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小売業の祭典で感じたAIとビッグデータの明日

2018年1月24日(水)

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 私はビジネス書を30冊ほど上梓している。ビジネス書の書き方ではなく、たまにビジネス書の読み方、といったインタビューを受ける。「仕事が速くなるための10冊」とか「人を魅了する話し方が身につく10冊」とか、そういうたぐいのやつだ。

 私はいまも昔も専門書の書き手で、一般ビジネス書はほとんど書いていない。ただ、読書は多くするので「薦めてくれ」、というわけだ。聞き手はライターで、私よりもずっと一般ビジネス書を読んでいる。

 しかし取材を受ける側になってわかったのは、ちょっと疑ってしまうレベルのひともたまにいることだ。たとえば私の本を読んでこないのはいいとして、どんなことをやっているのかも調べていない。編集部が私を指定したので、自分は詳しくない、という。さらにメールの書き方や、取材での基礎知識など「??」と思う機会が多々ある。ビジネス書の読書数と、仕事がデキる、とは無関係ではないかと思うほどだ。

 この前、働き方改革とか、時短とかの話題のとき、対応してくれたライターは、いつも深夜にメールを送ってきた。やはり、知識があっても改善はできない、ということか。別の機会に複数人で打ち合わせをしていて「年収1000万円の仕事術」的な話題になったので、「では、ここに年収1000万円のひとは何人いますか」と聞いたことがある。誰も手を挙げなかった。編集部は、その特集に熟知していると思うものの、面白い結果だった。

 話をちょっと変える。

 私は定期的に大阪の某A社と仕事をしている。私はよくその企業が入居するビルに行く。その上階には、有名なソフト開発企業B社が入っている。すると、そのB社の社員が、頻繁にA社のフロアのところに階段で降りてくる(もちろん部外者の侵入は禁止)。そこで、社員同士がおしゃべりをしたり、あるいは携帯電話で誰かと話したりしている。なんでも、同じフロアにいる社員に聞かれたくない話のようだ。私など、そのB社の社員が電話で恋人と別れ話をしているのを“目撃”したこともある。

 効率とスピード、そしてセキュリティを売りにしているあの企業がこれ? と卒倒しそうになった。この企業はメディアで好意的に取り上げられていた。

 もちろんメディアでは、誇張ではないものの、やや強めに書かなければ伝わらない。話題にもならない。だから、そこらへんは差し引いて読む必要があるだろう。

 例えば、テクノロジーも同じかもしれない。毎年、多くの雑誌では、未来予想を特集する。読んでいると、毎年、世界は激変しているように感じる。ただ、実際、一部の人は敏感に変化を捉えるとはいえ、世の中で隅々に瀰漫するには時間がかかる。

 変わるもの、ちょっとずつしか変わるもの、変わらないもの。それらを考えつつ情報にあたるのが重要だろう。

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「小売業の祭典で感じたAIとビッグデータの明日」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官