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よい広告とは「風の吹いているおじさん」です。

「アベノミクス」「クールジャパン」はいかがなものか(アートディレクター葛西 薫さん 第2回)

2016年11月30日(水)

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 日本を代表するアートディレクター、葛西薫さん。サントリーのCI計画や、中国を舞台にしたウーロン茶の一連の広告をはじめ、虎屋のロゴデザインやパッケージ、ショップなどにもかかわる総合的なデザインや、ユナイテッドアローズの広告などを手がけています。

 広告業界では知らぬ者はいないであろう葛西さんに最初にお会いしたのは15年ほど前。

 抽象的な表現や難解な言語、カタカナ用語を一切使わず、平易な言葉で、ユーモアを混ぜながら、自身の仕事を的確に表現する。何て「やわらかいひと」なんだろう、と気を許していると、突然、どきっとするような厳しい発言が飛び出す。

 「いま流行っているあの広告、良いと思いません」

 インターネットが普及してはや10数年、スマートフォンが台頭し、広告を取り巻く環境は日々変わっている。そんな時代だから、葛西さんにストレートな質問をぶつけることにしました。

 「葛西さん、良い広告って何でしょう?」

前回から読む)

「画面の向こうにあるもの」を見せる

葛西 薫(かさい・かおる) サン・アド常務顧問。1949年生まれ。文華印刷(株)、大谷デザイン研究所を経て、1973年サン・アド入社。サントリーウーロン茶、ユナイテッドアローズ、虎屋の長期にわたるアートディレクションほか代表作多数。近作に、スポーツカーTOYOTA86の広告。著書に『図録 葛西薫1968』(ADP)など。(写真:大槻純一、以下同)

川島:葛西さん、よい広告ってなんでしょう?

葛西:うーん、あえていえば、風の吹いているおじさん、みたいな広告、かなあ。

川島:風の吹いているおじさん?

葛西:子どもの頃から、あるタイプの大人に憧れていて…。生きるのが下手だけど、ちょっと魅力的なおじさんです。

川島:おじさん。

葛西:ダメなところがいっぱいあるんだけど、なぜか子供に好かれるし、女の人からもモテる。そんなおじさんの魅力は何か。

 そうだなぁ、表現し過ぎないことかもしれません。多くを語らず、ぽつりと一言、残していった言葉に、「あれはこういうことだったんだ」と、後で気づかされる。そんなおじさんの持つ“含み”の大きさをかっこいいと思ったんです。子どもの頃は、身の回りにいたんですよ。そんな、どこかダメだけどかっこいいおじさんが。

川島:ああ、なんとなくわかる。決してハンサムじゃないのに、不思議と飲み屋さんなんかで好かれちゃうみたいな。

葛西:昔、誰だったのか、世の中には、「風が吹いている人」と、「風が止まっている人」がいるって言った人がいて、うまいこと言うなあと感心したことがありましてね。

川島:風が吹いている人?

葛西:ええ。風が吹いている人って、切なさや辛さをどこかに背負っている。だけど、それを自分から口にすることは決してない。にもかかわらず、その切なさや辛さが背中から見え隠れしている。

 すべてを露呈しないで、何かを抱えながら生きている男の魅力。わかっていても語らない。両足をつっこまない。丸出しじゃない生き方。そして、広告もそんなおじさんのような存在じゃないとだめだよなあ、と思っているわけです。

川島:だから、よい広告って、風の吹いているおじさん、なんだ。その視点で今度から広告を眺めてみます。葛西さんの広告は、まさに風が吹いていますよね。なんというか、「余白」がある。

コメント5件コメント/レビュー

川島さんのインタビュー記事 出始めたら毎日連載されるのでまとめて読む癖がつきました。
最近の広告に余白がない バラエティで急にうわーっと拍手したり笑ったりも必要のない演出 全くもってその通りだと思います。
最近違和感を感じているのが通販の生命保険のCMで、何でしつこい位にオウム返しするの? ということ。
最近は金融の世界もコンプライアンスがうるさくなったとか、おうむ返しすることで共感を得られる心理的効果とか、頭ではわかっているつもりでも、あれだけ露骨に何度も繰り返されると、しつこい! と一喝したくなりますし、見る側も小バカにされているように感じて売り上げ的には逆効果ではないでしょうか?
宣伝のために多額の広告費を投入するのだから元を取りたい気持ちもわからなくもないのですが、今のマスメディアはそれを強調したいあまり、結果的に思惑とは裏腹に外しまくっていることが多いように感じますね。(2016/12/02 12:13)

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「よい広告とは「風の吹いているおじさん」です。」の著者

川島 蓉子

川島 蓉子(かわしま・ようこ)

ifs未来研究所

ファッションという視点から、さまざまな分野の企業のブランド作りなどのプロジェクトにかかわる。日経MJ、ブレーン、読売新聞などで連載を持つ。2013年から現職。多摩美術大学非常勤講師。Gマーク審査委員。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

川島さんのインタビュー記事 出始めたら毎日連載されるのでまとめて読む癖がつきました。
最近の広告に余白がない バラエティで急にうわーっと拍手したり笑ったりも必要のない演出 全くもってその通りだと思います。
最近違和感を感じているのが通販の生命保険のCMで、何でしつこい位にオウム返しするの? ということ。
最近は金融の世界もコンプライアンスがうるさくなったとか、おうむ返しすることで共感を得られる心理的効果とか、頭ではわかっているつもりでも、あれだけ露骨に何度も繰り返されると、しつこい! と一喝したくなりますし、見る側も小バカにされているように感じて売り上げ的には逆効果ではないでしょうか?
宣伝のために多額の広告費を投入するのだから元を取りたい気持ちもわからなくもないのですが、今のマスメディアはそれを強調したいあまり、結果的に思惑とは裏腹に外しまくっていることが多いように感じますね。(2016/12/02 12:13)

>例えば、「(Be)クールジャパン!」を目指そう!という指標ととらえたら全然違和感はないと思うが

仰るとおりです。英語文法は「格」の概念を消失しているので誤解を招きやすいですね。「Good morning!」と言われて「全然goodじゃないよ」といちゃもんをつけるようなもの。ドイツ語のGuten Morgenを見れば対格なので「良い朝『を』」という意味だったことが直ぐ理解できますけどね。(2016/12/02 11:40)

ほとんどの内容が僕には響いてこなかった。
こんなやりとりがよく成立するなあと思った。
例えば、「(Be)クールジャパン!」を目指そう!という指標ととらえたら全
然違和感はないと思うが。(2016/11/30 15:40)

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