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勝手に枠を決めた途端に新事業は失敗する

米シリコンバレー・リポート2 既存事業の延長線上にイノベーションはない

  • 日経トップリーダー編集部

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2018年9月13日(木)

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 世界のICT(情報通信技術)をリードする米シリコンバレー。そこからAI(人工知能)革命という新たなうねりが起きつつある今、日本の中小・ベンチャー企業は、どう受け止め、どう対応すればいいのか。それを探るため、日本の中小企業経営者らが7月23日~27日、スタンフォード大学の専門家や現地で働く日本人社員などの下を訪れた。主催は、シリコンバレーに拠点を構える日系企業で、米・スタートアップ企業と日本の中小企業の協業を支援する、ブリリアント・ホープ。日経トップリーダーと日経BP総研 中堅・中小ラボが企画・協力をした。ここではそこで語られた米シリコンバレーの最新動向を複数回にわたって紹介する。2回目は、ヤマハ発動機の関連法人、Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley, Inc(ヤマハ・モーター・ベンチャーズ・アンド・ラボラトリー・シリコンバレー)でCEO(最高経営責任者)兼マネージング・ディレクターを務める西城洋志氏。出資先や事業提携先を探しながら、「少し先の未来を創る」新事業を3年以上開発し続けている。自身の経験を基に、大企業が新事業を生み出す難しさと成功に近づく方法を語る。

 「新事業に挑戦したい」――。この言葉を聞いて、皆さんはどう感じますか。前向きでとてもいい響きですよね。この発言自体を否定するビジネスパーソンはほとんどいないでしょう。でも、現実にはほとんどうまくいかない。ヤマハ発動機がまさにそうでした。

 大学の工学部を出て新卒でヤマハ発動機に入社した私は、そのまま20年近く同じ会社で働いています。入社後は産業機械を制御するソフトウエアの技術者として経験を積み、2014年に当時の社長直轄で新事業開発を担当するNV(ニューベンチャー)事業統括部に移った後、15年にYamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley, Inc.を設立し、トップを務めています。

 入社以来ほかの会社に勤めたことがないおかげで、ヤマハ発動機のことは、数字以外の部分、社風なども含めてよく分かっています。そんな日本企業どっぷりだった私がなぜシリコンバレーに来て、新事業開発にひたすら取り組んでいるのか。不思議に思うかもしれません。

社内では「エイリアン」のような存在

 「どうしたら西城さんのような人になれるのですか」とよく質問を受けます。自分でもよく分かりません(笑)。ただ、入社したときから、私の存在が社内では「エイリアン」(異星人)だったことと無縁ではないと思います。

 皆さんはヤマハ発動機と聞いて何を作っている会社だとイメージしますか。おそらくバイクやボートなどが挙がると思います。実際、これらのモーターサイクル事業とマリン事業が主力で、売り上げの約8割を占めています。

 コア技術は3つあります。1つは小型エンジン。スポーティーな味付けのタイプが得意です。大手自動車メーカーの高級でスポーティーなモデルの車にエンジンを供給しています。2つ目が、私が所属していた産業用機械の制御技術も含めたロボティクス。3つ目はFRPというボートや船舶に使う繊維強化プラスチック。これらの技術の組み合わせで事業の幅を広げてきました。ものづくり主体の会社であるため、入社する技術者の大部分がハードウエア専門です。

西城 洋志(さいじょう・ひろし)氏
1996年、九州大学工学部を卒業後、ヤマハ発動機に入社。産業用ロボット事業におけるソフトウエア開発技術者、ソリューション技術担当などを経て、2014年1月に社長直轄の NV事業推進部に異動、同5月より米国駐在。2015年7月に新事業開発専任直轄子会社Yamaha Motor Ventures & Laboratory Silicon Valley, Inc.を設立。Robotics, Connected Service(As-A-Service model), Industrial Automationといった領域を中心に、事業開発・ベンチャー投資に従事。現在、Yamaha Motor Corporation, U.S.AのNew Venture Business Development Div.も兼任。

 一方、私の専門はソフトウエアで、しかも社内では主力事業ではない産業用ロボットの開発部署に所属していました。パソコンや携帯電話の中に入っている電子基板を作る装置の制御技術を開発し、大手電機メーカーなどに納めていたのです。売上高では全体の5%くらいだった一方で、利益は全体の20%を占める高収益事業でした。ですから、ヤマハ発動機の社員でありながら、どこかで会社を一歩引いて見ているところがありました。極端に言えば、ハードに対する強すぎる愛着がない分、“保守本流”のヤマハ発動機社員とは少し異なったものの見方ができたのです。

 大企業が新事業を生み出すには、既存事業への愛着がないほうが実はいい。これは重要なポイントの1つだと思います。愛着が強すぎると、それにとらわれて、ものの見方が狭まってしまう。持てる者の弱みと言えばいいでしょうか。主力事業で優秀な実績を挙げている人ほど、愛着が強い分、その弱みが出やすい。持たざる者のほうが強い。

 

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