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アマゾンはサプライヤーを探さずに起業させる

2018年7月4日(水)

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(写真:Christian Rumme/Getty Images)

 企業がサプライチェーンを管理するとき、自社にないリソースは社外に求める。事業の新規創出や成長には、事業ニーズの一部を的確に実現するサプライヤーの存在が欠かせない。だからこそ、企業の調達・購買部門では、新たなサプライヤーの開拓が重要な業務の1つになっている。しかし、新たなサプライヤーの開拓は、簡単には実現しない。

 そんな悩ましい業務に、アマゾンは新たなスタイルを提案した。「Own your success」。ビジネス上のニーズを公開して、ニーズに沿った事業を興す起業家に対して必要なノウハウや費用をサポートする取り組みだ。言うなれば、自社に欠かせないサプライヤーを探すのではなく、企業の設立に必要なリソースは、資金を含めてサポートしますよと魅力的な言葉を並べ、起業家に「会社を作ってくれませんか」と提案しているのである。

簡単には進まないマッチング

 新たなサプライヤーの開拓は、多大な困難がともなう。日本でも都道府県や市区レベルで、産業振興を目的にした商談会が多数開催されている。従来とは異なる形で、発注側と受注側の企業同士をマッチングさせ、経済活性化を目指す取り組みだ。毎週日本のどこかで新たなマッチングを求めて商談会が開催されている。

 しかし、既存の企業同士のマッチングは、簡単には進まない。すでに事業を営んでいれば、なおさらだ。多くの商談会は、長くても30分程度、短ければ10分ちょっとの限られた時間で、双方が相手を見極めなければならない。発注側は、自社のニーズにあった製品やサービスが提供できるかどうかを探る。受注側も同じだ。商談会の時間内で見極めるのは難しいのが現実だ。

 企業同士のマッチングを難しくしているのは、双方が使用する言葉の問題が大きい。同じ日本語であっても、社内用語や取引先が使用する言葉の影響を受けている。細かい語彙の違いが誤解を生んで、相互理解を難しくしている。十分に理解できない業務内容の企業とは、発注側でも受注側でも取り引きを開始したくないはずだ。

 特定の顧客とのパイプを太くするには、円滑なコミュニケーションが欠かせない。したがって、仮に一般的な語彙と違っていても、顧客とのコミュニケーションを優先させて理解する。そういった、顧客との関係構築の取り組みが、別の新たな顧客開拓には障害となってしまうのである。こういった単純な問題に気づいている企業は実に少ない。

アマゾンの魅力的なオファー

 そういったサプライヤー開拓の問題点を、新規事業開発と発展を通じて、どんな企業よりも強く問題点として認識していたのだろう。アマゾンのOwn your successは、従来のサプライヤー開拓の常識を覆す内容だ。まず、明確にアマゾンがサプライヤーに望む事業内容を定義している。アマゾンのラストワンマイルを埋める配送事業だ。起業家には「リーダーシップ」のみをもとめている。起業に必要な資金、ノウハウ、問題発生時のオンデマンドサポートまで提供している。そしてビジネスのミッションは「笑顔を届ける(Deliver smiles)」だ。もし起業を検討し、物流・配送業をターゲットにしているなら、確実に魅力を感じるオファーであるに違いない。

 この取り組みのメリットは、仕組みの提供によってスタートアップが容易であるとともに、異なる企業間での方針や日常的に使用する言葉に関する事前調整を不要にしている点だ。新たなサプライヤーの事業内容を確認し、品質レベルや事業継続の可能性を確認した後に、取り引きをスムーズに進めるための調整といった一連の作業が一切不要になる。それらはすべてアマゾンが提供するのである。

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「アマゾンはサプライヤーを探さずに起業させる」の著者

牧野 直哉

牧野 直哉(まきの・なおや)

未来調達研究所取締役

2012年、未来調達研究所取締役就任。現役バイヤーの立場から情報発信を行い、企業の調達・購買部門における取引先管理・サプライヤーマネジメントの専門家。調達・購買の現場に根ざした理論構築を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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