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個人情報ダダ漏れ時代の商品のあり方

2016年12月21日(水)

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 私が起業したとき、宣伝広告を工夫せねばならないと考えていた。小さな企業など、誰も知らない。知らない企業から購買などしない。何よりも知名度を高めなければ。そのとき、最初に勧められたのは懸賞つきの広告だった。「賞品につられて多くの人がやってきます」。仕組みは、賞品を提供する代わりに、メールアドレスを登録させるものだ。

 実際、20万円ほどかけてやってみたが、成果は芳しくなかった。当たり前だ。賞品がほしくてメールアドレスを登録した人に、真面目なビジネスメールを送っても反応するはずがない。彼らにとっても私たちからのメールは迷惑でしかない。しかしそのとき、当たるかもわからない賞品ほしさに個人情報を差し出す人たちの存在に私は驚いた。

 このYouTube動画を見てみよう。これは「Data to Go」というタイトルの動画だ。コミカルに、しかし個人情報漏洩の怖さを教えてくれる。

 舞台はコーヒーショップだ。立て札に「Like us on Facebook for a free coffee」とある。つまり、フェイスブックで「いいね」を押してくれたら無料コーヒーを提供する、というキャンペーンだ。

 海外では待ち時間に名前を聞かれるケースが多い。例えばサカグチと答えると、コーヒーの完成とともに名前で呼んでくれる。個人情報を出すといっても名前だけだ。この動画では、フェイスブックで「いいね」を押した人をただちに分析し、SNSから個人を特定する。そして、通常であれば、たわいもない文字の羅列が書かれているコーヒーカップには、そのSNS情報から明らかになったさまざまな個人情報がぎっしりと書かれているのだ!

 お客は無料コーヒーを受け取った代償として、失笑するしかないほど、自分のプライバシーが漏れていると知る。これまで日本で個人情報が漏れると、1件あたりの賠償は最低で500円程度だが、なるほど、コーヒー1杯ほどの金額が個人情報の代償らしい。

ダダ漏れ情報と宣伝広告の将来

 ところで、こんな個人情報のダダ漏れはどうだろうか。独Boehringer Ingelheimが実験している「Cold Detector」を見てみよう。文字通り“風邪発見器”とでも呼んでおこう。これはインタラクティブな宣伝板だ。何がインタラクティブかというと、通行人の咳を自動察知してくれるのだ。宣伝板の近くにいる通行人が風邪の咳払いをすると、すぐさま宣伝板は気を遣ってくれる。さらには、風邪薬まで推薦してくれるオマケつきだ。

 これまでマーケティングでは、「予防策」よりも「解決策」を提示したほうが売れるといわれてきた。風邪をひかないようにする予防商品よりも、風邪をひいてしまった人に治療薬を提示したほうが訴求するに決まっている。しかしどうやって? なるほど風邪をひいている人は自ら、咳という音を発する。それがテクノロジーと合わさって新たな宣伝の場を生んだ。

コメント3件コメント/レビュー

これは良い記事。

とりあえず個人情報を晒されても恥ずかしくないように秘密を出来るだけ持たずに公明正大に生きることにしよう。(2016/12/21 10:31)

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「個人情報ダダ漏れ時代の商品のあり方」の著者

坂口 孝則

坂口 孝則(さかぐち・たかのり)

調達・購買コンサルタント

大阪大学経済学部卒業後、電機メーカー、自動車メーカーに勤務。原価企画、調達・購買、資材部門に従業。調達・購買関連書籍23冊を上梓。2010年、調達・購買コンサルタントとして独立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

これは良い記事。

とりあえず個人情報を晒されても恥ずかしくないように秘密を出来るだけ持たずに公明正大に生きることにしよう。(2016/12/21 10:31)

優れた体験を提供する、というのは今までとは違う流れなのかもしれない、と思わせられましたが、記事後半のように、結局は広告、というのであれば、日の下に新しいものなし、という気分になりますね。(2016/12/21 09:44)

攻殻機動隊という作品を思い出します。
コンピュータ(この呼称が適切かどうかもわかりませんが)が極小化し、
頭脳の一部として組み込む事が一般化し、常にネットに繋がり、
あらゆる情報と繋がる世界です。
自分の肉体一つで、知りたいことはすぐに調べられ、
欲しいものはすぐに注文でき、自分の好みの時間に受け取ることもできるでしょう。

しかし、“こちら”から繋がるとは、”あちら”からも繋がるということです。
ネットの向こう側の他人に、常に侵入の機会を与えるということ。
記憶を覗かれ、視覚や聴覚などの感覚や、人格すらも書き換えられ、
目の前の事実、自分自身すらも認識できなくなる、
作品ではそのような事態を描いていますが、現実になるかも知れません。

事実を感覚で感知して、神経で通じて、頭脳で検知する。
その検知を基に、頭脳で判断し、神経を通じて、肉体を操作する。
これが“動物が生きるということ”だとしたら、
頭脳の検知と、仮想情報を直接つないでしまったら、
事実と仮想が曖昧になるのは必然です。その先に、何を得て、何を失うのでしょう?
…有り得ない、突飛で滑稽な考えでしょうか?
それに似たような事態が、すでに起きているのではないでしょうか?(2016/12/21 05:15)

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