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トランプは製造業復活に何を「Change」するのか

2017年2月8日(水)

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(写真:ロイター/アフロ)

 1月27日、米国のトランプ大統領は、企業や労働組合の代表合計28人で構成する「Manufacturing Jobs Initiative」(製造業雇用促進会)の創設を発表した。労働組合の代表3人と企業トップ25人で構成されるこの会で、どんな内容が討議され大統領へ答申されるのだろうか。

 この会では、トランプ大統領がこれまでに発言し、一部は大統領令によって示してきた米国製造業における雇用拡大の具体策が求められる。米国大手企業のトップが名を連ねる会で、どんな妙案が見いだされるのか。サプライチェーンのプロセスが海外へ流出する「産業の空洞化」が進む多くの日本企業でも、その結果は注目される。

オバマ前大統領も目指した製造業復権による経済活性化

 これまでに出された大統領令を見ると、トランプ大統領はオバマ前大統領の政策の多くを否定している。しかし製造業に対する政策はいみじくも重なる点が多い。2010年6月に競争力評議会(Council on Competitiveness)によって立ちあげられた「米国製造業イニチアチブ」でも同じような討議が行われた。当時、米国の輸出額の69%を製造業が占めており、輸出額を5倍に増やす目標が掲げられた。

 この取り組みが環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加へとつながってゆく。製造業の持つ経済への大きな波及効果がクローズアップされたのだ。製造業における研究開発費の大きさ(民間部門の約70%)やサービス業への波及を含めた乗数効果の影響力が大きく、そして過去20年の生産性向上の平均がサービス業の年率2.3%に対し製造業が3.4%と報告されたこともあり、製造業への期待がいやがおうにも高まった。

 期待の高まりは、2011年8月にボストンコンサルティンググループ(BCG)から発表されたレポート「Made in America, again」で最高潮を迎える。2011年から5年以内に米国市場向けの製品の多くが、中国で生産した場合とのコスト差がなくなるとしたレポートの内容は衝撃をもって迎えられた。

日本で行われた2つの国内生産回帰

 2017年現在、JETRO(日本貿易振興機構)の資料によれば米国と中国には引き続き歴然とした人件費差が存在する。BCGのレポートで人件費が米国と同じになるとされた中国揚子江デルタ地域を上海地域としても、もっとも差の小さいアトランタと比較して5.8倍もの開きがある。またATカーニーが発表している「U.S. Reshoring Index」を見ると、一時的に生産回帰されたとされる2011年以外は、海外への生産流失に全く歯止めがかかっていない。オバマ前大統領が掲げた、製造業を復活させ輸出を5倍に増やすといった目標は、残念ながら実現しなかったと結論付けざるを得ない。

 一方、日本と比較すると、2012年、安倍政権発足後に外国為替が円安傾向へと推移し、為替変動に呼応して多くの製造業で国内への生産回帰の動きが見られた。日本企業が取り組んだ生産回帰には大きく2つの方向性がある。

 1つは、国内と海外の工場の稼動率をコントロールして、為替レベルに呼応しコスト面で有利な工場の稼動率を高める方法だ。2012年にはパナソニックやソニーといった多くの国内製造業による取り組みが報じられた。将来的な円高局面への移行を想定すると、全面的な日本国内への生産回帰は決断できない。しかし目の前の円安による損益の悪化には何らかの対応が必要となった企業にとって、もっとも取り組みやすい方策だ。

コメント2件コメント/レビュー

日本は超の付く金融緩和のお陰で円安になり「国内と海外の工場の稼動率をコントロールして、為替レベルに呼応しコスト面で有利な工場の稼動率を高める方法」での部分的な生産の国内回帰が出来るようになった。然しこれも円高に戻れば再び元に戻ってしまう。無知なトランプにも教えてあげないといけない。「日本も製造業の中国などの発展途上国への移転で空洞化しており、国内に残っているのは付加価値の高い製品だけだ。」と。無理やり国内に戻そうとしたら、経営者としての選択肢は2つ。1つ目は派遣労働者のように比較的労賃が安く、生産量に応じた人員調整のやり易い労働力の確保。2つ目は徹底的な自動化による無人化工場。これでは「求人」は増えない。1つ目が可能性として高いが、ラストベルトなどの人々はこういった仕事を喜んで迎い入れるのだろうか?経営者はバカではないから、価格競争の厳しい製品を生産するのにIT関連労働者並みの高い労賃を払う筈がないのだから。アメリカの中程度の人達がこの程度の仕組みが分からないとは思えないのだ。恐らく、現状に不満を持つ人達が後先を考えずに「ともかく現状の秩序を破壊する候補に投票」の結果がトランプ大統領、という事だと受け止めている。だから「どういう風に変わった秩序に作り変える」かの青写真はないのだ。客観的に見れば「破れかぶれ」で選ばれた大統領の施策も過去の例と比較すると正に「破れかぶれ」状況だ。先進国が今以上に発展を継続するには、現存する業務の生産性を上げるか付加価値の高い仕事にシフトして行くしかない。後者の場合、多くの人が新たな仕事に就くために教育や訓練が必要となるが、問題は中高年の人達で、日本でも深刻な状況を経験している。アメリカは仕事の切り替えが日本よりはスムーズに行われてきたのかと思っていたが、トランプ大統領実現直後に放映されたラストベルトの人達のコメントから察するに転職はうまくいっていない様だった。私自身30歳の時に初めて海外に、然も仕事でアメリカに行った時、現地の5、60歳付近の年寄りが10本の指を使ってターミナル(当時は未だPCは一般的には普及していなかった)に向かってキーボードもほとんど見る事なしに打ち込んでいるのを見た時に大きな衝撃を受けた。そんなアメリカ人達が、工場の海外移転で転職を迫られても対応出来ないで右往左往している姿は想像できなかった。(2017/02/08 08:54)

