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物流地獄を認めたテスラとマスクCEOの今後は?

2018年10月10日(水)

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輸送されるテスラの新車 (写真:ロイター/アフロ)

 私は自動車メーカーで働いていた。各社とも新人には、数カ月、あるいはそれ以上のライン研修を課す。ラインでクルマの部品を組み付けたり、検査したり、あるいは出荷を手伝ったりする。私も例外ではなく、ひたすら内装のパーツを組み付ける仕事をした。

 設計者にとってみれば、現場の苦労がわかれば、よりよい設計をしようとする。調達・購買ならば、現場に迷惑をかけないように努めようとする。品質担当であれば、一つの不良品がいかに大きな影響を与えるかがわかるため、品質問題撲滅に努めようとする。

 ラインで働いていると、たった数秒であってもラインを止めることがいかに損失かがわかる。自分がミスをしてラインを止めてしまうと、全員の動きが止まるのだ。そのぶんもコストが垂れ流される。自動車工場の場合は、数十秒で1台ずつ完成していく。その秒数ぶんを止めてしまうと、年収分のコストが無駄になる。

 工場の資材係は、出社時に、ラインが止まっていると、気が気ではない。自分が担当している部材が納品されていないためにラインが止まっているのではないかと心配してしまうからだ。それが他人の担当部材のせいだとわかると、もちろん口外できないが、少し安心してしまう。

 自動車工場では、たった少しの時間ロスが、全体に大影響を及ぼしてしまうからだ。

テスラの物流地獄

 米テスラのイーロン・マスクCEOに向けて、一つのツイートが購入者から発せられた。テスラのクルマを購入したにもかかわらず、クルマの納品日が何回も延期されてしまい、いつになるかわからないというのだ。

 すると、イーロン・マスクCEOが反応した。「申し訳ありません。私たちは、生産地獄から、物流地獄に移行してしまったようです。ただし、この問題は、まだ解決しやすいはずです(Sorry, we've gone from production hell to delivery logistics hell, but this problem is far more tractable.)」。この「物流地獄(delivery logistics hell)」のフレーズがキャッチーだったためか、各メディアはいっせいに記事にした。

 解決しやすいだろう、とはいうものの、逆にいえば、それは物流が滞っているのを認めたといえる。実際に、クルマの納品までの時間が延びており、テスラの顧客は長く待たされる可能性があるという。

 生産については、ロイターが報じたとおり、クルマのカラーを一部廃止とした。これで生産を何とかスピードアップする狙いだ。

 テスラは生産台数が見込みに達するかが重要な問題点と考えられてきた。しかし、その物流とは、皮肉ではなく、新たな問題点だ(なお、問題となったつぶやきを発した消費者のもとへはただちに納品されたという)。

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「物流地獄を認めたテスラとマスクCEOの今後は?」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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桝村 聡 高砂香料工業社長