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大胆だけれど細心な日産の自動運転技術

単眼カメラだけで高度な運転支援

2016年8月2日(火)

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自動運転技術の第一弾「プロパイロット1.0」を最初に搭載する新型「セレナ」。8月下旬に発売を予定する

 世界の完成車メーカーとしては最も早く、2014年に自動運転技術の開発ロードマップを公表した日産自動車。その内容は、2016年に高速道路・単一レーンでの自動運転、2018年に高速道路・複数レーンでの自動運転、そして2020年に交差点や十字路を含めた一般道路での自動運転を実用化するというものだ。特に一般道路での自動運転の実用化を明言している完成車メーカーは、国内では日産だけである。そして、自動運転の第一弾がいよいよ商品化されるということで、筆者はいったいどのようなものかと注目していた。そして筆者はその大胆さに驚かされることになった。

カメラだけで実現

 なぜ驚いたかといえば、8月下旬に発売される新型「セレナ」から搭載が始まる自動運転技術「プロパイロット1.0」が、単眼カメラだけでその機能を実現するシステムになっていたからだ。筆者は、恐らく単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせで実現すると予想していた。今回のプロパイロットよりも機能が限定された自動ブレーキや、アダプティブ・クルーズ・コントロール(高速道路で先行車両との距離を自動的に一定に保つようにアクセル、ブレーキを制御する機能)、車線維持支援機能などを実現するのに、他社ではカメラとミリ波レーダー、あるいはカメラとレーザーレーダーというように、複数のセンサーを組み合わせる場合が多いからだ。それなのに日産は、より高度な機能をカメラだけで実現した。

プロパイロット1.0の構成。単眼カメラのほか、電動パワーステアリング(EPS)、横滑り防止装置(VDC)、電動パーキングブレーキ(PKB)、スロットルを制御する「ECM(電子制御モジュール)」、カメラの情報を基に各ユニットを制御する「ADAS ECU」などから構成されている

 単眼カメラだけで構成しているというのは厳密にいうと正確ではない。今回の日産のシステムは、単眼カメラからの情報を基に各ユニットを制御する「ADAS ECU」、ADAS ECUからの司令を受けてステアリングを動かすための電動パワーステアリング(EPS)、エンジンの出力を制御する「ECM(電子制御モジュール)」、ブレーキを制御するための横滑り防止装置(VDC)、停止状態を保持するための電動パーキングブレーキ(PKB)などから構成されている。

 ただし、EPSやVDC、ECMはプロパイロットよりも前から搭載されている装置だし、電動PKBも、運転支援機能とは関係なく、最近のクルマでは装着が進んでいる装備なので、プロパイロットのためだけに装備されているわけではない。その意味では、単眼カメラとADAS ECUを追加しただけで実現した機能だと言っても、あながち嘘にはならないだろう。

コメント3件コメント/レビュー

 ちょっと亀ですが、今日読みました。
 最後の方の「自動運転」という呼び方、私も問題があると思っています。次のようにすることを提案します。

レベルA:完全自動運転
・ 手動で運転するためのハンドル等を装備していない。
・ 無人や、子供だけでの利用も、原理的には可能(認めるかどうか
 は別問題だが、車内からの操作を制限し、乗降の時に親がモニター
 しなて許可しないとドアが開かないようにすれば可能か)。

レベルB:自動運転
・ 完全自動運転に近いが、ハンドル等を装備しており、切替により
 手動運転も可能。
・ 手動運転しない限り、レベルAと同じ。
・ レベルAとは、保険料などが異なる可能性が高いために分けるもの。

レベルC:停止交代式自動運転
・ 普段は自動運転するが、自動運転ができなくなった場合には安全
 に停止し、停止した状態で運転手への交代を求める。運転手は、そ
 れまでの間、後席で眠っていても構わない(飲酒はできない)。免
 許を持った運転手の同乗が必要。

