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住友化学、コメの新たな「値決め」に挑む

減反廃止に商機をさぐる

2016年12月9日(金)

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 企業の農業ビジネスにはいくつかのパターンがある。企業がみずから農場を開くのはもっともわかりやすいケース。この連載でみてきたように失敗例もあるが、イオンのように国内最大級の農業法人になったところもある。つぎに思い浮かぶのは、電機メーカーが手がけるIT(情報技術)化など、農業経営をサポートするビジネスだろう。

企業の農業、第3のケース

 今回取り上げる住友化学のコメビジネスは、いわば第3のケースだ。契約先の農家に独自の稲の種と肥料、農薬をセットで売り、栽培方法を指導する。そう書くと、第2のケースと同じと思われるかもしれないが、決定的に違うのは、できたコメを全量買い取り、販売している点だ。

 日本のコメの流通に占める比率はまだほんのわずかにすぎない。だがこのモデルは、コメの生産と流通のあり方を変える可能性をはらんでいる。

 住友化学はバイオベンチャーから取得した独自の種を使い、2015年からコメの委託生産に参入した。2016年に生産を委託した水田の面積は500ヘクタールで、合計で3000トンを収穫した。2017年はコンビニ最大手のセブン-イレブン・ジャパンに供給することが決まっており、取扱量は3~4倍に増えると見込んでいる。

コメの品種開発に取り組む住友化学の研究所(兵庫県宝塚市、写真は住友化学提供)

 ここからが本題。企業の農業ビジネスは「ものづくり」の観点からばかり注目されがちだが、このケースでは本質は取引関係にある。住友化学やその関連会社が生産委託の契約を結び、コメを買い取るのは地域農協や集荷業者だが、その向こうに約650戸の農家がいる。川下も同様で、売り先となる卸や炊飯メーカーの先に、コンビニやレストラン、弁当店などがある。

 この関係は、たんに川上から川下へとコメが流れていくだけの一方通行の流通ではない。実需者であるコンビニや外食店が求めるコメの品質や量などの情報を農協に伝えるのがひとつ。売り先が確実にあることを見せ、安心してつくってもらうため、農協をコンビニの担当者と一緒に訪ねることもある。

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「住友化学、コメの新たな「値決め」に挑む」の著者

吉田 忠則

吉田 忠則(よしだ・ただのり)

日本経済新聞社編集委員

1989年京大卒、同年日本経済新聞社入社。流通、農政、行政改革、保険会社、中国経済などの取材を経て2007年より現職。2003年に「生保予定利率下げ問題」の一連の報道で新聞協会賞受賞。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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