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「習近平が恐れるのは中産階級の離反」

東京大学大学院農学生命科学研究科准教授・川島博之氏を迎えて(2)

2017年11月16日(木)

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 絶望的な状況に置かれた中国の農民の姿を描いた書籍『戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊』を執筆した川島博之・東京大学大学院農学生命科学研究科准教授との対談の2回目。先が見えずに不満がたまって爆発寸前の農民工。習近平(シー・ジンピン)体制は、それを抑えるために独裁政治を続けようとするが、実は一番怖いのが中産階級の離反だと指摘する。

(前回の記事「鄧小平は今の習体制をボロクソに言うかも」から読む)

川島博之
東京大学大学院農学生命科学研究科准教授
1953年、東京都に生まれる。東京大学工学博士。専門は、環境経済学、開発経済学。2011年には、行政刷新会議ワーキンググループ(提言型政策仕分け)の評価者を務める。1977年、東京水産大学卒業。1983年、東京大学大学院工学系研究科博士課程単位取得のうえ退学。東京大学生産技術研究所助手、農林水産省農業環境技術研究所主任研究官、ロンドン大学客員研究員などを歴任。(写真=深澤明、以下同)

山田:本当に誤解を恐れずに言うと、上海に住んでいる上海人よりも僕の方が農民工を分かっているというか、見えているという自負はあります。というのは、まず関心がないんですよね。自分たちの生活は日々彼らに支えられているんだけれども、彼らがどんな暮らしをしていて、どれだけ最近困っている、といった実態が本当に見えてない。

 先生も書籍でお書きになっていましたが、中国はそもそも囲う文化。囲う文化の内側にいるのは文明人だけど、外にいるのは野蛮人、2流国民と考えている。

 それは分かるんだけど、それでも今までは、そうですね、2013年ぐらいまでは、農民工って淡々と働いていた。愚痴も言わず、とにかく最近だったら子供を大学から卒業させるため、廃墟に住みながらでも都会で淡々と働いていた。それがPM2.5がひどくなってきたぐらいから、ちょっと私の周りの農民工も愚痴っぽくなってきたんです。それがあって、さすがの彼らもちょっときているなと。

川島:2020年ぐらいに爆発する?

山田:そして、都市では不動産バブルがとんでもないことになった。彼らが住んでいたような郊外ですら家賃が2倍、3倍になって住むところがなくなってきた。私の周りの農民工は、一旦、国に帰る人が出てきたんです。みんな国に帰ったから、その子どもたちが通う幼稚園がつぶれそうになっちゃっうくらいの勢いで国に帰ったんです。だけど1年もしないうちに戻ってきた。

 というのは、国に仕事がないわけじゃないけど、でも月に1500~2000元(2万5500~3万4000円)ぐらいしか稼げない。生活するだけならともかく、それでは子供を大学にやろうとか、何かをするには全然足りない。かといって彼らが上海を出ていった問題は、何一つ解決されてないどころか、むしろ悪化している。だからこの2~3年ぐらいで農民工がさまよいだしているんです。

川島:その通りだと思います。マクロに見ても、今から5~6年前は農民工の給料を上げると政府が言っていたんだよね。だから、だいたい1500元ぐらいだった給料が数年のうちに倍になったんですよね。3000元(5万1000円)ぐらい。今上海だったら3500元(5万9500円)とか、場合によっては5000元(8万5000円)ぐらいもらっていますよね。

山田:そうですね。

コメント13件コメント/レビュー

私は今、中小の産業機器メーカーに勤めていますが、中国向けの設備が凄い勢いで売れています。
理由は、高くなった人件費をロボットや優秀な装置に置き換える為です。

そういう訳で、稼いだお金で最新の設備に入れ替えた中国工場は生き残るでしょう。
なかなか設備更新ができない国内中小とはえらい違いです。

問題は、設備に駆逐されたワーカーたちですね。中国版ロボットに駆逐された失業者たちが何10万人になるのか? その動向次第で、中国の今後の様相は変わってくると思います。(2017/11/20 12:29)

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「「習近平が恐れるのは中産階級の離反」」の著者

山田 泰司

山田 泰司(やまだ・やすじ)

ノンフィクションライター

1992~2000年香港で邦字紙記者。2001年の上海在住後は、中国国営雑誌「美化生活」編集記者、月刊誌「CHAI」編集長などを経てフリーに。2010年からは、「EMSOne」編集長も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

私は今、中小の産業機器メーカーに勤めていますが、中国向けの設備が凄い勢いで売れています。
理由は、高くなった人件費をロボットや優秀な装置に置き換える為です。

そういう訳で、稼いだお金で最新の設備に入れ替えた中国工場は生き残るでしょう。
なかなか設備更新ができない国内中小とはえらい違いです。

問題は、設備に駆逐されたワーカーたちですね。中国版ロボットに駆逐された失業者たちが何10万人になるのか? その動向次第で、中国の今後の様相は変わってくると思います。(2017/11/20 12:29)

川島先生は、今の中国のことを「戸籍アパルトヘイト国家」と形容されておられるが、更に上位での身分差別として党籍(有or無)が存在するのではないでしょうか?中国共産党員数は8,800万人だと聞きます。中国の総人口は14億。つまり大半は非党員ですよね。(2017/11/17 04:26)

スクラップ&ビルドや高速鉄道の話だけでもオソロしいのに、不動産の転売禁止やら統制経済やら、
中国経済の現状は、そこらへんの怪談よりモノスゴイ。

それを知ると最近、中国が日本にすり寄ってきているのは、
中国経済や、中国共産党の維持のために、
日本の資金を吸い取ろうとしているのではないかと、勘ぐりたくなる。(2017/11/16 22:16)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官