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金正恩がゴルバチョフになる可能性を読む

米朝首脳会談の先にある4つのシナリオ

2018年6月1日(金)

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トランプ米大統領が米朝首脳会談を中止すると表明してから1週間。両国は、再調整のため協議を続けている。会談開催の条件は何か。開催後にはどのような展望が待っているのか。朝鮮半島問題の鋭い考察で定評がある道下徳成・政策研究大学院大学教授に聞いた。

(聞き手 森 永輔)

若い、合理的思考ができる「普通」の青年であることが露呈した金正恩委員長(提供:KNS/KCNA/AFP/アフロ)

米大統領のドナルド・トランプが米朝首脳会談を中止する意向を明らかにしてから1週間がたちました。両国は、6月12日の開催を目指し、再調整の協議を継続しています。首脳会談が開かれる見込みとその条件をどう考えますか。

道下徳成(みちした・なるしげ)氏
政策研究大学院大学教授(安全保障・国際問題プログラム ディレクター)。 専門は日本の防衛・外交政策、朝鮮半島の安全保障。 著書に『北朝鮮 瀬戸際外交の歴史、1966~2012年』(ミネルヴァ書房、2013年)がある。米国ジョンズ・ホプキンス大学博士(写真:菊池くらげ、以下同)

道下:見込みについては、分からないですね。開催されるかもしれないし、されないかもしれません。

 会談開催の条件ですが、少なくとも北朝鮮は、トランプが「米国はこれだけの譲歩を獲得した」とアピールできる内容を提示する必要があるでしょう。例えば「2020年までに核兵器をすべて廃棄する」とか。

 核施設の即時全面解体は含めなくてもすむかもしれません。これは「平和利用に限る」と説明することができるので、米側も妥協する余地があると思います。「CVID(完全で検証可能かつ不可逆的な非核化=Complete, Verifiable and Irreversible Dismantlement)」から「不可逆的な(Irreversible)」を除いた「CVD」になるかもしれませんが、「核兵器」の脅威は相当の部分なくすことができる。

トランプが首脳会談中止の意向を示した時、北朝鮮の第1外務次官、金桂官(キム・ゲグァン)が「わが方はいつでも、いかなる方式でも対座して問題を解決していく用意があることを米国側にいま一度明らかにする」(朝鮮中央通信5月25日)と結ぶ談話を発表しました。

道下:あれは不思議でした。事実上、米国に泣きを入れる談話で、自ら弱い立場にあることをさらけだしてしまった。北朝鮮は失敗したのだと思います。油断して“いつもの芸風”で事を進めていたら、トランプに突然バシッと平手打ちにあって驚いた、とみます。

北朝鮮外務次官の崔善姫(チェ・ソンヒ)が5月24日に発表した談話は、確かに“いつもの芸風”でしたね。「米国が我々の善意を冒とくし、非道に振る舞い続けるなら、朝米首脳会談を再考する問題を最高首脳部(金正恩=キム・ジョンウン=朝鮮労働党委員長)に提起する」(毎日新聞5月24日)。

道下:金外務次官があのような談話を出してしまった以上、北朝鮮が今後の交渉を強気で進めるのは困難です。それゆえ、核兵器の廃棄は約束せざるを得ないのではないでしょうか。

コメント13件コメント/レビュー

慧眼だと思います。戦争にできない以上、落としどころを探すのが交渉であり、第一のシナリオの可能性が高いように思います。日本は言葉は不適切ですが非核化と拉致問題が解決しない限り経済援助には応じないという日朝ピョンヤン宣言を堅持し、ジタバタせずにいるのが最良かと。下手な言質で不確実性の高い環境下で自らを縛らないようにしたところですが、日本の有権者がバカなマスメディアの洗脳放送のもとで、そうした政府の態度を認めて、支持し続けられるかがとても重要なポイントになりそうな気がします。(2018/06/04 17:32)

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「金正恩がゴルバチョフになる可能性を読む」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

慧眼だと思います。戦争にできない以上、落としどころを探すのが交渉であり、第一のシナリオの可能性が高いように思います。日本は言葉は不適切ですが非核化と拉致問題が解決しない限り経済援助には応じないという日朝ピョンヤン宣言を堅持し、ジタバタせずにいるのが最良かと。下手な言質で不確実性の高い環境下で自らを縛らないようにしたところですが、日本の有権者がバカなマスメディアの洗脳放送のもとで、そうした政府の態度を認めて、支持し続けられるかがとても重要なポイントになりそうな気がします。(2018/06/04 17:32)

楽観的すぎるような、、、、(2018/06/03 19:37)

核とミサイルについては北朝鮮だけの問題ではない。つまり、北朝鮮に少しでも譲歩すれば、いずれイランやこれに同調する国家への核とミサイルの拡散といった問題が絡んでくることは目に見えている。よって、北朝鮮に「核とミサイルを完全かつ検証可能で不可逆的な(核)解体」によって放棄させなければ、米国のみならずEUをはじめとする他の国家も、早晩悲惨な目に会うこととなる。(2018/06/01 20:02)

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