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広告の仕事は、「創造」ではなく「整理整頓」

ゼロから何かを編み出すわけではない(アートディレクター葛西 薫さん 第1回)

2016年11月29日(火)

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 日本を代表するアートディレクター、葛西薫さん。サントリーのCI計画や、中国を舞台にしたウーロン茶の一連の広告をはじめ、虎屋のロゴデザインやパッケージ、ショップなどにもかかわる総合的なデザインや、ユナイテッドアローズの広告などを手がけています。

 広告業界では知らぬ者はいないであろう葛西さんに最初にお会いしたのは15年ほど前。

 抽象的な表現や難解な言語、カタカナ用語を一切使わず、平易な言葉で、ユーモアを混ぜながら、自身の仕事を的確に表現する。何て「やわらかいひと」なんだろう、と気を許していると、突然、どきっとするような厳しい発言が飛び出す。

 「いま流行っているあの広告、良いと思いません」

 インターネットが普及してはや10数年、スマートフォンが台頭し、広告を取り巻く環境は日々変わっている。そんな時代だから、葛西さんにストレートな質問をぶつけることにしました。

 「葛西さん、良い広告って何でしょう?」

「アートディレクターには個性はいらない」

葛西 薫(かさい・かおる) サン・アド常務顧問。1949年生まれ。文華印刷(株)、大谷デザイン研究所を経て、1973年サン・アド入社。サントリーウーロン茶、ユナイテッドアローズ、虎屋の長期にわたるアートディレクションほか代表作多数。近作に、スポーツカーTOYOTA86の広告。著書に『図録 葛西薫1968』(ADP)など。(写真:大槻純一、以下同)

川島:葛西さんは、サントリーのウーロン茶やユナイテッドアローズなど、ひとつの企業と長きにわたってかかわり、広告のデザインを手がけていらっしゃいます。そこで素朴な疑問です。葛西さんは広告のデザインをする時、何を考えて仕事に挑むのですか?

葛西:広告に関しては「自分はこういうものが作りたい」というのがないんです。広告は、広告を作った人のものじゃなくて、何かを伝える目的を持ったものですから。自分は作り手ですが、見る人でありたいと思うようにしています。「こういうものを作れば、ひとは喜ぶかな」と、あくまで広告をたまたま見た人の気持ちになるところからスタートする。

川島:作家じゃなくて職人。

葛西:僕の名刺の肩書は、アートディレクターです。アートディレクターというのは、自分の主義主張は置いておいて、相手が望んでいる最終目標をよく聞いた上で、そこに解釈や判断を加えて「こうしたらどうですか」と薦める役割ととらえています。

 いろいろな人の個性や資質について、見たり聞いたりして、「これとこれを組み合わせると絶対面白いことになる」と考える。こういう写真、こういうイラストレーション、こういう言葉が必要だ、と選び出し、整理し、導き、まとめていく。それがアートディレクターの仕事だと考えています。

 アートディレクターのアートとは、アーティストのアートではなくて、もっと原始的な「視覚」という意味ととらえてます。ですから視覚上の責任者と言っていいのかもしれません。アーティストには個性が必要だけど、アートディレクターには個性はいらない。だから僕も個性がありません。

川島:え、葛西さんに個性がない?

葛西:ええ。アートディレクターの仕事とは、相手の気持ちを察すること、相手の気持ちを想像することから始まるんですから。相手は今こう言っているけれど、最終目標はこうではないか。具体的な言葉になっていなくても、きっとこういうことだろうと察知する。それを視覚化してかたちにする。その時には、人間だけが相手じゃなくて、言葉とか文字とか紙とか、CMの場合だったら時間とかを相手にするわけです。

川島:言葉や文字や紙の立場に立つ?

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「広告の仕事は、「創造」ではなく「整理整頓」」の著者

川島 蓉子

川島 蓉子(かわしま・ようこ)

ifs未来研究所

ファッションという視点から、さまざまな分野の企業のブランド作りなどのプロジェクトにかかわる。日経MJ、ブレーン、読売新聞などで連載を持つ。2013年から現職。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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