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偽装の連鎖をコストを掛けずに止める方法

2017年11月29日(水)

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(写真=ロイター/アフロ)

 11月23日に発覚した三菱マテリアルの子会社による検査データ偽装問題。先月発覚した神戸製鋼所の問題が冷めやらぬ状況下の発表に衝撃が走った。両社とも製品の原材料や素材を供給するメーカーだ。両社の顧客は国内企業だけではなく、海外にも広がっている。現在、両社が納めた材料を使用して稼働している機器も多く、影響の拡大は避けられそうにない。航空機をはじめとした人命に関わる製品にも多数使われており、早急な安全性の確認が求められる。

サプライチェーンに沿って連鎖した不正行為

 安全性が確保された後は、再発防止策の確実な実行が欠かせない。これまで、さまざまな業種で、残念ながら「偽装」は繰り返されてきた。過去には、サプライチェーンの上流で発生した偽装問題が、数年後に同じサプライチェーンの下流で類似の偽装問題が発覚している例がある。

 2002年、複数の大手食肉加工会社による不正が発覚した。BSE(牛海綿状脳症)問題対策だった国産在庫牛肉の買い取り制度を悪用し、輸入牛肉を国産に偽装し公金を詐取した事件だ。2001年10月18日からすべての牛の解体時にBSE検査が義務づけられた。それ以前に解体され保存されている牛肉を対象に、国が業界団体に助成して買い取らせていたのだ。不正を起こした企業の中には、解散や破綻に追い込まれた企業もあった。

 続いて2007年、食肉加工卸会社による偽装問題が発覚した。牛肉コロッケ材料として、牛肉に豚肉や豚・牛の内臓を混ぜたり、豚肉だけのひき肉を牛ミンチと偽ったりして出荷していた。牛ミンチに外国産牛肉を混入させたにもかかわらず国産と表示したり、冷凍食品の賞味期限を改ざんしたり、偽装のオンパレードだった。2007年は、ブランド鶏肉や、各地の名産の菓子といった有名な食品でも、次々に不祥事が発覚し、流行語大賞でも「食品偽装」が、ノミネートされるほどであった。

 そして2013年には、ホテルや有名百貨店による食品の偽装表示が次々と発覚する。使用している食材よりも良い=高級な食材と誤認させる虚偽表示が相次いで発覚した。この問題は2014年「不当景品類および不当表示防止法」の改正の契機になり、コンプライアンス体制の確立が、新たな事業者の義務になった。

サプライチェーン全体を視野にした再発防止策

 一連の食品にまつわる偽装問題は、最初に食肉加工会社、続いて卸、最後には消費者と直接接点をもつデパートやホテルへと、時を隔てて連鎖していった。食料品サプライチェーンの上流から下流へ偽装行為が拡散していったように映る。このような不正行為を、自社を起点としたサプライチェーンに流出させないためには、再発防止策もサプライチェーン全体を視野にした策定が必要だ。

 それぞれの不祥事の背景に共通するのはコストだ。制度を悪用してカネをだまし取ったのは、業績への貢献が目的だ。より安い食材を求め産地や賞味期限を偽装したり、メニュー表示と異なって安く買える食材を使ったりしたのは、より安く、より高級感のある食材を使用し、より多くの集客を実現したかったからに違いない。一方で、良質な食材は相応の対価が必要だ。デフレ経済の影響が深刻さを増し、売価アップなど望めない中、実態とは異なる材料表示が行われたのだろう。

コメント4件コメント/レビュー

まだ過剰なコストダウンが品質低下ひいては偽装の原因と気づいていないとは、根が深い問題ですね。

品質に対する適切なリソースを割かずに現場にゆだねる経営がまかり通っています。
多分、どこの会社でも品質確保のための上申はあったでしょう。それに対して「それを何とかするのが君たちの仕事だろう!」と経営者は責任放棄しがちです。
そしてサラリーマンの立場で自分の身も会社の同僚も守るため(外の顧客が置き去りですが)に「何とか」した結果が「偽装」なのでは。

よくいう話、「高価だから良いとは限らないが、良い物は高価」何にでもそれ相応の対価はあるのです。

では次に出てくるのは"過剰品質"をやめれば良いという短絡的な考え。"過剰品質"をやめた日本製品は誰が何のために買うのでしょう。"過剰品質"でない製品なら世界中にはいくらでもあります。構造的に高コストになりがちな日本製品を買う理由は全くありません。家電の分野では"過剰品質"を捨てたがゆえにMade in Japanブランドも棄損しています。

