• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

日韓「友好幻想」の終焉

元徴用工判決の狙いは「65年日韓基本条約」のちゃぶ台返し

2018年11月5日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

日韓基本条約は「日米韓の軍事同盟だ」との強い批判を日本国内でも受けつつ批准された(写真:AP/アフロ)

 在日韓国人の友人は、次のことを父親にきつく口止めされていた。「太平洋戦争の時、八幡製鉄(現新日鉄住金)で働いた。日本が敗戦し帰国する際は退職金が出た。送別会で餞別ももらった。強制労働はなかった。日本人には話すな」。父親は、「募集」か「官斡旋」で八幡製鉄に来た。帰国したが職がなく、密航して再び日本に来た。

 韓国の大法院(最高裁)は10月30日、韓国人の元工員に対し、1人当たり1億ウォン(約980万円)を支払うよう新日鉄住金に命じた。判決は「原告は未払い賃金や補償金を求めているのではない」と述べ、「慰謝料請求権」を認めた。

 これは、奇妙な判決だ。メディアは「徴用工訴訟」と報じたが、原告は「徴用工」ではなかった。判決は「強制動員の被害者」と述べた。「徴用工」とは、1945年以降「徴用令」に基づいて来日した朝鮮人だ。原告はそれ以前の「募集」か「官斡旋」に応じて新日鉄住金で働いた人たちだ。

 さらに奇妙なのは、判決は「損害賠償」ではなく、「慰謝料の支払い」を命じた。慰謝料とは、一般的に精神的苦痛に対する支払いとされる。

 つまり、原告は「未払い賃金」と「補償金」が訴因では、勝訴できないと考え「慰謝料」を請求した。これを韓国最高裁は認めた。なかなか巧妙な訴訟戦術だ。慰謝料なら、その後の精神的苦痛や差別、病気などを理由に請求できる。賃金の支払いや補償金と違い、慰謝料なら労働の実態などの事実関係が争点になりにくい。

最高裁判事の過半を文大統領が任命

 この判決に対し、韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相は「司法府の判断を尊重する」と述べた。「司法の独立」と、なぜ言わなかったのか。韓国のメディアも「司法の独立」とは報じなかった。韓国語で「司法の独立」を言うと、多くの韓国人は白けるか、鼻で笑う。司法が独立していると、決して思っていないからだ。筆者もソウル特派員時代に、大統領府に判決内容を相談に来た裁判所長を目撃した。

 韓国では、長い間「司法は権力の僕(しもべ)」と揶揄された。それでも今回の判決に、韓国民の多数が「胸がスッキリした」思いを抱いているのは事実だろう。国民は「強制労働」「不法な植民地支配」「反人道的な不法行為」の認定に、満足する。判決に権力(行政)の意向が反映されたと、一般庶民は思うだろう。

 司法が独立していないと断じる根拠は、最高裁長官の経歴だ。金命洙長官の前職は、春川地方裁判所長であった。地方の裁判所長が、最高裁長官に抜擢された。ありえない人事だ。文在寅(ムン・ジェイン)大統領が、同じ考えの裁判官を抜擢したと考えるのが、常識だろう。加えて、最高裁判事13人のうち7人が文大統領に任命された。

コメント28件コメント/レビュー

韓国とは政府も個人レベルも関わらない方向で良いと思います。戦略的無視。北朝鮮よりもどうでもいいレベル。(2018/11/06 01:55)

オススメ情報

「混迷する朝鮮半島」のバックナンバー

一覧

「日韓「友好幻想」の終焉」の著者

重村 智計

重村 智計(しげむら・としみつ)

東京通信大学教授 早大名誉教授 韓国同徳女子大客員教授

1945生まれ早大法卒。79年毎日新聞ソウル特派員、89年同ワシントン特派員。この間、韓国高麗大、米スタンフォード大留学。北朝鮮に傾斜する日本の朝鮮問題報道を変えた記者の一人。金芝河釈放、ベン・ジョンソンのドーピングなど多くの特ダネ報道。著書は「日韓友好の罪人たち」(風土デザイン研究所)など多数。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

韓国とは政府も個人レベルも関わらない方向で良いと思います。戦略的無視。北朝鮮よりもどうでもいいレベル。(2018/11/06 01:55)

ご友人の在日の方は、何をしたいのですか?(同時に、重村さん自身の論説に、朝鮮人を擁護するかの意思が見え隠れする様に思え、何のための論説なのか、真意を疑いたくなります。)

在日のご友人は、ご尊父から聞かれた内容を、公にされるべきでは無いのでしょうか?(日本に暮らされて、しかも幼少の頃より、いわば二つの祖国を抱える様な立場にある方が、韓国・朝鮮の方を持つかの様に口をつぐむ。もしそうなら、朝鮮人同士で自浄作用も果たせず、その罪過・厄災を日本・日本人に振りまくかの様に立ち回る人達を、我々日本人が友好の対象と認識するとでも?)

重村さんならお判りだと推察しますが、今の東アジアの情勢は、一歩間違えば、世界大戦の引き金を引きかねない所に来てるのでは?(その中で、自由も民主主義もかなぐり捨て、国際法理も無視して、他国の侵略を隠しもしない。そんな輩に良い顔し続ける必要がどこにあるのですか?)

可能ならば、半島情勢の記事などより、重村さんご自身の、日本と半島との関係の在り方をうかがいたい。(そこ無しに、この情勢の続く限り、貴方の論説を読む気にはなれないとおもえるのですが)(2018/11/06 01:39)

と、いうよりも「日韓条項」をちゃぶ台返しした以上は国交樹立もちゃぶ台返ししたことになるの、韓国は気づいててやったのかしらね。

完全に「貧ずれば鈍す」な状況になっちゃってるなぁ。(2018/11/05 14:34)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

やることなすことうまくいって会社が楽しくなりました。

前澤 友作 ZOZO社長