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衝撃的なオランウータンとの出会いと不思議

国立科学博物館 オランウータン 久世濃子(4)

2017年1月28日(土)

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東南アジアのボルネオ島とスマトラ島に暮らす“森の人”、オランウータン。群れを作らず、木の上で暮らすため、同じく大型の類人猿であるゴリラやチンパンジーなどと比べると多くの謎に包まれている。そんな野生のオランウータンを研究すべく、自ら調査フィールドを拓き、10年以上にわたり野生での調査を続ける久世濃子さんの研究室に行ってみた!(文=川端裕人、写真=内海裕之)

 やたら時間がかかるオランウータンの研究の道を選び、博士号取得直後、10年間は大きな成果は得られないかもしれないと分かりつつも、みずからオランウータンの研究地を拓いてしまった久世さんは、共同研究者にして盟友、金森朝子さんとともに、「なんでそこまでやるの?」というくらいの情熱をもって突き進んできた。

最後の砦、人類の宝

 そもそものきっかけは何だろう。時間を遡って、久世さんの大学生時代から。実は最初からオランウータンをやろうと決めていたわけではないのだという。

オランウータンとの初対面は「衝撃的でした」と久世さん。

「大学で専門的に勉強するなら、中型大型のほ乳類をやってみたいと思っていたんですが、まだインターネットで自由に情報が手に入る時代ではなくて。東京農工大で、結局、農村地帯の水棲昆虫を調査して卒論にしました。でも、正直、昆虫には愛情を持てなくて、不完全燃焼でした。対象に愛着が持てるものを研究したいと思って、大学院の修士課程に行こうと思ったんです。その時には、ようやく研究室によってはホームページを持って『うちはこんな研究をしてます』と紹介していたので、東京工業大学の幸島司郎先生に話を聞きにいきました」

 久世さんが大学生から大学院生の時代を過ごした90年代は、日本におけるネット草創期で、1年ごとにどんどん状況が変わっていった。たまたま、東工大の幸島研究室のサイトを見てしまったがゆえに、久世さんの運命は大きく変わり始める。

 幸島司郎教授(現・京都大学野生生物研究センター長)は、「とにかくこの動物を研究したいけれど、ほかの研究室では受け入れてもらえない!」というような学生の最後の砦として知られていた。「どうせ金にならないし、就職にもならないんだから、好きなものをやれよ。それでも動物の研究をするやつは、人類の宝だ」という決め台詞で、少なくとも数十人単位の学生の未来を、波乱万丈なものにした人物である。たまたま直接の交流があるため、幸島教授のキャラを少しは知っている。

 訪ねてきた久世さんに、当時、幸島さんは、やはり、例のきめ台詞を述べた後で、「で、なにをやりたいんだ」と聞いた。

「そこで、私、ぽろっとオランウータンと言っちゃったんですよね」というのが、久世さんにとってすべての始まりだった。

ナショナルジオグラフィック2016年12月号でも特集「オランウータン 樹上の危うい未来」を掲載しています。Webでの紹介記事はこちら。フォトギャラリーはこちらです。

コメント1件コメント/レビュー

おもしろい。いつまでも話を聞いていたい。研究費用で苦労されているのではないかと気になるが。

オスが生まれないのは、人類の将来を先取りしていたりして。(2017/01/31 10:16)

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「衝撃的なオランウータンとの出会いと不思議」の著者

川端 裕人

川端 裕人(かわばた・ひろと)

文筆家

1964年、兵庫県明石市生まれの千葉育ち。日本テレビの記者を経て作家に。『夏のロケット』が第15回サントリーミステリー大賞優秀作品賞、「SFマガジン」で「青い海の宇宙港」を連載中。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

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おもしろい。いつまでも話を聞いていたい。研究費用で苦労されているのではないかと気になるが。

オスが生まれないのは、人類の将来を先取りしていたりして。(2017/01/31 10:16)

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