• ビジネス
  • xTECH
  • クロストレンド
  • 医療
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「同一労働同一賃金」の目的は格差是正ではない

処遇差の「合理性」とは? 日本での導入が難しい理由

2017年3月6日(月)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 「働き方改革実現会議」で、「長時間労働是正」に向けての議論が進んでいる。争点は、「残業時間の上限規制」と「勤務間インターバル規制」の導入。さらには、「同一労働同一賃金」も注目を集める。非正規従業員の待遇改善を目指し、昨年末には政府ガイドライン案が示されている。今回は、2008年から正社員とパートタイマー社員との間で「同一労働同一賃金」を実現している、りそな銀行に制度導入の目的とその効果を聞いた。

「同一労働同一賃金って何? 僕たち管理職が、派遣社員の人と同じ仕事をするってこと?」

 ある大手企業の管理職が、冗談交じりにこうもらした。その内実が分からずに戸惑っていることが見てとれる。よく分からないのは管理職だけではない。ある上場企業の役員は、こうあっさり切り捨てた。

「同一労働同一賃金? だって非正規は、雇用の調整弁ですからねえ。そんな甘いことを言っていたら経営が成り立ちませんよ」

 

 こうした台詞を口にできるのも、もはやこれまで。2016年12月に同一労働同一賃金の政府ガイドライン案が発表され、パートタイム労働法など関連法案の改正が見込まれる。いずれの企業も、否応なく対応を迫られることになる。

目指す賃金水準は「非正規は正規の8割」

 同一労働同一賃金とは、ざっくりまとめて言うなら「同じ仕事をしている人には、不合理な差別をすることなく同等の賃金を払いましょう」ということ。

 今や働く人の4割を非正規労働者が占める。非正規で働く人のうち、世帯主もしくは単身者は1割を超えている。非正規は主婦パートが中心だから時給が安くても生活には困らないという時代は終わった。非正規であってもその収入で家計を支える人が増え、社会的格差の大きな要因となっている。

 安倍晋三首相が「非正規という言葉をなくす」「同一労働同一賃金の実現を」とこぶしを突き上げるのは、単に経済格差の解消のためだけではない。賃金を上げて、消費を底上げして経済を活性化させることが狙いである。

 お手本は、欧州にある。EUは1997年のパートタイム労働指令で「同一労働同一賃金」を定めた。日本では、非正規雇用者の賃金は正規の6割弱にとどまるが、欧州各国をみると8割から9割の水準である。日本も同一労働同一賃金を実現して、10年かけて欧州並みの8割の水準に近づけたいというのが政府の狙いである。

日本での導入が難しい理由

 ただ、お手本が欧州にあるといっても、日本で実現するのは、極めてハードルが高い。安倍首相が「同一労働同一賃金を実現する」と口にしたとき、多くの人事・雇用の専門家らは耳を疑ったものだ。日本では、なぜ難しいのか。

 ひとつには、欧米ではジョブ型雇用であるのに対し、日本ではメンバーシップ型雇用であるためだ。ジョブ型、メンバーシップ型というネーミングは、日本労働政策研究・研修機構の主席統括研究員の濱口桂一郎氏によるネーミングで広く知られているので、耳にしたことがある方も多いだろう。

 欧米では「この仕事をしてもらいましょう。このポストに就いてもらいます」と職務を明確にして採用する。対する日本は、採用時にどこに配属されるか、どんな仕事をするかはわからない。いったん採用されたら、企業のメンバーとなり、辞令に従い異動もすれば転勤もする。そのかわり雇用は基本的には定年まで保障されている。年功型賃金のカーブが緩やかになってきたとはいえ、通常は、50歳前後まで給料は少しずつ上がっていく。

 一般的に若いころは働きに比べると給料が安すぎるものの、中高年になると貢献度に比して給料をもらい過ぎとみられる人も少なくない。こうした日本のメンバーシップ型雇用の下、「同じ仕事なら、同じ給料にしましょう」という同一労働同一賃金を導入するのは難しい。

 もうひとつは、欧州では一般的に産業別労働組合が力を有しており、同じ産業内、職種内で給与水準が決められ、それがフルタイム勤務の正社員以外にも適用されやすい仕組みのため、同じ仕事なら同じ給料と定めやすい。ところが日本は企業内労働組合が中心で、その多くは正社員が対象である。これも同一労働同一賃金の導入を難しくしている。

 こうしたハードルがあるなかで、早くも2008年に「同一労働同一賃金」の人事制度を導入した企業がある。グループ全体で正社員約1万7000人のりそな銀行である。導入の目的、そして制度の内容を聞くため、同社の人事部を訪ねてみた。

コメント7件コメント/レビュー

職務分離はむしろ歓迎されるべきでは。企業側としては使える人間であればバックボーンは問わないということなんだろうけど、雇われる側としては正規社員となるべくして学生のころから頑張ってきたわけだけど、非正規から正規へのルートがあるならそちらの方が楽で、真面目に頑張ってきた人間がばかをみることにならないか?(2017/06/08 15:44)

オススメ情報

「ここが間違い、女性の攻め方」のバックナンバー

一覧

「「同一労働同一賃金」の目的は格差是正ではない」の著者

野村浩子

野村浩子(のむら・ひろこ)

ジャーナリスト・淑徳大学教授

日経ホーム出版社(現日経BP社)で「日経WOMAN」編集長、女性リーダー向け雑誌「日経EW」編集長などを歴任。日本経済新聞社・編集委員などを経て、2014年4月から、淑徳大学人文学部表現学科長・教授。財政制度等審議会委員など政府審議会委員も務める。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

職務分離はむしろ歓迎されるべきでは。企業側としては使える人間であればバックボーンは問わないということなんだろうけど、雇われる側としては正規社員となるべくして学生のころから頑張ってきたわけだけど、非正規から正規へのルートがあるならそちらの方が楽で、真面目に頑張ってきた人間がばかをみることにならないか?(2017/06/08 15:44)

> 懸念されるのが、「法令順守」のために、正規と非正規の「職務分離」が行われることだ。

これはこれでそんなに悪い事では無いと思いますけど。待遇相応の仕事と言う事で。今問題になっているのは。正社員と同じ仕事を非正規が対応していて賃金も違うのはおかしな御話なので。
確かに非正規のキャリアアップには繋がらないでしょうが、それは企業へ強制出来る事では無いですね。そもそも育成が必要なら、正社員として囲い込みをしないと将来的なデメリットが大きいので。(2017/03/07 10:36)

バブル崩壊以降に派遣、請負しか仕事が無くなったという意見があるが、その仕事を奪ったのは、今まで家庭で待機していた優秀な女性が社会進出した結果である現実を認識するべきだ。今まで10人の男性だけでやっていた仕事を同じ数の女性も一緒に仕事をすれば、20人の男女で仕事をする計算になる。単純計算すれば、給料は半分になってもおかしくないが、実際は10人の男女で仕事をすることになるので、残った10人が条件の悪い仕事にしか就けなくなった現実がある。男性と女性を区別(差別ではない)する場面は、現実問題として残るので、体力的に劣る女性は不利になるのは当然である。例えれば、学校の偏差値で比較すればわかりやすく、男女問わず偏差値50以上の平均以上の者しかまともな仕事に就けず、それ以下の人間は半分奴隷のような仕事をさせられるのである。しかし、平均以上の女性が家庭に入れば、その空席に平均以下の男性あるいは女性が入れる計算になり、適材適所の社会としてバランスが取れていたのではないだろうか。(2017/03/06 19:16)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本という国は、もっと資本主義的になってほしいのです。

ゴー・ハップジン 日本ペイントホールディングス会長