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UPSは人身売買撲滅の救世主となるか?

2017年1月18日(水)

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(写真:ロイター/アフロ)

 情報番組のコメンテーターを務めるようになってから気づいた、番組素材の変化といえば、車中、特にタクシーのドライブレコーダー画像が頻繁に使われる点だ。強盗や窃盗など、内部の様子を見るだけではなく、運転時の外部の画像を見る機会も増えた。

 クルマの数だけ監視カメラが増える。それが犯罪の捜査などで重宝されているのもよくわかる。もちろんドライブレコーダーは、それだけ監視の目が増えていることでもあるため、その是非は問わない。ただ、多くのクルマが意図せず事故の目撃者となることは興味深い。

UPS運転手が救世主となる日

 現在、ECサイトの発展もあり、さまざまな場面で配送業者の活躍を見る。人材不足が深刻であり、その根本解決にはいたっていない。現場では、人材不足に加え、高齢化と、その多忙ぶりに悲鳴があがっている。本稿ではその点は繰り返さず、その多忙ゆえの新たな取り組みについて述べる。

 それは米UPSの取り組みだ。UPSはいわずとしれた運送業者で、米国のみならず全世界から荷物を受け、配送する。当然ながら、UPSのドライバーは他の職業人にくらべて、すみずみまで移動する。そこでUPSは、仕事をしているドライバーが、人身売買等の犯罪行為が行われている様子を察知した際には、報告することにしたのだ。

 人身売買等がどういった状況で起きやすいのか。その判断を行うために、同社の8000人を超えるという、ドライバーへの教育も行う。UPSは、自社について「売買犯罪者と被害者を救う、きわめてユニークなポジションにいる(a unique position to help identify traffickers and trafficking victims)」と語っている。

配達時にもたらされる多くの情報

 配送業者は、もちろん芸能人宅にも荷物を運ぶだろうし、他の有名人宅にも荷物を運ぶ。そのような人たちのプライバシー情報を漏洩させるのはもちろんご法度だ。ただし、このような状況ならばどうだろうか。

  • 荷物を渡しにいったら、ビクビク怯えている。とても特異な動作をしている
  • なぜか大泣きしている
  • 助けてほしいような表情をしている
  • 荷物の宛名の人物を知らない
  • なにか病的な行動を取っている

 このなかには、「主観だろう」としか思えないものもある。判断基準が難しい。日本では、これらの状況を通報すれば、プライバイシー侵害として感じられるかもしれない。だからこそ、それを見抜くためのドライバー教育なのだろう。

 ただ、ドアまで荷物を運び、サインをもらうドライバーは、たしかにポストに手紙を入れるだけではない、ある種の「雰囲気」を感じるはずだ。もちろんなかには、人身売買等とは全く関係のない宅が報告されるかもしれない。ただ、同社の取り組みは意義があると私は感じる。

コメント3件コメント/レビュー

サプライチェーン全体に責任を持つべきと言うのは賛成です。私は企業が犯罪を犯したときはその取引先は全て講評すべきだと考えています。奴隷的な扱いを受けている企業から製品を仕入れているということは奴隷的な扱いによる恩恵を受けていることになるので、それに責任をもつのは当然だと思います。
△UPSの人身売買防止の件はアメリカではそんなに人身売買が多いということの方が衝撃でした。(2017/01/19 21:40)

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「UPSは人身売買撲滅の救世主となるか?」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

サプライチェーン全体に責任を持つべきと言うのは賛成です。私は企業が犯罪を犯したときはその取引先は全て講評すべきだと考えています。奴隷的な扱いを受けている企業から製品を仕入れているということは奴隷的な扱いによる恩恵を受けていることになるので、それに責任をもつのは当然だと思います。
△UPSの人身売買防止の件はアメリカではそんなに人身売買が多いということの方が衝撃でした。(2017/01/19 21:40)

倫理・道徳観の問題でしょうが、日本の場合は君子危うきに・・で放置、見て見ぬフリなんでしょうね。どこが絆の国なんだろうと思う事しばしば。(2017/01/18 12:27)

私はアメリカで暮らし長らく過ぎましたがこの記事はなるほどと感じます。彼らはただ荷物を渡すだけですが、間違いなく多くの情報を得ていることは確かです。住所があるところはどこへでも行くので、日本では考えにくいですが国境の州などでは当然不法滞在者も見つけやすいでしょう。ブログ飾り気のないアメリカ著者(2017/01/18 05:32)

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