レベルD:走行交代式自動運転
・ 普段は自動運転するが、自動運転ができなくなった場合には警告
 音を鳴らし、数秒の猶予の後に、運転手が交代する必要がある。運
 転手は、テレビなどを見ていて構わないが、運転席に座り、目覚め
 ている必要がある。
・ 運転を交代する前に事故った場合、あるいは交代時に既になす術
 がないような状況で交代した場合には、運転手は責任を負わない。

レベルE:不完全自動運転
・ 普段は自動運転するが、運転手は常に運転状況を見守り、自動運
 転が対応しきれない可能性がある場合には運転主が運転しなければ
 ならない。
・ 事故った場合の責任は、常に運転手。
・ 今のテスラがこれに相当。

自動運転ではない
・ 運転手のミスを補うもの
・ 今のレベル2の大部分がこれに相当

※ レベルC以下は、場所や状況を限定することもある(高速道路限
 定、降雨や積雪時不可など)。(2016/08/18 13:14)

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「大胆だけれど細心な日産の自動運転技術」の著者

鶴原 吉郎

鶴原 吉郎(つるはら・よしろう)

オートインサイト代表

1985年日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社、2004年に自動車技術の専門情報誌の創刊を担当。編集長として約10年にわたって、同誌の編集に従事。2014年4月に独立、オートインサイトを設立。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

 ちょっと亀ですが、今日読みました。
 最後の方の「自動運転」という呼び方、私も問題があると思っています。次のようにすることを提案します。

レベルA:完全自動運転
・ 手動で運転するためのハンドル等を装備していない。
・ 無人や、子供だけでの利用も、原理的には可能(認めるかどうか
 は別問題だが、車内からの操作を制限し、乗降の時に親がモニター
 しなて許可しないとドアが開かないようにすれば可能か)。

レベルB:自動運転
・ 完全自動運転に近いが、ハンドル等を装備しており、切替により
 手動運転も可能。
・ 手動運転しない限り、レベルAと同じ。
・ レベルAとは、保険料などが異なる可能性が高いために分けるもの。

レベルC:停止交代式自動運転
・ 普段は自動運転するが、自動運転ができなくなった場合には安全
 に停止し、停止した状態で運転手への交代を求める。運転手は、そ
 れまでの間、後席で眠っていても構わない(飲酒はできない)。免
 許を持った運転手の同乗が必要。

レベルD:走行交代式自動運転
・ 普段は自動運転するが、自動運転ができなくなった場合には警告
 音を鳴らし、数秒の猶予の後に、運転手が交代する必要がある。運
 転手は、テレビなどを見ていて構わないが、運転席に座り、目覚め
 ている必要がある。
・ 運転を交代する前に事故った場合、あるいは交代時に既になす術
 がないような状況で交代した場合には、運転手は責任を負わない。

レベルE:不完全自動運転
・ 普段は自動運転するが、運転手は常に運転状況を見守り、自動運
 転が対応しきれない可能性がある場合には運転主が運転しなければ
 ならない。
・ 事故った場合の責任は、常に運転手。
・ 今のテスラがこれに相当。

自動運転ではない
・ 運転手のミスを補うもの
・ 今のレベル2の大部分がこれに相当

※ レベルC以下は、場所や状況を限定することもある(高速道路限
 定、降雨や積雪時不可など)。(2016/08/18 13:14)

このコラムにて説明されている技術は、2013年にすでにメルセデスベンツはj製品に搭載、販売しているのだが、今頃搭載したというとてつもない遅れとその影響を分析しなくてもよいのであろうか。(2016/08/15 15:10)

『日産がこのシステムを自動運転技術と呼ぶのは間違いではない。』と筆者は書いたけど、
遠慮して書いたからであって、筆者の本音としては、日産がこのシステムを自動運転技術と呼ぶのは間違いであるといいたかったと確信する。
日産の企業方針のレベルがそんなものである! 三菱自動車と同じ穴の狢である。(2016/08/13 23:37)

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齋木 昭隆 三菱商事取締役・元外務次官