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「トランプは製造業復活に何を「Change」するのか」の著者

牧野 直哉

牧野 直哉(まきの・なおや)

未来調達研究所取締役

2012年、未来調達研究所取締役就任。現役バイヤーの立場から情報発信を行い、企業の調達・購買部門における取引先管理・サプライヤーマネジメントの専門家。調達・購買の現場に根ざした理論構築を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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日本は超の付く金融緩和のお陰で円安になり「国内と海外の工場の稼動率をコントロールして、為替レベルに呼応しコスト面で有利な工場の稼動率を高める方法」での部分的な生産の国内回帰が出来るようになった。然しこれも円高に戻れば再び元に戻ってしまう。無知なトランプにも教えてあげないといけない。「日本も製造業の中国などの発展途上国への移転で空洞化しており、国内に残っているのは付加価値の高い製品だけだ。」と。無理やり国内に戻そうとしたら、経営者としての選択肢は2つ。1つ目は派遣労働者のように比較的労賃が安く、生産量に応じた人員調整のやり易い労働力の確保。2つ目は徹底的な自動化による無人化工場。これでは「求人」は増えない。1つ目が可能性として高いが、ラストベルトなどの人々はこういった仕事を喜んで迎い入れるのだろうか?経営者はバカではないから、価格競争の厳しい製品を生産するのにIT関連労働者並みの高い労賃を払う筈がないのだから。アメリカの中程度の人達がこの程度の仕組みが分からないとは思えないのだ。恐らく、現状に不満を持つ人達が後先を考えずに「ともかく現状の秩序を破壊する候補に投票」の結果がトランプ大統領、という事だと受け止めている。だから「どういう風に変わった秩序に作り変える」かの青写真はないのだ。客観的に見れば「破れかぶれ」で選ばれた大統領の施策も過去の例と比較すると正に「破れかぶれ」状況だ。先進国が今以上に発展を継続するには、現存する業務の生産性を上げるか付加価値の高い仕事にシフトして行くしかない。後者の場合、多くの人が新たな仕事に就くために教育や訓練が必要となるが、問題は中高年の人達で、日本でも深刻な状況を経験している。アメリカは仕事の切り替えが日本よりはスムーズに行われてきたのかと思っていたが、トランプ大統領実現直後に放映されたラストベルトの人達のコメントから察するに転職はうまくいっていない様だった。私自身30歳の時に初めて海外に、然も仕事でアメリカに行った時、現地の5、60歳付近の年寄りが10本の指を使ってターミナル(当時は未だPCは一般的には普及していなかった)に向かってキーボードもほとんど見る事なしに打ち込んでいるのを見た時に大きな衝撃を受けた。そんなアメリカ人達が、工場の海外移転で転職を迫られても対応出来ないで右往左往している姿は想像できなかった。(2017/02/08 08:54)

「労働者へのトレーニングプログラムを各企業が準備し、失業した労働者のスキルを高度化することで乗り切る可能性も残されている。」という部分が非常に大きな問題。AIやIOTが進化する速度は非常に速く、労働者が受け持つ仕事がそれらのテクノロジーによって奪われたときにその労働者は次の技能を身につけるスピードが余りにも遅すぎる。そして、次の技能に群がる人が過多になる(人件費負担の大きい仕事から自動化される)のでそれまでより付加価値の大きな仕事に就ける可能性は非常に低い。こうなると超越したコスト効率のよいAIやIOTで生み出されるこれまでには生めなかった超過利益を以って新たな技能を得た労働者を割高な給与で雇用しなければ社会全体では勘定が合わなくなる。技術の進化をどれくらいのスピードでどのタイミングに導入するかというAIが出来上がらない限りは少数がより多くの利益を得て、大多数の所得が減少するでしょう。それは既に起こっていることで、その問題解決にはAIやIOTは役に立たない。AIとIOTを全体最適化で運用できる優れた政治家・官僚が居るか全体最適AIがする。どちらかでないと部分最適の全体悲劇となるでしょう。(2017/02/08 07:41)

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