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現場発「地味な発明」こそ、農業を救う

ベンチャー農匠ナビ開発の自動給水機 過度な機能は排除

2018年4月6日(金)

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 前回は、日本の農業の行方に大きな影響を及ぼす可能性のある植物工場の建設計画を紹介した(3月30日「植物工場で地殻変動『レタス日量25万株の衝撃』」)。上場企業の資本力と先端技術の結集は、農業の地殻変動を予感させるのに十分な迫力があった。それは、期待先行で「鳴かず飛ばず」ばかりだった企業の農業参入の新たな可能性を示す挑戦でもある。

 だが、農業の構造変革を担うのは、農家には到底手が出ない巨額の資本や特殊な技術だけではない。農家が主導して作り上げた、一見ローテクに見える技術が、広く農業の現場を変えることもある。連載のトーンが「既存の農業の軽視」に傾くのを防ぐ意味も込め、今回は「田畑に立脚した技術」をテーマにしたい。多様性を認めることが、良き農業スピリッツという思いからでもある。

新技術投入、来年4月に販売開始予定

 紹介するのは、農業技術や機器の研究を手がけるベンチャー、農匠ナビ(東京都千代田区)が開発した水田の自動給水機だ。巨大な植物工場から、思い切り「地味な話題」にテーマを引き戻したように感じるかも知れないが、日本の稲作の生産効率を高める可能性を秘めた技術として取り上げたい。

 農匠ナビは、全国に名の知れた稲作の農業法人であるぶった農産(石川県野々市市)、横田農場(茨城県龍ケ崎市)、フクハラファーム(滋賀県彦根市)、AGL(熊本県阿蘇市)が2016年に設立した。4社は、九州大学の南石晃明教授が中心になり、農林水産省の予算で稲作の経営革新を追究している「農匠ナビ1000研究プロジェクト」の参加メンバーで、プロジェクトの成果を実用化するのが設立の目的。南石教授も引き続き参画している。

横田農場のあぜに設置した自動給水機(茨城県龍ケ崎市)

 給水機の販売は2019年4月を予定している。これに先立ち、今月から各地で試作機の実証実験を開始し、5月からは給水機を遠くから監視し制御するための実験を横田農場で始める。自動給水機を生産するのは北菱電興(金沢市)で、遠隔監視と制御に関する機器の実用化はアイ・オー・データ機器(金沢市)が担う。ここまでがプロジェクトに参加するプレーヤーの紹介。では、自動給水機の仕組みについて具体的な説明に入ろう。

 名前は「農匠自動水門」。本体は2つに分かれている。1つは、あぜに設置し、水路から田んぼに水を入れる水門の役割を果たす機材。もう1つは、田んぼに刺して水位を測るセンサーで、2つはコードでつながっている。

 水門は、制御盤の入った金属製の箱の下に円柱のパイプを水平に釣り下げ、青いホースを通したシンプルな構造。センサーも金属製の細長い箱の中にある。あまりに素朴な造りに「どこが画期的?」と感じてしまいそうだが、九大と共同で6つの関連特許を出願済みの「新しい技術」が投入されている。

センサーの水門部分の機材。中央のパイプが自動制御で上下する(都内で開かれた説明会)

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「現場発「地味な発明」こそ、農業を救う」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官