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またも企業が撤退「農家にはかないません」

ある有名食品会社の5年の挑戦から見えるもの

2016年8月26日(金)

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農産物を支えるのは農家の栽培技術。企業でも簡単には追い抜けない。

 袋小路の農業の先行きを、企業の力で打開できないと思っているわけではない。だが今回も、企業の農業参入に安易に期待することの難しさを考える回になる。まずは、今回取り上げる企業が農業参入に際して発表したニュースリリースの一節を紹介したい。

 「日本の農業には、高齢化や後継者不足、耕作放棄地の増大といった問題が山積している。これを解決するため、企業が農業に参入することが期待されている」

 今回の取材は匿名が条件だったため、文言を若干いじってはいるが、大意は変えていない。というより、あまりに一般的な内容のため、どの企業が書いても同じになるといったほうがいいだろう。で、その内容だが、2つの前提がある。1つは、日本の農業はいろんな意味で危機的状況にある。田畑の荒廃は刻一刻と進んでおり、その根幹には後継者不足がある。この認識は間違ってはいない。

 もう1つが、企業的でないなにものかが農業の中心にいすわってきたため、農業が危機にひんしているという考え方だ。あえて翻訳すれば、家族経営が問題ということなのだろうか。だから、「期待」に応えるため、企業である自分が農業への参入を宣言した。2009年のことだ。

挑戦5年、撤退までの経緯

 結論からいえば、この企業は5年間、農産物の栽培に挑戦したが、このまま続けても利益を出すのは難しいと気づいて撤退した。「この企業」は食品関連のある有名企業を指す。仮にA社とする。

 参入した場所は、ジャガイモやサツマイモの栽培が盛んな関東地方のある地域だった。地元の生産者グループと共同出資で新会社を設立し、参入の受け皿とした。既存の農家から栽培技術を吸収し、経営を軌道に乗せるためだ。

 黒字化をあきらめて撤退はしたが、けして片手間の参入ではなかった。A社で現場担当になった30代のB氏は新会社の事務所の近くに移り住み、農作業や農業法人の経営に正面から挑戦した。公的融資などの支援を受けることができる認定農業者になることを目指し、実際、設立から4年ほどたったとき、自治体から認定を受けることに成功した。

 栽培面積も当初の3・5ヘクタールから5年間で13ヘクタールまで拡大した。既存の農家の平均が2ヘクタール程度しかないのと比べれば、まずまずの規模と言っていいだろう。

コメント8件コメント/レビュー

新規就農して10年以上たつものです。

農地の確保は思うようにいかないことも多いですが、いったん懐に入ってしまうと
こちらもこちらもと話が来ることが多い気がします。

農業技術は地元の農家から聞くことも重要ですが、地元の農家から聞くのはその土地の気候、土地の性質、傾向を聞き取ることに重点を置き、具体的な栽培に関しては、聞き取った風土に合わせた最善策を科学的に解析して企業独自で開拓された方が良いと考えます。それができないなら既存の農家がただ膨張しただけなので、いくら営業を頑張り、お金の流れをはっきりさせてもうまくいかない気がします。

既存の農家でもたい肥の重要性を語るのに、そのたい肥を散布する畑の腐食はすでに何%あって、しかも今からまこうとするそのたい肥の保証成分はどの程度か知らない、または知っているが気にしないみたいな方が多いのが現状な気がします。

土壌分析は万能ではないですが、土壌の状態をとらえる物差しにはなります。酸性度が高いのか低いのか、燐酸、加里が過剰になっていないか、過剰になっているのに大量にその成分を多く含むたい肥や肥料をやる必要はないです。

生産をする上での無駄をきちんとした指標に基づいてやめる。新たなことにはリスクを最小限にしてきちんと向き合う、挑戦していく。この繰り返しをしながら、時間をかけて少しずつ農園も育てていくのが農業な気がしています。(2018/04/18 08:57)

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「またも企業が撤退「農家にはかないません」」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

新規就農して10年以上たつものです。

農地の確保は思うようにいかないことも多いですが、いったん懐に入ってしまうと
こちらもこちらもと話が来ることが多い気がします。

農業技術は地元の農家から聞くことも重要ですが、地元の農家から聞くのはその土地の気候、土地の性質、傾向を聞き取ることに重点を置き、具体的な栽培に関しては、聞き取った風土に合わせた最善策を科学的に解析して企業独自で開拓された方が良いと考えます。それができないなら既存の農家がただ膨張しただけなので、いくら営業を頑張り、お金の流れをはっきりさせてもうまくいかない気がします。

既存の農家でもたい肥の重要性を語るのに、そのたい肥を散布する畑の腐食はすでに何%あって、しかも今からまこうとするそのたい肥の保証成分はどの程度か知らない、または知っているが気にしないみたいな方が多いのが現状な気がします。

土壌分析は万能ではないですが、土壌の状態をとらえる物差しにはなります。酸性度が高いのか低いのか、燐酸、加里が過剰になっていないか、過剰になっているのに大量にその成分を多く含むたい肥や肥料をやる必要はないです。

生産をする上での無駄をきちんとした指標に基づいてやめる。新たなことにはリスクを最小限にしてきちんと向き合う、挑戦していく。この繰り返しをしながら、時間をかけて少しずつ農園も育てていくのが農業な気がしています。(2018/04/18 08:57)

家庭菜園をやっていますが、その回りの農家さん達の作り方にはいつも驚かされます。農業は技術の塊だと感じています。

A社は農業に参入する前に、責任者を含め、数人を農業生産法人に数年間(4~5年)派遣して農業技術を習得させるべきでしたね。農業は1年で1ラウンド(1作)しか回らないことが多く、なかなか経験が蓄積されないので、長期的に取り組むべきだと思います。(2017/01/27 13:47)

トマトを作っているものですが、まず農業に効率化はあまり向いていないと思います
なぜなら自然作物が相手なので論理的な考え方は全くいらないとは言いませんが感覚的な
やり方も大事だと思います。あと大規模農業は大変です。なぜなら農業は機械があるとはいえ
人手がかかるからです。そして手間もとんでもなくかかります。
そして作物の売り先がほんとに大変です。正直農業は儲かるまで時間が5年以上かかるきがします
なので企業さんは気を長ーくして挑んでほしいとおもいます。
最後にこれだけは言いたいですが、経験上農業は数字目標からはいると(売上とか収量)
失敗すると思う。色々悪いとこ書きましたが、農業は成長産業だとも思います。(2016/08/28 23:10)

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