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人と人が認め合える、優しくなれるVRを目指して

東京大学 大学院情報理工学系研究科 VR ヴァーチャルリアリティ 鳴海拓志(6)

2017年12月9日(土)

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ゲームやイベントのアトラクションなどですっかりおなじみになったVR。だが、視覚と聴覚だけでなく、五感のすべてを人工的に作りだすVRを駆使して、人の認知機能を解き明かしつつ、個人の感情や行動、価値観までをも変える研究に挑む鳴海拓志先生の研究室に行ってみた。

(文=川端裕人、写真=内海裕之)

 感覚を作るクロスモーダル、情動・感情を作る身体化情動、さらには培った技術の粋を凝らした実践の場としてのデジタルミュージアム、そして、未来を見せるライフログ。鳴海さんの仕事は、多岐に渡っている。

 それらは、結局、「行動を変える」ことになんらかの形でつながっていることに、ぼくは気づいた。本人がどう思うか分からないが、ぼくにはそう見える。

 そんなことを意識しつつ聞いてみた。

 ここまでものすごくいろいろやって成果も出してきたわけですけど、鳴海さんはこれからの10年、どんな研究にチャレンジしたいですか、と。

 鳴海さんは、「そうですねぇ」と一拍を置いてからこんなふうに語り始めた。

心が変わる、と鳴海拓志さんは言った。

「人の心自身を変えてしまうような、それによって行動まで変わってしまうような研究ですかね」

 またもぞくっとする発言! 感覚や感情のレベルではなく、心が変わる、と鳴海さんは言った。

 さらに、行動も変わる、と。

 ぼくの見立ては半分は当たったと言えるだろうか。

 そして、その真意は?

「例えば最近、アメリカなんかですごくおもしろい研究が出てきているんです。VRでスーパーマンになって子どもを助けるような体験をすると、その後、現実に帰ってきても、人助けをする行動が増えるとか。あるいは、VRで白人の人が黒人のアバターを使って太極拳を教わるような状況で、差別的なことや冷たいことを言われたりする体験をすると、現実に帰ってきた時に黒人に対する差別意識が減っているとか。実はVRで体験させてあげると、現実の世界でその人の振る舞いが変わったり、価値観が変わったりする。お互いに立場の違う人が認め合ったりとか、人が人に優しくなるために、そういうVRの体験を使えるんじゃないかと思っています」

 この話題になったのは、さんざん個別の研究の話をうかがった後、インタビューの終着が見えた頃だ。

 ここにきて、おいおい、マジかよ、とぼくは真剣に思った。

 話、大きすぎ。夢も、大きすぎ。しかし、ここまで話を聞いてきたがゆえに納得感もある。

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「人と人が認め合える、優しくなれるVRを目指して」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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