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「北朝鮮は非核化で譲歩しなかった」は間違い

焦点は米朝の「和解」だった

2018年6月18日(月)

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史上初の米朝首脳会談が6月12日に開催された。「非核化」の具体策と期限が示されなかった点に批判の声が上がる。だが、北朝鮮外交・政治・軍事の研究者、宮本悟・聖学院大学教授は「焦点は『和解』にあった」と見る。そして「金正恩委員長は非核化を目指す」(同)

(聞き手 森 永輔)

この笑顔は米国との和解を達成した喜びを表すのか、非核化で譲歩しなかったことの達成感をしめすのか(写真:AFP/アフロ)

6月12日、史上初の米朝首脳会談が開催されました。注目されたのは、どんな点ですか。

宮本:第1に、北朝鮮が「完全な非核化」を米朝首脳会談で受け入れたことです。4月27日に行われた南北首脳会談の「板門店宣言」に記されている通りの内容です。これは北朝鮮が譲歩したことを意味します。

宮本悟(みやもと・さとる)
聖学院大学 政治経済学部 教授 1970年生まれ。同志社大学法学部卒。ソウル大学政治学 科修士課程修了〔政治学修士号〕。神戸大学法学研究科博士後期課程修了〔博士号(政治学)〕。日本国際問題研究所研究員、聖学院大学総合研究所准教授を経て、現在、聖学院大学政治経済学部教授。専攻は国際政治学、政軍関係論、比較政治学、朝鮮半島研究。著書に『北朝鮮ではなぜ軍事クーデターが起きないのか?:政軍関係論で読み解く軍隊統制と対外軍事支援』(潮書房光人社)など。(撮影:加藤 康)

「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)が共同声明に盛り込まれなかったことから、「北朝鮮は非核化で譲歩することがなかった」とする見方が多くあります。

宮本:私は異なる見方をしています。まず北朝鮮は6カ国協議の際にCVIDを否定していました。なのでCVIDの「C」すなわち「完全な」が入った分、北朝鮮は譲歩したと見るべきです。

 もちろん「完全な」が意味するものが明確でないことは否めません。しかし、その点を責めるべきではないでしょう。そもそもCVID自体が曖昧なもので、同じ状態でも、北朝鮮に対して「まだCVIDになっていない」とも、「すでにCVIDである」とも言うことができるものです。極端に言えば、米国がこれはCVIDだと言えばCVIDになるのです。

 それに、今回は「首脳」会談です。和解し、非核化の大きな目標を示すことがその目的でした。「非核化」の定義が明確でないとの批判は的外れな気がします。よって「米国は負けた」「北朝鮮ペースで交渉が進んだ」と見るのは適切でないと思います。

「和解」の重要性に注目していますね。

宮本:はい。米国の見方は、非核化したら和解できるというものでした。しかし北朝鮮は「和解できたら非核化する」と考えている。そもそも、朝鮮戦争を発端とする米国との対立があるから北朝鮮は核開発を始めたのです。今回は、米国がこの北朝鮮の考えを受け入れて首脳会談に臨んだのだと思います。

 つまり、米朝が対立をやめ、和解と非核化のスタートラインに立つことが首脳会談の目的だった。この目的は一応達成できたのではないかと評価します。

 米国側で、この北朝鮮の考えを理解したのがマイク・ポンペオ国務長官だったと思います。

国務長官がレックス・ティラーソン氏からポンペオ氏に交代したのは、米朝首脳会談を開くという点においてはグッドニュースだったわけですね。ポンペオ氏が理解しているのはどこから分かるのですか。

宮本:5月13日に、「北朝鮮が核兵器を放棄する戦略的選択を行なえば、米国は北朝鮮に安全保障を提供する用意がある」と発言していました。

 北朝鮮がシンガポールでの会談に応じたのも譲歩です。元々はピョンヤンで開くことが北朝鮮側の希望でした。しかし、そうなれば北朝鮮の国民が「米国が謝罪に来た」と解釈する可能性があるでしょう。この案はドナルド・トランプ米大統領が拒否しました。

コメント23件コメント/レビュー

>(2018/06/19 08:06)

武力侵入というというのが単なる駐屯なのか、本当に北朝鮮を制圧する意味での侵攻なのかどちらを指しているのかはわかりませんが、中国がそれを行うことで得られる果実と、払うことになる犠牲・コストを国内世論が容認できるかどうかを比較して考えると、わりと結論は出ると思いますが。

