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「ICT活用農場ですね?」に「順番が逆です」

親父の技、その高みを侮るな!

2018年9月14日(金)

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 日本の稲作の未来を考えるうえで、注目すべき存在であるにもかかわらず、じっくり取材する機会がなかった農場がある。琵琶湖の東側、滋賀県彦根市で大規模稲作を営むフクハラファームだ。

 先週まで2回にわたり、茨城県龍ケ崎市で140ヘクタールの水田を運営する横田農場を取り上げた。そこで浮かびあがったのは、スタッフが仕事を分担し合いながら、自分の判断で作業する自律分散型の経営だった。農場主の横田修一さんは、ピラミッド型の対極にある営農のあり方を、かつて集落の共同作業の仕組みとしてあった「結(ゆい)」に例えて説明してくれた。

 横田農場とフクハラファームは田んぼのある場所こそ東西で遠く離れているが、九州大学の南石晃明教授を中心とした研究チームにともに参加するなど、稲作の発展に向けて連携する関係にある。だが営農のあり方は、トップの個性と農場の歴史によって様々だ。フクハラファームを理解することで、水田経営の未来をより広い視点で見ることができるようになると思う。

 フクハラファームは、もともと土地改良事業を担う事務所に勤めていた現会長の福原昭一さんが、1990年に専業農家として就農したことでスタートした。1994年には有限会社のフクハラファームを設立して法人経営に移行。無農薬のアイガモ農法や有機栽培など、安全・安心を掲げる環境配慮型の農法で知られるが、今回のテーマは細かい栽培技術ではない。

 まずは経営を大づかみで理解することから始めたいと思う。栽培面積は現在、180ヘクタール。日本の農地の平均が3ヘクタール足らずなのと比べてわかるように、「超」のつく大規模経営だ。栽培品目はコメが170ヘクタールで麦が25ヘクタール、キャベツなど野菜が14ヘクタール。合計が180ヘクタールを超えているのは、一部で二毛作を取り入れているからだ。

 今回取材したのは、創業者である福原昭一さんの長男で、2017年4月に社長に就いた福原悠平さんだ。農場を訪ねた9月5日は、広大な田んぼで稲刈りが佳境を迎えていた。当然、事務所でゆっくりお茶を飲みながら、記者の質問に答える時間的な余裕はない。田んぼと乾燥施設の間を往復し、収穫した稲を運ぶトラックに同乗しながら、経営の課題について質問した。

大規模農場「フクハラファーム」を継いだ福原悠平さん(滋賀県彦根市)

 インタビューの内容はまず上に記したような、創業の経緯や現在の栽培状況など経営の基本的な内容に関するやり取りから始まった。流れが変わったのは、ICTなど先端技術の活用に触れたときだ。すでに180ヘクタールに達し、さらに規模拡大が進むメガファームにとって、情報システムを活用するのは当然と見られている。だが、福原さんは突如トーンを変えた。

コメント4件コメント/レビュー

私も小規模ながら兼業農家で米を作っています
4500kgくらいでも在庫管理がちゃんとされていない
私がEXCELで入出庫管理のファイルを作っても親はデータをくれないので
必ずズレるのです(笑)

親父から17年前から引き続き運営していますが
水のタイミング、肥料のタイミングと量などまだまだ親父に及びません。
そういう蓄積にICTを活用したいと思うが、この規模では回収できないんだよね(2018/09/14 16:40)

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「「ICT活用農場ですね?」に「順番が逆です」」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

私も小規模ながら兼業農家で米を作っています
4500kgくらいでも在庫管理がちゃんとされていない
私がEXCELで入出庫管理のファイルを作っても親はデータをくれないので
必ずズレるのです(笑)

親父から17年前から引き続き運営していますが
水のタイミング、肥料のタイミングと量などまだまだ親父に及びません。
そういう蓄積にICTを活用したいと思うが、この規模では回収できないんだよね(2018/09/14 16:40)

私も仕事の関係で生産者の方やJAの方とお話しすることがあり、またセンシングによる「教師データ」の把握での新規就農者への伝承で生産性や秀品率を上げるといった取組をしています。
ただ担当しているのに常に感じていたのが「匠の技」が数値として現れるのだろうかということです。観察すること、足げく圃場を廻ることことをベテランの生産者の方が行っていて確認していることがそのまま「温度」「湿度」「日照度」等の数値で現れるのかとても疑問に思っています。
「手間を惜しんでは良い物は作れない」とベテラン生産者の方が言っていた言葉と国が進めているデータによる農業政策の進め方に「大丈夫」と常に思っています。(2018/09/14 16:13)

>6次産業化などとの対比で、「うちは生産しかやってません」と話す
垂直統合と水平分業の対比については、半導体産業の経験が面白く、90年代の半導体メーカーはTSMCなどのFABを称して「付加価値の低い生産に特化して何になる」と見ていたそうですが、結果は水平分業の隆盛により、垂直統合型の日本メーカーは衰退し、設計のみ自社で行い、製造をFABに投げるやり方は半導体業界で標準的なスタイルとなりました。
この半導体業界のやり方は出版社と印刷社の水平分業とも例えられ、要するに規模が小さいなら垂直統合でニッチな市場の付加価値を総取りした方が良く、規模が大きいなら水平分業で得意な領域の生産性を追求した方が良いという話です。
農業も同じで、小規模で市場が見えている農家は6次産業化した方が経営が良くなるでしょうが、規模を大きくして広い市場を狙う場合は、一工程に特化して生産性を高める方が経営が良くなると思います。
また、半導体産業の水平分業を可能にしたのはICT技術の発展により、製造工程と設計データの標準化、企業間での共有化が可能となった事が大きな要因ですが、同じICTの恩恵を被りながら隆盛したFABと衰退した垂直統合メーカーの対比は、先端技術の活用は有用ではあるが本質ではないという本記事の内容に通じると思います。(2018/09/14 13:42)

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