• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

レトルトカレーの躍進が農業経営に転換を迫る

カリスマ農家が語る有機栽培の今と未来(下)

2018年3月23日(金)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

前回から読む

 今回は、茨城県土浦市で野菜を有機栽培している久松達央さんのインタビューの後編。前回触れたように、取材をお願いしたのは、久松さんが20年前に就農して以来、主力にしてきた「おまかせ野菜の宅配セット」が直面している難しさを事前に聞いたことがきっかけだった。

天候にどうあらがうか

 筆者は約10年前、農業取材を始めてすぐに久松さんと知り合った。そのとき、「おまかせ野菜の宅配セット」について学んだことが、農業を理解するための出発点になった。この商品が乗り越えた課題は「天候にどうあらがうか」。今も昔も農業経営の根幹にある問いかけと言っていいだろう。

 急速に存在感を増しつつある植物工場のような施設栽培ではなく、露地で野菜を作る以上、天候の影響は免れない。「おまかせ野菜の宅配セット」が秀逸なのは、宅配でどんな野菜を届けるかを約束しない点にある。

 消費者がその都度、欲しいものを注文するのではなく、畑でできたものを「おまかせ」でまとめて消費者に買ってもらう。「天候にどうあらがうか」という問いかけに対して出した答えは、「天候に寄り添う」だった。

 もちろん、様々な手法を駆使し、天候や病害虫の影響を防ごうと努めてはいる。それでも、影響を完全になくすことはできない。農薬も化学肥料も使わない有機農法で栽培している以上、難しさはさらに大きくなる。そこで、リスクヘッジの役割を果たすのが少量多品目栽培だ。

 品目数は多いが、品目ごとの生産量は多くない。レタスやニンジン、キャベツ、タマネギといった主要な野菜に絞り、大勢の農家で大量に生産する産地の強みの対極にある戦略と言える。久松農園は会社経営で従業員もいるが、「産地」と比肩できる規模ではない。だが特定の野菜とリンクしていない経営だからこそ、天候の影響を多品目で分散できる。

 それを可能にしたのは、多品目という戦略と歯車がかみ合う消費者の「おおらかさ」だ。例えば、「レタスがなければ、キャベツでいい」。それぞれキク科とアブラナ科に属していて、植物学ではまったく別の野菜だが、そのことを意識する消費者はそう多くないだろう。メニューの決まったレストランではなく、消費者は届いた野菜をその都度楽しみながら調理すればいいだけだ。

 この戦略を一言でいえば、「畑をまるごと買ってもらう」となる。だから消費者にとって、「箱を開けたときの驚き」が商品の大きな魅力になる。多品目であるだけでなく、スーパーなどでは売っていない珍しい野菜が入っていると商品力はなお高まる。

 「顔の見えない生産者」が産地というかたまりで生計を立てるのではなく、個で勝負する生産者としては筋の通った戦略だろう。では、その「おまかせ野菜の宅配セット」はどんな困難に直面しているのだろうか。

コメント3件コメント/レビュー

日本の農業を今以上に発展させるには、どうすればいいんでしょうね。ずっと考えています。
農水省も、担い手育成の面でも輸出促進の面でも結構色々な施策をやっている。JAも変わろうとしている。だけど、あんまり結果が現れて無いんですよね。
人口が減るから農業の担い手も人口減少率と同レベルで減るのは仕方ないけど、現状はそれをはるかに超えている。この25年間で農業人口の半分が姿を消しています。
日本と同じように、農業の舞台でも、人口減少が停滞・衰退の一番の要因だと思うし、そのせいで価格が高くなり野菜離れを生みますます農業は儲からなくなる悪循環。
農業人口の減少に歯止めがかかるよう、今後の農業という産業そのものについて真剣に消費者も向き合わなければならないと思います。(2018/05/17 08:10)

オススメ情報

「ニッポン農業生き残りのヒント」のバックナンバー

一覧

「レトルトカレーの躍進が農業経営に転換を迫る」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

日本の農業を今以上に発展させるには、どうすればいいんでしょうね。ずっと考えています。
農水省も、担い手育成の面でも輸出促進の面でも結構色々な施策をやっている。JAも変わろうとしている。だけど、あんまり結果が現れて無いんですよね。
人口が減るから農業の担い手も人口減少率と同レベルで減るのは仕方ないけど、現状はそれをはるかに超えている。この25年間で農業人口の半分が姿を消しています。
日本と同じように、農業の舞台でも、人口減少が停滞・衰退の一番の要因だと思うし、そのせいで価格が高くなり野菜離れを生みますます農業は儲からなくなる悪循環。
農業人口の減少に歯止めがかかるよう、今後の農業という産業そのものについて真剣に消費者も向き合わなければならないと思います。(2018/05/17 08:10)

顧客に料理を作る時間がないのであれば、作る手間までサービスとして提供するアプローチはどうでしょう。自前でカフェを併設するのか、どこかのレストランと提携するのか、あるいはお弁当という形をとるのか、そこは経営上の判断になると思います。既存の顧客に対しては、少量販売のニーズに対するカウンターオファーになりますし、潜在的顧客に対しては、いわゆるショールーム的な機能を果たすと思います。ちょうどアップルがどうやってiPhoneを売ってきたのかと同じアプローチです。(2018/03/23 13:04)

食をおろそかにするような世の中にだけはなって欲しくないと思っています。
食は、人の心を育む一番大切な基盤だと思うから。
世の中、何でも便利にしようとしていますが、、
人が手を抜いちゃいかんこともあると思います。
育児であったり、神事や祭事や、伝統文化を継承することや、、、
そして、人が生きるための大切な、食も。

それゆえ、私も自分達で米・野菜をつくり、味噌・しょうゆを仕込み
応援したい人たちに、手作りの食卓を届けに行く活動を行っています。
地味で、小さな活動ですが、ずっと続けていこうと思っています。

この記事を拝見させていただいて、改めて思いを強くしました。
ありがとうございました。(2018/03/23 10:31)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

妥当な内容の商品ばかりが並んでも、 お客様は喜んでくれない。

大倉 忠司 鳥貴族社長