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豚の放牧を起点に「すべての人を幸せに」

福祉に乗り出す農業法人「えこふぁーむ」

2018年5月25日(金)

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えこふぁーむを率いる中村えい子さん(鹿児島県肝付町)

 『女傑』という言葉がある。仕事用の端末でこの言葉を打ち込むと「使わない言葉」という表示が出るので、使い方に気を遣うべき表現なのかもしれない。だが、社会に漂う閉塞感を豪快に吹き飛ばす中村えい子さんのことを書こうと思うと、まっさきにこの言葉が思い浮かぶ。

 中村さんは、鹿児島県大隅半島にある「えこふぁーむ」という農業法人の代表だ。発想の広がりは規格外で、全体像を理解するには既存の農業の常識から踏み出すことが必要になる。後述するように、中村さんの目標は「世の中をよくすること」だ。だが、そうした言葉で連想されがちな、共感できる仲間同士の狭い活動を志向しているわけではない。ビジネスの原則を冷徹に見定め、人をうならせる食材やサービスを提供している。

 農業法人としての事業の柱であり、出発点なのは豚の放牧だ。誰も管理しなくなり、人が入れなくなった荒れた山林や、ジャングルのようになった耕作放棄地に豚を放つ。豚が雑木や雑草の根を食べて倒し、荒れ地をリセットする環境を整える。えこふぁーむはその土地に広葉樹を植え、あるいは田畑に戻す。人と自然が交じり合う里山の復興だ。同社のそうした取り組みについてはかつて、拙著『農は甦る』(日本経済新聞出版社)で詳述した。

豚が荒れ地を開墾するえこふぁーむの放牧場(鹿児島県肝付町)

 えこふぁーむはその後、どうしているのだろう。それを確かめるため、数年ぶりに大隅半島を訪ねた。中村さんとは折に触れ、東京で会ってはいるが、地元でインタビューするのは久々だ。取材で彼女がキーワードとして使った言葉は「高揚感」。例えば、次のような文脈の中で出てくる。

 「楽しかったとか、よかったとか、高揚価値を商品化したい。『今日はおいしかった』と思えば、誰かに対して『このやろー』なんて言うこともなくなる。そういう機会を作っていけば、社会がよくなると思うんです」

コメント2件コメント/レビュー

発達障害の子供たちに「社会性を身につけさせる」のは押し付けだと思う。

社会性があろうが無かろうが、障害があろうが無かろうが、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地に関係なく
平等に幸せになれる、それが多様性ってものじゃないかな。(2018/05/26 12:32)

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「豚の放牧を起点に「すべての人を幸せに」」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

発達障害の子供たちに「社会性を身につけさせる」のは押し付けだと思う。

社会性があろうが無かろうが、障害があろうが無かろうが、
人種、信条、性別、社会的身分又は門地に関係なく
平等に幸せになれる、それが多様性ってものじゃないかな。(2018/05/26 12:32)

純粋に行ってみたい。家族旅行として。(2018/05/25 08:46)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官