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老農林族は女子高生をどう激励したか

思いは今も「世界に通用する農業」

2018年10月12日(金)

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 数年前、ある研究機関のチームから「農業問題で相談したいことがある」という連絡があった。「コメの関税を撤廃すべきだというリポートを書きたい」。そのために知恵を貸して欲しいというのが相談の趣旨だった。

 今のように高関税でコメを守ることの是非については、議論の余地が十分あるだろう。手厚い保護は、えてして産業をかえって弱体化する。農業はその象徴かもしれない。だが、いきなり「ゼロ」にすることにどんなリアリティーがあるのか。多くの国は、何らかの形で農産物を守っている。

 「自ら進んで自国の弱い産業を国際競争にさらす国があるだろうか」。そんな疑問を口にすると、「この問題は経済学的にはとっくに決着がついている」と強い口調で否定された。おそらくは英国の経済学者、リカードの「比較優位論」が念頭にあったのだろう。各国がそれぞれ優位にある産品を作り、自由貿易を推進することで経済的な厚生が高まる――。

 そして、トランプ米大統領が登場した。アメリカが仕掛けた貿易戦争に正面から対抗し、中国は米国産の大豆に報復的な高関税をかけた。あおりを受け、値段が下がった米国の大豆が欧州に流れ込み、中国が輸入先としてシフトしたブラジル産が値上がりした。世界の穀物事情は比較優位論とは別の論理で、予想もしなかった変動に直面している。経済学的には決着したのかもしれないが、現実の経済の世界では出口の見えない混迷に突入している。

 ではその傍らで、日本の農業に何が起きているか。「農業は衰退の危機にある」という警鐘は、いかにも「オオカミ少年の寓話」的に響くフレーズだ。日本はコンビニやスーパー、レストランに農産物があふれ、しかもまだ食べられるものを捨てている「飽食の国」。食料に不安を感じることはまずない。だがその背後で、国内の農地の荒廃が年々確実に進んでいる。

 オオカミが本当にやって来る日はないと、誰が保証できるだろう。経済学的には「それでも自由貿易が理想」と主張すればすむのかもしれない。だが、食料の潜在的な供給力が日々減り続けるこの国の現実を考えると、いたずらに危機をあおることは戒めつつも、何らかの対処策を考えるべきだと思わざるを得ない。

 日本の農業はこれからどんな針路を選べばいいのか。それを考えるためのヒントは、過去の農政の中にある。高齢農家のリタイアに応じ、担い手への農地の集約がうまく進めばいいが、実際に起きているのは、産地の弱体化に伴う「生き残り組」の競争力の向上だ。その狭間で、耕作放棄が増え続ける。農政のどこがうまくいき、何に失敗してこうなったのか。

コメント3件コメント/レビュー

農業への参入を自由化すべき時が来ている。
遅いくらいだが・・・。

株式会社が法人として農地を持てるようにすべき。
農地として利用している土地は農地として課税し、
それ以外は通常の商業地として課税すればいい。
農地を遊ばせている(有効利用できていない)場合は、重加算税を課す。

個人に対しても、農地利用していない土地は、通常の固定資産課税をすべき。
農地の流動性を上げるために・・・。(2018/10/12 17:26)

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「老農林族は女子高生をどう激励したか」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

農業への参入を自由化すべき時が来ている。
遅いくらいだが・・・。

株式会社が法人として農地を持てるようにすべき。
農地として利用している土地は農地として課税し、
それ以外は通常の商業地として課税すればいい。
農地を遊ばせている(有効利用できていない)場合は、重加算税を課す。

個人に対しても、農地利用していない土地は、通常の固定資産課税をすべき。
農地の流動性を上げるために・・・。(2018/10/12 17:26)

食糧問題、農業問題、とりわけ農家の高齢化や少子化、過疎化が深刻な問題になっているのに、遅々として対策が進まないのはなぜなのか。
いつまでも個人経営、家族で継ぐという形態から抜け出せない。
農協あたりが中心になって企業化し、広く従事者を雇いいれ、工場と同様に交代勤務にすれば、普通に会社員として農業に従事できると思うのだが。
都会人が農業をやりたいと思っても、「個人が家族共々移住して、地域の人の輪に加えてもらい…」という方法しかないのでは、農家が減少して当たり前。(2018/10/12 09:53)

本来、日本の農業には「国際認証」を主導するだけの可能性があったはずなのに、視野が狭すぎたか、何かの固定観念に囚われていたのだろう。(2018/10/12 08:50)

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