"過剰品質"をやめろという方に聞きたい。ベンツの車で品質は低いが安い車種が出たら、ヴィトンのバッグやロレックスの時計で安いけど品質の低いシリーズがあれば買いますか?単に自ブランドを棄損するだけで売り上げには貢献しないでしょう。なのになぜMade in Japanは品質を落としても世界の人が買ってくれると妄信するのでしょう。

"過剰品質"こそがMade in Japanの「売り!」なんですよ。(2017/11/29 12:28)

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「偽装の連鎖をコストを掛けずに止める方法」の著者

牧野 直哉

牧野 直哉(まきの・なおや)

未来調達研究所取締役

2012年、未来調達研究所取締役就任。現役バイヤーの立場から情報発信を行い、企業の調達・購買部門における取引先管理・サプライヤーマネジメントの専門家。調達・購買の現場に根ざした理論構築を行っている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

まだ過剰なコストダウンが品質低下ひいては偽装の原因と気づいていないとは、根が深い問題ですね。

品質に対する適切なリソースを割かずに現場にゆだねる経営がまかり通っています。
多分、どこの会社でも品質確保のための上申はあったでしょう。それに対して「それを何とかするのが君たちの仕事だろう!」と経営者は責任放棄しがちです。
そしてサラリーマンの立場で自分の身も会社の同僚も守るため(外の顧客が置き去りですが)に「何とか」した結果が「偽装」なのでは。

よくいう話、「高価だから良いとは限らないが、良い物は高価」何にでもそれ相応の対価はあるのです。

では次に出てくるのは"過剰品質"をやめれば良いという短絡的な考え。"過剰品質"をやめた日本製品は誰が何のために買うのでしょう。"過剰品質"でない製品なら世界中にはいくらでもあります。構造的に高コストになりがちな日本製品を買う理由は全くありません。家電の分野では"過剰品質"を捨てたがゆえにMade in Japanブランドも棄損しています。

"過剰品質"をやめろという方に聞きたい。ベンツの車で品質は低いが安い車種が出たら、ヴィトンのバッグやロレックスの時計で安いけど品質の低いシリーズがあれば買いますか?単に自ブランドを棄損するだけで売り上げには貢献しないでしょう。なのになぜMade in Japanは品質を落としても世界の人が買ってくれると妄信するのでしょう。

"過剰品質"こそがMade in Japanの「売り!」なんですよ。(2017/11/29 12:28)

>もし、改ざんしたデータでも製品安全に問題ないのであれば、再発防止策として要求内容の改善を行うべきだ。
最近の"改ざん問題"について、やっと私がその通りだと賛成できる意見に巡り合えました。
私が個人的に見聞きしている範囲でも、そもそも量産ベースで実現が不可能な要求事項さえ散見されます。それを製造会社がどう解決しているのかは知りません。
神鋼や三菱マテリアルのケースがそれに当てはまるのかどうかは知りませんが、私は改ざんする以外になかった、と言う理由があると思います。モラルの問題ではないです。(2017/11/29 10:50)

また、コストを掛けずに偽装連鎖を止められるとおっしゃいますが、
例としてお挙げになっている、適切な品質を再設定するにも、
検査データの信頼性を高めるのにも、どちらもコストが必ず掛かります。
適切な品質を再設定するという事は、
今までの品質を諦めて、品質を適切な水準にまで落とすということでしょう。
しかし、ただ品質を下げるだけでは顧客は逃げます。
その適切な品質水準を“顧客にわかってもらわねば”なりません。
その分価格を下げたり、他の競争力をつけねば、対抗他社に負けます。
また、信頼に足る検査データを一回のみ行い公開するとおっしゃいますが、
そもそも検査データを捏造してしまったのは、
信頼に足る検査を一度だけでも必ず行う、そのコストすらも惜しまなければ、
対抗他社に勝つ製品として、成り立たないからでしょう。

上記の通り、コストを掛けずに偽装連鎖を解消するなど、幻想でしかありません。
信頼できる製品を作るには、決して削ってはならないコストがある。
そのコストを顧客に認めさせる。無理なものは無理と言う。
無理を押し付ける顧客は決然と断る。偽装を強要するような顧客は告発する。
これらは“顧客との間違った関係性を正す”ということです。
また“顧客の製品に対する誤った認識を正す”という事でもあります。
これらの顧客の二つの重大な誤りを正す、その手間を惜しんで、
目の前の顧客という、手の届く所にある誘惑に負け続けてきた。
その成れの果てが、日本企業の偽装連鎖の大渦ではないでしょうか。

これらを解決する為に、必要なコストを支払う覚悟があるのか、
そのコストを乗せても、魅力のある製品を作れるかどうか、
作り手も顧客も、真の意味でのものづくりが出来るかどうか、
日本のものづくりの覚悟が、問われているのではないでしょうか。(2017/11/29 06:08)

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