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「共通1次」で鍛える農業経営

農業王国・十勝から(上)

2017年2月10日(金)

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 「農業にとって企業的な経営とは何か」が今回のテーマだ。ふつうこの問いかけを聞くと、「家業から企業へ」という一方向の変化を思いうかべるだろう。ところが現場を取材していると、いったん効率化に目をつぶってでも、立ち止まるべきときがあることに気づく。

 取り上げるのは、北海道・十勝の本別町で小麦を栽培する前田茂雄さんだ。この連載でも以前、農業者を対象にした国際奨学金制度に日本人として初めて参加したエピソードをお伝えした(2016年4月15日「北海道の小麦農家、たった1人で開く世界への扉」)。

 前田さんが専務を務める前田農産食品は、面積が120ヘクタールの大規模経営だ。近い将来、200ヘクタールまで広がることが視野に入っている。社員は社長で父親の芳雄さんを含めて6人で、ほかに5人のパートが働いている。

 前田さんは農業経営の未来をどう考えているのか。「ヒヨコ隊にみてもらいたい」。この言葉が前田さんの考え方を象徴しているのだが、そのことを説明する前に農場の様子を紹介しよう。

すぐ戦える状態に

 まず小型のスーパーほどもある小麦の乾燥・調整施設に入ると、薄暗い作業場でスタッフがなにやら小型の機械をつくっていた。素人目には何の機械だかわからない。使い道を聞くと、「言えません」。理由は「こうやって農産物に付加価値をつけている農家はうち以外ほとんどいませんから」という。

 スパナやペンチなど膨大な数の道具は、ラベルにそって壁にかけてあった。最近この連載で、トヨタ自動車の指導で現場の仕事の「カイゼン」に取り組んでいる例を取り上げた(2017年1月20日「『注文だ。収穫してくれ』では現場は回らない」)。

 前田さんはこのやり方を、オーストラリアの農場で知ったという。ただし「いまのうちほどきれいにはやっていませんでした」。家族で農業をやっていると、すぐ「あれどこに置いた」といったことでトラブルになる。120ヘクタールの大規模農場でそんなトラブルが頻発していては経営にならないのだ。

 「機械が壊れるのは仕方ないんです。でも、壊れたらすぐ直せよと。直すとき、道具や部品を捜すようではいけないんです」。道具や部品の整理の仕方はスタッフが工夫してくれた。「こうすることで、すぐ戦える状態になる」。

膨大な道具の片づけ場所を整理した(北海道本別町)

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「「共通1次」で鍛える農業経営」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官