現状、中国の関心としては朝鮮半島より台湾の方がはるかにウェイトは大きいと思います。
こちらは中国統一という絶対に譲れない名目があるので、そういうのが全くない朝鮮半島よりもはるかに「何かをやらかす」度合いは大きいし優先度も高い。
台湾は米国の軍事的プレゼンスがどんどん低下していっています。
好機は近づいていると認識しているはずで、そんなときに朝鮮半島に手を出すということは、そこに手を取られることになるのでしたくない。とりあえず現状維持で構わない。むしろ中国人民軍が直接出ていかなくてはならないような混乱はとにかく避けてくれと考えると思いますが。

その意味で、北朝鮮との国境に集めた→侵入の可能性、というのはそこしか見ておらず単純すぎると思います。(2018/06/25 18:25)

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「「北朝鮮は非核化で譲歩しなかった」は間違い」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

>(2018/06/19 08:06)

武力侵入というというのが単なる駐屯なのか、本当に北朝鮮を制圧する意味での侵攻なのかどちらを指しているのかはわかりませんが、中国がそれを行うことで得られる果実と、払うことになる犠牲・コストを国内世論が容認できるかどうかを比較して考えると、わりと結論は出ると思いますが。

現状、中国の関心としては朝鮮半島より台湾の方がはるかにウェイトは大きいと思います。
こちらは中国統一という絶対に譲れない名目があるので、そういうのが全くない朝鮮半島よりもはるかに「何かをやらかす」度合いは大きいし優先度も高い。
台湾は米国の軍事的プレゼンスがどんどん低下していっています。
好機は近づいていると認識しているはずで、そんなときに朝鮮半島に手を出すということは、そこに手を取られることになるのでしたくない。とりあえず現状維持で構わない。むしろ中国人民軍が直接出ていかなくてはならないような混乱はとにかく避けてくれと考えると思いますが。

その意味で、北朝鮮との国境に集めた→侵入の可能性、というのはそこしか見ておらず単純すぎると思います。(2018/06/25 18:25)

私には独裁王が、一芝居打って、先祖伝来の猿芝居をしてるとしか思えない。過去の詐欺も中国の後ろ盾のもとに約束を破棄した。現在は、国内の経済は困窮してる。中国は後ろ盾にはなるが、大きな経済援助は望めない。
であるなら、アメリカを騙して日韓から経済援助を引き出そう。暴言王は乗ってきそうだ。シンゾーは何でも言うことを聞く。これからのストーリー展開が楽しみだ。(2018/06/23 13:58)

中華人民共和国の軍が北朝鮮に武力侵入することを滑稽と一刀両断するには、根拠を示していないので、聞いて欲しかったですね。
若しくは聞いていたが記述しなかったのでしょうか?

人民軍の動きは、現状も維持されているのか不明ですが、実際に北朝鮮国境まで動いていた情報が各報道機関からありました。
単に難民国境越え対策とも取れますし、そうでないかも知れません。
現在、中華人民共和国の国内情勢に関して、以前と比較しても情報があまりにも少な過ぎます。
北朝鮮国境に移動したと言われた人民軍はどの軍区だったのかが不明で、対北朝鮮にどのような対応になるのか分かりません。

また、南沙諸島と貿易不均衡に絡み、米中の緊張感は今年4月から高まっています。
このような情勢下で、中華人民共和国が米朝首脳会談を陰ながら支える状態も不思議でした。
ただ、米朝首脳会談への中華人民共和国の協力は、「朝鮮半島の流動化を望まない」との一点で納得できました。
中華国内では習近平国家主席と人民軍が公然と対立しだしている状況では、周辺が穏やかな方が良いでしょうし。

今後、非核化を進める時、核ミサイルの検証は誰が行うのかが焦点になるでしょう。
軍事機密のあるものですから、IAEAでは不可能と言われています。
普通に考えれば米軍が関与するのでしょうが、そうなれば北朝鮮に米軍が駐留することになり、金正恩は了承したのでしょうか。
合意の前後の米朝コメントを見るに、金正恩は容認したように感じられますが、実際はどうでしょうか。
また、中露が容認できるかも疑問です。

まだまだ、朝鮮半島有事は終わってないと思うべきだと思います。
今後は米朝だけでなく、周辺諸国、特に中華人民共和国も交えた分析が必要でしょう。
是非とも、なんらかの記事を掲載して頂きたいです。(2018/06/19 08:06)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官