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農家の努力をふみにじった偽装メーカーの大罪

酒蔵は、再びの春に向けて動き出す

2015年11月20日(金)

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「特別栽培」の表記をラベルから消す(浅舞酒造のホームページより)

 まずは1枚の写真から。真ん中に映っているのは1本の酒瓶。その裏側のラベルの文字を、男性がじっとのぞき込んでいる。「天の戸」の醸造元の浅舞酒造(秋田県横手市)が今月10日、ホームページにアップした写真だ。その下にある「何を信じれば良いのだろう」という文章を読んでからもう1度写真を見直すと、この男性の嘆きの意味がわかる。ラベルの文字でもっとも大切な部分を、修正テープで消している写真なのだ。

「何を信じれば良いのだろう」

 問題が発覚したのは5日。農協の上部組織、全国農業協同組合連合会(全農)が出した「肥料の回収および農産物への対応について」というリリースが、各地の農家を不安におとしいれる。全農が太平物産(秋田市)から買い、農家に売った肥料の成分が表記と違っていたことが明らかになったのだ。

 全農によると、太平物産の肥料の成分がおかしいと気づいたのが10月6日。これを受け、太平物産がつくっている753銘柄の肥料のうち、調査可能な726銘柄を調べたところ、なんと678銘柄の成分が表記と異なっていることがわかった。9割が偽装だったというのだからめちゃくちゃな話だ。全農が売った先は、青森、岩手、秋田、茨城など11県におよぶ。全農はリリースで「生産者、JAの信頼を損ない、多大なご心配とご迷惑をおかけした」と謝罪した。

 発覚した問題は3点ある。「肥料の成分が不足している」「記載されていない原料を使っている」「有機肥料の割合が少ない」の3つだ。農薬の成分をごまかしたとか、使用を認められていない農薬を売ったとかいう話ではないので、全農は「農産物の安全性には問題ない」と説明している。

 それでも生産者への影響は深刻だ。農林水産省のガイドラインによると、各地域でふつうに行われている栽培方法と比べ、化学合成農薬と化学肥料の窒素分をいずれも半分以下に減らせば「特別栽培」と表記できる。そして、太平物産の肥料のうち、約7割は有機成分が入っていることを売りにした複合肥料だった。

 問題の所在はこれでおわかりいただけるだろう。特別栽培と表記し、ほかの農産物と差を出すために太平物産の肥料を使っていた生産者が少なくないのだ。冒頭にかかげた浅舞酒造に酒米を納めていたコメ農家のグループも、そうした例のひとつだ。

コメント10件コメント/レビュー

残念なことに、2015/11/27に秋田地裁へ民事再生法の適用を申請したとの事。早い話が、尻巻くっての倒産。
被害団体/企業はやってらんないよね。(2015/12/07 15:29)

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「農家の努力をふみにじった偽装メーカーの大罪」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

残念なことに、2015/11/27に秋田地裁へ民事再生法の適用を申請したとの事。早い話が、尻巻くっての倒産。
被害団体/企業はやってらんないよね。(2015/12/07 15:29)

そこいらのスーパーで売られている「無農薬」「有機」が実際にそうなのかどうかは、へばりついて作業を監視できない以上は表示を信用するしかない。それ以前に、国のガイドラインがある以上、それに真面目に従うのが当然だし、取引においては民法で言うところの信義則遵守が当然に要求される。社会は信用で成り立っている。偽装はその信用を揺るがす。絶対に許してはならない。◆この事件で、見た目ではわからない土壌成分について、偽装させない・偽装できない品質管理システムをどう構築するかの教訓を得たと思う。◆有機農法への流れは、今更クルマ無しの社会は実現不可能でも、ゼロエミッション車を作りましょう、の流れと同様のものと考える。これは環境、経済、健康、持続性を横断する先進的社会問題である。原理主義的主張をする団体も確かに存在するが、有機志向を「信仰」の枠に矮小化したがる側についても、私は等しく信用ならないと思っている。ただ、当シリーズを拝読すると、日本の農業においては有機か無機か以前に解決改善すべき問題が山積していて、それが有機農法推進にも悪影響を与えているように思う。(2015/11/29 23:12)

ナチスの毒ガスで有名なフリッツ・ハーバーが開発した化学肥料(窒素肥料)は、世界の食糧生産の根幹を支えている。農作物に「有機」「無農薬」「特別栽培」などで付加価値を与えるビジネスは、衣服やカバンにブランドで付加価値を与えるようなもので、正当なビジネスだが富裕層を対象とするものだ。
それだけならよいのだが、それが信仰の域に達している人達もいて、おまけに無自覚だから、ビジネスが歪んでしまう。信者は声が大きくてFUDをやるから堅気の人にも影響を与える。困ったものだ。

本気でやるなら、信頼できる畜産農家と契約するなりして堆肥から作ればよい。もちろん家畜の飼料にも遺伝子組み換え作物や化学肥料を使って栽培したものは使ってはいけないことになる。当然でしょう?(2015/11/27 21:32)

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