郎(5)

2017年7月29日(土)

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フェイクニュースだとか、オルタナティヴファクトだとか、嘘とマコトの境界があいまいになりがちなこの2017年。嘘についてあらためて考えるべく、嘘の心理学を専門とする村井潤一郎先生の研究室に行ってみた!

(文=川端裕人、写真=内海裕之)

 日本で「嘘」を中心的な課題としている研究者は数少なく、村井さんはちょっと珍しい道を歩んでいるのかもしれない。

 そもそも、村井さんはどうしてこの研究課題に足を踏み入れたのか。

 お話を聞き始めた冒頭で、村井さんは「科学の限りを尽くして理解につとめることが大事。でも、同時に数値化できない大事なこともある」というような意味のことを強調した。

村井潤一郎さんは日本では数少ない嘘研究の専門家だ。

 後者「数値化できない大切なこと」は、村井さんの研究やそのモチベーションにどんな影響を与えているのだろうか。

「ひとつのきっかけは、修士課程の時に心療内科の先生の授業を受けていたんですが、その先生が、『嘘と秘密は大切なんですよ』と言って、あ、これいいなって思ったことですかね。もともと私は嘘が気になるたちでした。自分がしゃべったことを誤解されて『え、そういうつもりで言ったんじゃないのに』となるようなシチュエーションが苦手だったり。録音した自分のしゃべりが聞くに堪えなくて、何だこいつ嘘っぽいなって思ったり。こういった感覚ってなんだろうというのはありました」

 その心療内科の先生が、具体的にどんな文脈で「嘘と秘密は大切」と言ったのか、村井さんは覚えていないという。もともと「嘘」に関連する様々なことに敏感な部分があり、先生の一言で、問題意識として析出したのだろうか。

「このインタビューもそうなんですが、意図せず不正確な情報を呈示してしまうことが怖いんです。意図せずだから、定義に従えば嘘じゃないですけど、それでも嘘つきと思われたら嫌だなですとか。映画とかを見ていても、たとえば証拠のビデオテープが暖炉にバッと投げ込まれたり、すべてを知っているキーマンが殺されてもう誰も真実を知っている人がいなくなるみたいなシーンでドキドキします。私自身もふだん微妙な嘘をつく日常があるわけで、嘘の研究って自分の心に直結しているように思います」

ナショナルジオグラフィック2017年6月号でも特集「なぜ人は嘘をつく?」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら

コメント1件コメント/レビュー

私も,最近の「正直イズベスト」を礼賛し過ぎる風潮や,
それに加えて「清廉潔白」「品行方正」を追求し過ぎる傾向に違和感があり,辟易しています.

孔子の論語には,子路第十三の十八で,子が親を思って嘘をつくという一節がありますし,
わが国でも「嘘も方便」なる諺の存在が知られているはずです.

このように,古来より,対人コミュニケーションの円滑のために,
文字通り「嘘も方便」に使われていたはずですが,
嘘を方便に使うためには,本文中にもあるように,その都度状況を読み,
相手のことに思いを巡らせる必要が生じるわけです.

現在の何でも簡便化・単純化する風潮によって,
このような七面倒くさい頭を使う手続きが疎んじられた結果,
思考停止の産物として,「正直が良いことである」という大義名分を振りかざしている状態
なのではないかと考えています.

パスカルによる「人間とは,考える葦である」というパンセの中の一節にあるように,
「考える」ことが人間を人間たらしめる重要なアイデンティティであり,
何でも自分の頭で考え,悩み,判断して行動し,その結果についてまた考える
というプロセスが大事であると思うのですけれどもね・・・(2017/09/02 22:30)

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「私たちは今どのように嘘と付き合えばいいのか」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私も,最近の「正直イズベスト」を礼賛し過ぎる風潮や,
それに加えて「清廉潔白」「品行方正」を追求し過ぎる傾向に違和感があり,辟易しています.

孔子の論語には,子路第十三の十八で,子が親を思って嘘をつくという一節がありますし,
わが国でも「嘘も方便」なる諺の存在が知られているはずです.

このように,古来より,対人コミュニケーションの円滑のために,
文字通り「嘘も方便」に使われていたはずですが,
嘘を方便に使うためには,本文中にもあるように,その都度状況を読み,
相手のことに思いを巡らせる必要が生じるわけです.

現在の何でも簡便化・単純化する風潮によって,
このような七面倒くさい頭を使う手続きが疎んじられた結果,
思考停止の産物として,「正直が良いことである」という大義名分を振りかざしている状態
なのではないかと考えています.

パスカルによる「人間とは,考える葦である」というパンセの中の一節にあるように,
「考える」ことが人間を人間たらしめる重要なアイデンティティであり,
何でも自分の頭で考え,悩み,判断して行動し,その結果についてまた考える
というプロセスが大事であると思うのですけれどもね・・・(2017/09/02 22:30)

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